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将来世代の視点に立った、静岡県のフューチャーデザインを!:県議会一般質問(1)

2016-12-15 | 活発!な活動報告
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 12月12日に、通算で6回目となる一般質問を本会議で行いました。

 まず、その時の質問原稿を掲載致します。長文ですがお読み頂ければ幸いです。


 ※質問項目一覧

 ※質問の様子です①


 ふじのくに県民クラブの鈴木智です。分割方式で質問致します。

1.県人口200万人台に備えるための取り組みについて
(1)将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定


 最初に、「県人口200万人台に備えるための取り組みについて」のうち、「将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定」について伺います。

 「Wood Job!」という平成26年に公開された映画があります。大学入試に失敗した主人公が、1年間三重県の山奥の村で林業研修を受け、都会では出来ない様々な経験を通じて成長するという青春ドラマですが、その中に次のようなシーンがあります。

 競りで樹齢105年の木が1本80万円で売れたことを知り、山の木を全部切り出したら億万長者になれる、と主人公は言います。それを聞いた親方たちは「自分が生きとるうちのことしか考えんのか。先祖が植えたもん全部売ったら、次の世代、その次の世代はどうするんや。仕事の結果が出るのはおれらが死んだ後や」と、主人公を諭す、というものです。 

 今後少なくとも数十年間は人口減少・超高齢化が進行し、かつての高度成長期のような経済発展が見込めない時代にいる私たちには、何世代もの先の子孫のことを考えて山や森を守ってきた、林業家のような思想の実践が求められていると考えます。

 例えば、既に巨額な残高があるにもかかわらず、私たちは今もなお県債を発行してインフラ整備等の事業を行なっています。インフラは将来世代にとっても有用であるため負担をお願いしています。しかし、現在、維持管理や新たな整備が行なわれているインフラが、例えば、県人口が200万人台に突入した時の将来世代にとって、維持管理と県債返済のための多額の負担をしてまでも必要なものなのかと言えば、少なくとも、そうした視点での議論は、現時点では不十分ではないでしょうか。

 つまり、現在の課題の克服のために進めているインフラ整備や事業は、将来世代にとっては、財政負担に見合うほどの必要性がない、むしろ迷惑なものになる可能性が出てきているということです。そのため、将来世代の視点にも立ちながら、政策を考え実行することが今まさに必要だと考えます。それには、将来を起点に、今後起こり得る問題を予測し、それらを克服・回避するために、今から何をすべきか議論するという「バックキャスティング」の観点から、「フューチャーデザイン」としての、数十年先を見通した長期ビジョンを作ることが不可欠なはずです。昨年9月の代表質問で同様の趣旨でグランドデザイン策定の必要性を質した際、今後検討するとの回答でしたが、改めて県の決意を伺います。

 
(2)「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方

 次に、「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方について伺います。

 昨年の私の代表質問を受けて設置された「次代を担う若者たちによる県民会議」は今までに2回開催され、どちらも傍聴しました。若者らしい発言が出されるものの、全体的には、我々でも提案できるような内容に留まっていました。先日12月4日に開催された「静岡市わかもの会議」の最終報告会も傍聴しましたが、同様の問題が感じられた内容でした。

 その理由は大きく二つあると思っています。一つは、前述の、長期的な視点がないために、今後深刻化する課題の構造に踏み込めておらず、目前の問題の克服ばかりに議論が終始し、その結果、対処療法的な提案に留まっています。二つ目は、県民会議のメンバーによる議論が継続的ではないために、表面的な内容で終わってしまっているようです。

 そのため、県民会議の役割として、当面は次期総合計画への提言を目指ざしながら、前述のフューチャーデザインとしての長期ビジョンを策定すべきです。既に、岩手県矢巾町ではフューチャーデザインの方法論を用いての「2060年矢巾ビジョン」の策定を進めており大いに参考にすべきです。また、千葉大学では、自治体等と連携して2040年の産業構造、人的資本、住宅、森林、財政等の状況を具体的にシミュレーションし、今後の課題を議論するという「オポッサム」プロジェクトを進めています。県民会議にも大変有益な取り組みだと考えます。

 また、日頃から議論を深めるために、大学教授等の専門家にも加わって頂きながら委員をワーキンググループに分け、時には視察や合宿、ワークショップを開催する等の運営改善が必要だと考えます。県の今後の方針について伺います。


 ※質問の様子です②


2.豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて
(1)人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進


 次に、「豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて」のうち、「人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進」について伺います。

 皆さん、平成23年3月11日午後2時46分に発生した地震の名称をご存知でしょうか。「東日本大震災」では実はありません。正確には「東北地方太平洋沖地震」です。「東日本大震災」は、この地震による災害を指す名称です。

 地震等の自然現象の発生を止めることはできません。しかし、震災のような社会現象である災害リスクの最小化は可能ですし、ゼロにすることも目指すべきです。

 災害リスクを、ハザード、被災対象、社会の脆弱性の積の合計と考えた場合、災害リスクを減らすために、現在の私たちは、主に「社会の脆弱性」を最小化するための取り組み、例えば防潮堤や避難施設の整備等を進めています。

