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9月28日代表質問原稿(2)

2015-11-07 | 活発!な活動報告
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 前回に続き、9月28日に行なった代表質問の解説として、質問原稿の後半部分を掲載します。是非お読み下さい。

 
※質問項目一覧


5.自死対策について
(1)自死への偏見をなくす取り組み   

 次に、「自死対策について」のうち、「自死への偏見をなくす取り組み」について伺います。

 国内の年間自死者数は、平成15年3万4427人をピークに減少しており、昨年は2万5427人と、ピーク時から9千人の減少となりました。静岡県においても、一昨年の759人から昨年は674人に減少しました。しかし、日本の自死率は、OECD国では韓国に次ぐ第2位となっています。また、15歳から39歳までの死因の1位が実は自死です。大きく報道はされていませんが、県内では、今年も7月までに既に、中学生1名、高校生3名を含めた計11名もの未成年の若者が自死しています。更に、昨年の国内の交通事故死者数4,113名と比べても、未だに極めて深刻な状況であり、抜本的な自死対策が引き続き求められています。

 ある推計によれば、自死遺族の数は日本国内に三百万人とも言われており、交通事故死者数との比較から考えても、自死の問題は、残念ながら、身近な問題であるはずです。しかし、遺族の方が自死について積極的に話したりすることは決して多くはありません。

 そうした背景には、社会に横たわる自死への偏見があると考えます。自死は遺族にとって当然ながら辛く悲しいことですが、遺族の辛さはそれだけでは終わりません。周囲から、自死した本人だけでなく遺族までもが反社会的な罪を犯したかのように見られるだけでなく、自死現場となった賃貸物件の巨額の家賃保証を請求される等の経済的負担が重くのしかかる場合も決して少なくはありません。

 そうした偏見や差別をなくすための取り組みとして、「自らを殺す」と書き「故意による身勝手な死」という反社会的なイメージにつながっている「自殺」ではなく、「追い込まれた末の死」という意味である「自死」という言葉を原則として用いるよう提案します。既に、鳥取県、島根県、宮城県等で同様の取組みが行なわれており、用語の変更は、自死・自殺の問題を県全体で考え直すきっかけともなっています。同様に、静岡県でも、「自死」と呼ぶことを契機として、自死遺族の置かれた状況や偏見にさらされる苦しみについて、県民の間で理解が広がり自死への偏見が無くなるよう、そして、例えば、後ほど取り上げる、いじめによる自死の防止等に向けた議論が堂々と行われるようになるよう、啓発活動を展開すべきと考えますが、自死への偏見をなくす取り組みについて伺います。

(2)薬物によらない治療・対応                     

 次に「薬物によらない治療・対応」について伺います。

 県がかつて推進していた自死対策である「富士モデル」に対する批判のひとつに、「うつ」への対応としての薬物治療への偏重があります。薬物治療は基本的に対処療法に過ぎず、また、薬物の副作用によって却って自死が助長されている問題も多くの専門家から指摘されています。例えば、自死者遺族の集まりである全国自死遺族連絡会が約3年掛けて行った自死遺族への聞き取り調査によれば、1001名の自死者のうち、902名、9割もの方が精神科の治療を受けていました。つまり、精神科治療が十分な効果を挙げていない、更には、むしろ自死の原因となった可能性があるということです。

 先ほども紹介した宮城県では、「うつ」や自死に至る理由、背景を改善するための取り組みとして、弁護士、中小企業診断士、司法書士、心理カウンセラー、僧侶、牧師、自死遺族等の様々な分野の専門家がネットワークを作り、電話での相談や対応に応じる取り組みを行なっています。電話相談そのものは決して珍しくはありませんが、この「みやぎの萩ネットワーク」では、24時間、365日、電話を受けるようになっており、電話に出られなかった場合でも、必ず速やかに折り返しの電話をするという徹底ぶりです。静岡県においても、民間の各分野の専門家の力を活用した、うつや自死につながりかねない様々な要因を取り除くことに焦点をあてた取り組み、薬物によらない対応を積極的に推進すべきと考えますが、県の方針を伺います。


