大津市の保護司Sさんが保護観察対象者のE容疑者に6/8殺害された。
同じ保護司として他人事とは云えない重大事件であり、Sさんに深く哀悼の誠を奉げたい。
事件の真相は何も解明されていないが、SさんはE容疑者の保護観察対象者だった。
《保護司とは》
保護司は法務大臣が委嘱した更生保護のボランティアで、犯罪や非行をした人の立ち直りと犯罪予防に取り組んでいる。
身分は無給の非常勤の国家公務員で法務省の保護観察官と協力して保護観察対象者の社会復帰を支援し任期は2年で76才まで再任出来る。
《面接場所 今はサポートセンター》
私はこの保護司を受けて10年以上になる。
保護観察対象者とは、原則月二回面接をして「約束事を守るよう」助言し就労の支援や生活状況の把握など行っている。
月二回の面接が終ると所属県の保護観察所に報告書を月末迄に提出する。
新聞にも報道されていたが、かつての面接場所は保護司の自宅が主だった。
私も自宅で常時3人の対象者を受けていた時もあって、朝の9時から1時間ずつ面接をおこない、お茶やお菓子も出し部屋の掃除とか何かと大変だった。
報告書も3人分6回の面接の報告なのでそれなりの負担になった。
現在は公共施設を借りた「更生保護サポートセンター」と云う部屋を事務所にして面接をしている。
多くの保護司は「サポートセンター」を利用し自宅での面接はあまり無いと思うが、公共施設は17時過ぎると閉館になってしまう。
対象者も就労していると、面接時間が夜間になり自宅での面接になる。
他には「コミュニテイーセンター」の部屋を借りて面接をする方もいる。
また、事情により対象者の自宅を訪問して面接することもある。
《保護司の大変さとは》
よく「保護司は大変でしょう」「あんなことよくやっているね」など言われるが、周りが気遣うほど大変とは思わなかった。
職業柄、対人対応能力はそれなりに身についていたし、人と話すことは嫌ではないし、「罪を憎んで人を憎まず」の気持ちで接してきて、対象者とはトラブルも無く保護観察も出来た。
しかし、再婚した実母の少年の事件担当になり、対象者と義父の家庭内のいざこざを義父が「保護司がちゃんと指導しないからだ」など八つ当たり的な文句や要求を突き付けて、休日や深夜とかに長電話で散々文句を言われたことも2~3件あった。
また、対象者が深夜繁華街で補導され警察から問い合わせの連絡があったこともあり、気が休めないことが多かったことは確かだ。
予期せぬ出来事もあり、家族の理解が無いと誰もが引き受けられる任務ではない。
《急務な保護司制度の見直し》
Sさんは保護司歴20年にもなると云う。
罪を犯した人の就労支援や医療や福祉の専門家などネットワークをつくり、対象者の再出発を支える協会の柱として活動していたと云う。
文字通り「保護司の鏡」的な存在だったと思う。
その対象者に命を奪われるとは、Sさんの至極無念さを想うと辛くなる。
対象者はどんな人間性を持った人だったのか。
事件の解明はまだまだ先のことだが、今回の事件では無報酬の保護司に「再犯防止」を全面依存している「保護司制度」や「更生保護制度」の問題点や課題が露呈した。
制度の抜本的な見直しが急務の課題と思う。
2024/06/10
深夜の電話は着信拒否の〈フウチソウ〉
同じ保護司として他人事とは云えない重大事件であり、Sさんに深く哀悼の誠を奉げたい。
事件の真相は何も解明されていないが、SさんはE容疑者の保護観察対象者だった。
《保護司とは》
保護司は法務大臣が委嘱した更生保護のボランティアで、犯罪や非行をした人の立ち直りと犯罪予防に取り組んでいる。
身分は無給の非常勤の国家公務員で法務省の保護観察官と協力して保護観察対象者の社会復帰を支援し任期は2年で76才まで再任出来る。
《面接場所 今はサポートセンター》
私はこの保護司を受けて10年以上になる。
保護観察対象者とは、原則月二回面接をして「約束事を守るよう」助言し就労の支援や生活状況の把握など行っている。
月二回の面接が終ると所属県の保護観察所に報告書を月末迄に提出する。
新聞にも報道されていたが、かつての面接場所は保護司の自宅が主だった。
私も自宅で常時3人の対象者を受けていた時もあって、朝の9時から1時間ずつ面接をおこない、お茶やお菓子も出し部屋の掃除とか何かと大変だった。
報告書も3人分6回の面接の報告なのでそれなりの負担になった。
現在は公共施設を借りた「更生保護サポートセンター」と云う部屋を事務所にして面接をしている。
多くの保護司は「サポートセンター」を利用し自宅での面接はあまり無いと思うが、公共施設は17時過ぎると閉館になってしまう。
対象者も就労していると、面接時間が夜間になり自宅での面接になる。
他には「コミュニテイーセンター」の部屋を借りて面接をする方もいる。
また、事情により対象者の自宅を訪問して面接することもある。
《保護司の大変さとは》
よく「保護司は大変でしょう」「あんなことよくやっているね」など言われるが、周りが気遣うほど大変とは思わなかった。
職業柄、対人対応能力はそれなりに身についていたし、人と話すことは嫌ではないし、「罪を憎んで人を憎まず」の気持ちで接してきて、対象者とはトラブルも無く保護観察も出来た。
しかし、再婚した実母の少年の事件担当になり、対象者と義父の家庭内のいざこざを義父が「保護司がちゃんと指導しないからだ」など八つ当たり的な文句や要求を突き付けて、休日や深夜とかに長電話で散々文句を言われたことも2~3件あった。
また、対象者が深夜繁華街で補導され警察から問い合わせの連絡があったこともあり、気が休めないことが多かったことは確かだ。
予期せぬ出来事もあり、家族の理解が無いと誰もが引き受けられる任務ではない。
《急務な保護司制度の見直し》
Sさんは保護司歴20年にもなると云う。
罪を犯した人の就労支援や医療や福祉の専門家などネットワークをつくり、対象者の再出発を支える協会の柱として活動していたと云う。
文字通り「保護司の鏡」的な存在だったと思う。
その対象者に命を奪われるとは、Sさんの至極無念さを想うと辛くなる。
対象者はどんな人間性を持った人だったのか。
事件の解明はまだまだ先のことだが、今回の事件では無報酬の保護司に「再犯防止」を全面依存している「保護司制度」や「更生保護制度」の問題点や課題が露呈した。
制度の抜本的な見直しが急務の課題と思う。
2024/06/10
深夜の電話は着信拒否の〈フウチソウ〉