 しかし、南海トラフ巨大地震では、想定される被災地域が東日本大震災の数倍、被害規模では10数倍という甚大さを考えれば、十分な支援物資や救援人材が来るまでには、相当の期間を要することが予想されます。また、私の住む中田小学校区の人口は約1万4千人ですが、避難所となる中田小と中田こども園の収容可能人数は1200人程度であることからも明らかなように、避難所は住民の一部しか受け入れられないのが現実です。

 よって、「社会の脆弱性」の最小化だけでなく、中長期的には、「被災対象」となる人口を減らす取り組み、究極的には、「避難する必要がないまちづくり」を進めるべきです。具体的には、土砂崩れ、津波、洪水、火山噴火そして、わが会派の代表質問でも取り上げた、断層のずれによる直下型地震等の恐れがある地域に対する土地利用規制を積極的に推進することが不可欠であると考えます。また、そうした危険性のある地域への定住を抑制する取り組み、例えば、該当地域にある住宅を購入・賃貸する際にはハザードマップの提供を早急に義務化すること等も必要ではないでしょうか。

 こうした「防災型土地利用規制」の推進は、自然災害の危険性が高い周辺地域から安全な中心市街地等への移住を促進することにもなり、人口減少対策としても大変有効なはずです。

 従って、防災型土地利用規制を積極的に進めながら、その前提として、都市計画的な視点から、自然災害、人口減少、超高齢化といった様々な課題に対応できる「まちづくり」を進めるべきと考えますが、県の今後の決意を伺います。


(2)包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進

 次に、「包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進」について伺います。

 県ではこの度「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想」の枠組みを活用した「伊豆半島生涯活躍のまちづくりビジョン」を策定しました。このビジョンは「移住ありきではない」とはしているものの、いずれはアクティブシニアが県外から移住定住することを想定しています。

 確かに現在は県外からのアクティブシニアの移住定住が一定数あるものの、同様の取り組みが全国各地で進んでいることや、東京圏でも2020年頃から人口減少が始まり、更に2040年頃からは高齢者人口の減少も予測される中、アクティブシニアの移住を当てにした取り組みの実現性や持続性には疑問を持たざるを得ません。

 そもそも移住定住が可能なアクティブシニアは行政の支援をあまり必要としない層です。本来行政が最優先で取り組むべき対象は、家族等の支援すら十分に受けることが出来ない生活弱者ではないでしょうか。例えば、障がい者、貧困に苦しむ子育て世代、年金が十分でない一人暮らしの高齢者等です。

 そうした生活弱者と地域の方々を「ごちゃまぜ」にした街づくりを進めているのが、「Share金沢」で有名な石川県の社会福祉法人佛子園です。これまでのように、子育て支援、障がい者支援、貧困対策、高齢者対策等を縦割りに進めるのではなく、「ごちゃまぜ」というキーワードが象徴するように、包括的な人口減少・超高齢化社会対策として地域づくりを進めることこそが今後は不可欠だと考えます。

 静岡県は「共生」「垣根のない福祉」をキーワードにした「ふじのくに型福祉サービス」を進めていますが、「ごちゃまぜの地域づくり」はそうした福祉の枠を超えたものです。

 作家の村上龍氏は次のような応援メッセージを寄せています。「佛子園の理念・方針は「ごちゃ混ぜ」と表される。似たような意味でよく使われるのは「共生」だが、きまじめな印象になる。同じ街で、障がい者、高齢者、それに子どもたちが、ともに接するのは、当然のことながら簡単ではなく、「きまじめ」では限界があり、ときに何らかの反作用が起こるときもある。必要なのは「きまじめ」ではなく、人間味溢れ、懐深い、ユーモアのようなものだと思う。それに、「やってあげる」「やってもらう」が基本となる福祉は、ともすれば「見返り」や「依存」を生じさせ、破綻することも多い」。

 こうした「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進について、県の今後の方針を伺います。

 以上について、答弁を求めます。


 ※質問の様子です③


3.非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について
(1)審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準


 次に「非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について」のうち、「審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準」について伺います。

 審議会等の議事録は政策や方針等の決定に至るまでの過程の記録であり、議論が適切に行われているか随時確認するため、そして、議論の結果がどのように施策に反映されたのか、あるいは何らかの問題が生じた場合の原因を事後的に検証するためにも、議事録を適切に作成し公開することは、納税者や将来世代に対する責任として、極めて重要です。

 しかしながら、昨年、公募型プロポーザル方式による設計者の選定に係る審査会の議事録について、文化観光部の2つの課で開示に関する判断が分かれた例のように、審議会や審議会に準ずる機関の議事録の作成や公開を、どこまですべきかの判断が各課の裁量に任されており、基準は明らかに曖昧です。