6.いじめ対策について
(1)社会総がかりで行ういじめ対策                   

 次に、「いじめ対策について」のうち「社会総がかりで行ういじめ対策」について伺います。

 去る7月5日に発生した、岩手県矢巾町の中学生、村松亮君のいじめを苦にした自死は、SOS信号が早い段階から出されていたにもかかわらず自死を防げなかった事例として、私達に大きな衝撃を与えました。矢巾町教育委員会の報告書によれば、当該中学校の最近のいじめ件数は「ゼロ」と報告されていました。教育委員会の方針として「いじめゼロ」を掲げたことが、却って、いじめを認知することのハードルを上げ、担任が抱え込んでしまうことにつながり、そのため村松君の自死を防止できなかった可能性があると指摘されています。また、仙台市のある中学生が、いじめを苦に昨年自死した事実が、遺族への配慮の結果、他の生徒や県教育委員会等に1年近く報告されていなかったことがこの8月に明らかとなりました。

 こうした事態を受け、文部科学省は、8月17日に通達を出し、都道府県別のいじめ認知件数に大きなばらつきがあるため、昨年度の認知件数について再調査・報告するよう異例の要請を行ないました。文部科学省の平成25年度調査によれば、国公私立小中高特別支援学校において、生徒千人当たりのいじめ認知件数が最も多いのは京都府(99.8件)です。全国平均は13.4件で静岡県は平均以下の10.9件、京都府の約1割となっています。ちなみに、小学校のみの認知件数では、更にばらつきが大きくなり、京都府が170.3件であるのに対し、静岡県は12.4件と、京都府の方が13.7倍も多くなっています。

 一方、認知件数が多い県ほど、いじめ発見のきっかけが、学校の教職員等による発見の割合が多い傾向にあります。全国平均68.1%に対し、京都府は88.5%であり、静岡県は平均以下の48.5%です。更に、いじめの認知件数の高い県ではいじめが解消されている割合も高い傾向にあり。全国平均は88.1%で、京都府は93.7%であるのに対し、静岡県は平均を下回る74.4%となっています。

 県においては、文部科学省の要請に基づく再調査だけでなく、京都府等のいじめ認知件数の多い府県との違いはどこからくるのか、いじめ防止対策法第二十条が定めるような、調査研究を徹底的に行うべきです。そして前述の文部科学省の通達が述べているように「どの学校においても、一定数のいじめが認知されるのが自然である」ことを認識・前提として、どんな些細ないじめでもより積極的に認知し、学校内外で情報共有する体制を確立するために、いじめ対策の総点検を行なうべきです。例えば、平成25年の静岡県のいじめ認知件数が4529件であるのに対し、警察本部が把握しているいじめ事案件数は、平成24年22件、25年38件、26年45件で、その内、学校から連絡を受けたものは1桁しかありません。果たしてそれで十分な連携と言えるのかどうか、確認すべきではないでしょうか。

 また、いじめによる自死が発生してしまった場合、遺族への配慮は最大限行なわれるべきですが、いじめの問題はいじめを受けた子ども達だけの問題ではないことから、必ず県教育委員会等の関係機関に報告されるべきと考えます。仙台市教育委員会のような対応が県内ではこれまでになかったか、あわせて確認するべきではないでしょうか。

 更に、矢巾町教育委員会の報告書でも明らかなことは、いじめは先生等の大人の目がないところ、例えば、休み時間、給食の準備の間、放課後等で発生しているということです。現在、県では社会総がかりの教育の実現を目指して、コミュニティスクール等の推進を図っています。既に多忙な教職員だけに任せるのでなく、より多くの地域の方々が日頃から学校に出入りし、休み時間や放課後等の時間に校内で子ども達と触れ合うようになれば、より多くの大人の目によりいじめが抑止されることにつながると考えます。こうした、社会総がかりによるいじめ対策も同時に進めるべきと考えますが、教育長の決意を伺います。

(2)スマートフォンの危険性を全県で教える取り組み           

 次に、「スマートフォンの危険性を全県で教える取り組み」について伺います。

 今や小学校低学年でもスマートフォンを持つ子ども達が増えつつあります。一方、スマートフォンがいじめや犯罪の入り口になるケースも増えているように思います。例えば、今月1日、奈良県橿原市で、2年前に女子中学生が自死したのはいじめが原因だったとして、遺族が裁判を起こしました。この事件に関する報告書によれば、無料通信アプリ「LINE(ライン)」上で複数の同級生が悪口を言ったり仲間はずれを行なったりしていました。また、先月、大阪府で2人の中学生が殺害された事件におきましては、スマートフォンやラインで家族や友達と常につながっているという安心感から、2人の中学生は日常的に深夜の外出や外泊を繰り返していたと言われています。

