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バスの中で聞くともなく聞いた少女と母親との会話。「お父さまとの生活はどうだった?楽しかった?」と母親。少女は「うん、別に」と答える。「何処かへ連れて行ってもらったの?」と母親は探るような口調で尋ねる。少女は「うん、いつもの通りよ」と言葉を濁す。楽しかった父との生活を具体的には話したくない様子だ。「いいわね、こんな良いお洋服を買って戴いて」と質問を続ける気配。どうやら父母は別居中の様子である。「ねぇ、おうちはまだなの?」と少女が不安げに尋ねる。「どうだったかしら、バスでは初めてだから」と心細いことを言う。「ねぇ、下りる時は教えてね。」と、か細い声で少女は言って、母親のスカートの端をしっかりと握る。母は優しい口調で、「私は○○ちゃんを忘れたりはしないから、安心してていいわよ」と答える。閑静な住宅街にさしかかったところでバスを止めて下りていった。2人はしっかり手を握り合っていた。
それが、これらの写真と一体になって、親子の情景まで浮かび上がって、何か物悲しい感情になりますね。日常茶飯事の出来事のような、別居や、離婚などがこのように目の当たりにしますと、きっと、傷つくのは、子供だろうなぁとお思わずにいらられません。
少女の不安が伝わってくるような会話でした。
親たちが別れ、少女は母親に引き取られることになったのか、それとも休日を母親の所で過ごそうというのか。
事情はともあれ、母親のスカートをぎゅっと握って不安に耐えているなんて。
初冬の風景がこの少女の心細さを暗示するようで切なくなりました。
この写真が国木田独歩の文学と所縁の深い、武蔵野の風景なのですか。
公園として立派に整備されているのですね。それに環境がとても良さそうです。
poloさんがバス内ではからずも耳にされた、母娘の会話は今の世相を象徴するかのように切ない話です。それがpoloさんの筆力によって、こちらの胸の中に食い込んで来ました。
何故か今の世は、かって無いほどの子ども受難の時代ですね。
poloさんが聞いた親子の会話。小説以上にぐんと心に響きます。そしてその行く末が幸せであることを心から祈りたくなります。
poloさんの会話の描き方も素晴らしいものですが、poloさんの心の優しさが武蔵野の風景と共に伝わってきます。
なんだか久しぶりにショートショートを読んだ気になりました。ありがとうございました。