 麻薬や危険ドラッグとは違い、スマートフォンを利用すること自体はもちろん犯罪ではありません。だからこそ、子ども達には早い段階からの指導が不可欠だと考えます。ある中学校の先生から、昔と違い、今の子ども達はライン等で24時間互いにつながっているため、学校生活と家庭生活の切り替えが難しくなっているという話を聞き、中学生の娘を持つ父親として、深く考えさせられました。私もそうですが、今の教職員の方々が子どもの頃にはスマートフォンはありませんでした。ですから、私達大人の想像を超えたことが、子ども達のスマートフォンでは行なわれていると常に認識するべきです。

 そのため、まずは、岡山県のように、全県の小中学校でスマートフォンの利用実態について調査することが必要なはずです。そして、既に行われている薬学講座のように、スマートフォンを持つことの意味や危険性について考え教える講座を全県で実施し、どうしても必要な子ども達が、ルールや危険性等を十分に理解した上でスマートフォンを利用するという状況に変えていくべきと考えますが、教育長の決意を伺います。


7.給食を通しての食育の強化について                  

 次に、「給食を通しての食育の強化について」伺います。

 今月16日に文部科学省が公表した調査によれば、小学生の暴力件数が前年よりも約5%増加し、過去最多の1万1468件となりました。子ども達が「キレやすく」なっている要因の一つとして、多くの専門家が、食生活の乱れによるミネラル不足や孤食を挙げています。また、子どもの貧困問題が深刻化していますが、子ども達にとって給食が唯一の栄養豊富な食事であるという家庭も決して少なくないようです。給食が果たすべき役割はますます大きくなっていると言えます。

 私は先日、給食改革の先進地として、長野県上田市、東京都足立区そして三島市を訪問し調査してきました。いずれの給食改革においても鍵となるのは学校栄養職員、栄養教諭の役割でした。単に学校給食実施基準に基づいて献立を作り調理すればいい、給食を残すのは子ども達の問題というのではなく、給食や食事が如何に重要か、子ども達に直に接して伝えていく役割が求められていると、視察を通じて痛感しました。また、子ども達が給食を食べる様子に、栄養職員の方達が日頃から触れることは、より美味しい献立作りにもつながると伺いました。

 県内では、県費負担の栄養職員に加え各市町負担の職員も配置されており、総数では義務標準法が定める定数を上回っていますが、食物アレルギーへの対応等もあり、他の教職員と同様に、栄養職員も多忙で食育指導が思うように出来ていないというのが実態です。そこで、給食を通しての食育を強化するためにも、栄養職員、栄養教諭の数を更に増やすべきと考えますが、教育長に今後の方針を伺います。

 以上について、答弁を求めます。 


8.UIJターン就職促進について                    

 次に、「UIJターン就職促進について」伺います。

 本県の人口転出超過、特に若者の転出超過対策が喫緊の課題となっている中、県では、首都圏におけるU・Iターン支援の拠点として、昨年7月に「静岡U・Iターン就職サポートセンター」を設置しました。また、県外に進学した本県出身学生のUターン就職の更なる促進を図るため、県は、今月18日に本県初となる就職支援協定を立命館大学と締結したところであり、今後も首都圏等の大学との協定締結が促進されることを強く期待しています。

 ご案内のように、若者の転出超過だけでなく、そもそも日本全体で生産年齢人口の減少が暫く続くことが明らかになっており、このままでは、特に県内の中小企業にとって有能な人材を確保することが益々厳しくなってしまいます。

 そのため、中小企業の人材確保支援として、首都圏等に在住する社会人や学生のUIJターン就職を更に促進することが不可欠と考えますが、今後の取り組みについて伺います。


9.世界遺産富士山に関する情報提供戦略ついて             

 次に、「世界遺産富士山に関する情報提供戦略ついて」伺います。

 富士山の包括的な保存管理や情報提供を行なう拠点として、県は(仮称)富士山世界遺産センターの整備を進めています。しかし、先日の入札不調により、センターの完成の遅れは避けられない状況にあります。現在、費用の圧縮に向けて検討中とのことですが、新国立競技場の設計見直しを巡る混乱のようなことがないよう、納税者であり利用者である県民、そして早期完成を待ち望んでいる地元の皆様に十分ご理解頂ける見直し案の策定を強く要請致します。

 センターのハード整備と同様に重要なことは、センターが行なう事業の中身です。富士山を見に来る利用者の視点に立てば、事業の内容の方がより重要であると言っても過言ではないと考えます。

 来年2月1日までに提出予定の保全状況報告書に記載する必要がある「情報提供戦略」の中では、センターを中心に、「調査・研究の推進及びその成果の反映」そして「顕著な普遍的価値の伝達及び適切な情報提供の実施」が方向性として明示されています。情報提供戦略を着実に進めるため、センターで実施予定の事業のうち、準備が整ったものについては積極的に展開していくべきと考えますが、県の考えを伺います。


10.ユニバーサルデザインに配慮した道路整備について           

 次に、「ユニバーサルデザインに配慮した道路整備について」伺います。

 この6月から道路交通法が改正され、自転車の通行に関するルールや取締りが強化されました。それに伴い、自転車が通行可能な歩道、つまり自転車歩行者道であることを示す表示の数も増えてきてはいますが、実感としてまだまだ不十分だと認識しています。また、道路の左側通行が原則とはいうものの、自転車が安全に通れる路側帯が整備されている道路はごく一部にすぎません。

 本県は日本競輪学校や伊豆ベロドロームを有するなど、自転車競技とはゆかりの深い土地柄です。また、イタリアのフリウリ・ベネチア・ジュリア州と自転車競技を通じたスポーツ交流をこれから進めるところでもあります。

 そのため、最も優先されるべき歩行者に加え、自転車利用者も安全・安心に通行可能な、ユニバーサルデザインに配慮した道路整備を進めることは、超高齢社会を迎えるにあたっての重要課題の一つであるだけでなく、ロードレース等の自転車競技の招致・開催による県経済の活性化にもつながると考えます。そこで、自転車走行可能な歩道表示の明確化等、歩行者や自転車が安心して通行できる自転車通行空間の整備について、県の方針を伺います。


11.県職員におけるワーク・ライフ・バランスの推進について        

 次に、「県職員におけるワーク・ライフ・バランスの推進について」伺います。

 県職員の定数削減が進む一方で、県職員の時間外勤務は増加傾向にあります。昨年度の一人当たりの部局別年間時間外数は対前年比で10.3%増の189.1時間、年間一千時間を超えた職員数は対前年比で13人増の25人で、最高時間は1402時間だったとのことです。

 不断の行財政改革の努力は必要ですが、定数削減が実現しても職員の仕事効率が悪化しては、削減はむしろ逆効果となってしまいます。無駄もしくは不要な事業、業務の廃止や作業の効率化を進めると共に、残業時間平準化を目指した部局の職員定員の弾力的な見直し、再任用職員の更なる活用、そして職員削減計画の再点検などにより、民間企業の模範となるよう、県職員のワーク・ライフ・バランスの推進・実現を図るべきと考えますが、県の今後の方針を伺います。


12.暴力団の資金源を断つ取り組みの強化について              

 最後に、「暴力団の資金源を断つ取り組みの強化について」伺います。

 警察や民間団体の取り組みにより暴力団構成員等の数は減少傾向にあり、昨年度末現在の数は、暴力団対策法施行後、最小になりました。しかし最近では、資金集めのためにオレオレ詐欺等の特殊詐欺に暴力団が直接関与し、一般住民が被害者となるケースが増えているということです。

 先月末頃から、国内最大の指定暴力団山口組のいわゆる分裂騒動が発生しています。県内にも山口組系の暴力団が複数存在しており、警察本部には、山口組分裂騒動に県民が巻き込まれることがないよう、警戒や取り締まりに全力を挙げることをまずは強く要請致します。同時に、一連の分裂騒動は、暴力団の更なる弱体化を目指す好機でもあり、日頃の県民の不安を取り除き、新たな特殊詐欺等の被害者を防ぐためにも、暴力団の資金源を断つ取組みを更に強化すべきと考えますが、警察本部の今後の方針を伺います。

 以上について、答弁を求めます。

 代表質問原稿は以上です(実際の質問では、更に再質問、再々質問をしていますが)。お読み下さり、ありがとうございます。


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