 また、ホームページ等での情報提供においても、何をどのようにどの期間掲載するか、そして過去の情報の掲載内容や期間等についても各課が判断しており、積極的な情報提供が行われているとは言い難い状況です。

 例えば、知事記者会見の記録は、現在は川勝知事のものしか掲載されていませんが、これでは歴代知事の会見等をホームページで検索や確認をすることができません。首相官邸のホームページでは歴代首相の記者会見も掲載されており、静岡県も同様にすべきです。

 また、後ほど取り上げる「中央図書館整備の検討に関する有識者会議」についても、教育委員会のホームページには全く掲載されていないようです。これで本当に全県民のための新しい中央図書館が実現できるのでしょうか。

 過去の情報も含め、迅速かつ徹底した情報提供をホームページ上でも行うためにも、例えば、審議会や審議会に準じる機関の議事録等については原則全文筆記により速やかに作成し全面公開することとし、例外的な場合にのみ、要点筆記や、一部もしくは、完全非公開を認めるというような、より具体的、積極的で統一した記録作成・公開基準の策定が必要だと考えますが、県の今後の方針を伺います。


(2)歴史的公文書の保存・公開の機能強化

 次に、「歴史的公文書の保存・公開の機能強化」について伺います。

 歴史的資料も含め、非現用となった公文書を保存する機能は、他の都道府県と比べ貧弱です。例えば、先日視察した神奈川県立公文書館では、貴重な文書が浸水しないよう3階、4階にその殆どが保存され、屋根を二重構造にするという雨漏り対策も行っています。加えて、長期停電への備えとして、貴重な歴史的文書を保存する書庫の室内は停電でも湿度調整ができる木質構造となっています。

 一方、既に35都道府県にある公文書館を持たない静岡県では、将来、歴史的文書として公開される公文書を田町文庫で保存しており、現在、保存機能を高めるための空調工事を行っています。しかし、今年5月に国土交通省が策定した想定最大規模の安倍川洪水浸水想定区域図によれば、隣接の国交省静岡河川事務所より低位置にある平屋の田町文庫は浸水区域に入ってしまっています。また、停電対策や雨漏り対策は実施されていません。このように、静岡県では、歴史的公文書を長期にわたり安全・適切に保存する機能が極めて不十分です。

 加えて、静岡県における平成27年度の歴史的公文書の閲覧者数は僅か11人であり、公開冊数も平成27年度末現在で2,075冊です。一方、神奈川県立公文書館においては、歴史的公文書の閲覧者だけでも27年度295人、公開可能な歴史的公文書は27年度末現在で227,732点であることからも明らかなように、公開についても静岡県は他県より極めて低い水準にあります。

 従って、将来的には公文書館の創設も目指しながら、早急に、歴史的公文書の保存と公開の機能強化を進めるべきと考えますが、県の決意を伺います。 

 以上について、答弁を求めます。


 ※質問の様子です④


4.県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について

 最後に、「県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について」伺います。

 教育委員会はこの10月に「中央図書館整備の検討に関する有識者会議」を設置し、基本構想案を検討しています。しかし、この有識者会議は東静岡駅南口に文化力の拠点を整備する構想に引っ張られる形で設置されたものであり、構想の内容や、わずか半年で結論を出すという運営方針を見ても、県民を広く巻き込んでの議論を目指しているようには思えません。

 例えば、東静岡駅南口と谷田に機能が二分される形は、中央図書館にとって本当に望ましい姿なのでしょうか。静岡図書館友の会の皆さんらが危惧するように、機能二分はサービス低下につながる恐れがあり、慎重な議論が必要なはずです。

 そもそも、中央図書館が直面している大きな課題は、老朽化や書庫不足等の物理的な問題だけでなく、人口減少・超高齢化の進展やICT技術の急速な発達、そして市町立図書館が充実してきた時代において、県立図書館が果たすべき役割は何か問われていることです。

 中央図書館の利用登録者の約78%が静岡市民ですが、県民の税金によって運営されている全県民のための図書館である以上、浜松・湖西市民や下田市民にも必要とされるには、どのような役割、機能を果たすべきか。一般県民を巻き込んだ議論が4年近く行われている神奈川県のように、議論を広く深く徹底的に行うべきではないでしょうか。

 現在の基本構想案は、例えば、「新県立中央図書館の目指すべき姿」は3年前に教育委員会内部でまとめられた報告書をほぼ踏襲したものです。前述の公文書館的な機能の追加等、新たな視点もあるものの、新図書館が目指すべきとしている面積や収容能力等は、他の県立図書館の平均値であったり現在のペースで蔵書が増え続けた場合に必要な能力であったりするなど、現在の延長線上で考えられた平均的な図書館構想と言わざるを得ません。

 拙速に半年で結論を出すのではなく、今まで中央図書館を利用したことがない、存在すら知らない県民まで巻き込んだ議論を十分に行って構想を策定することにより、全県民からその存在意義を認められる、静岡県情報の集積・発信拠点を第一に目指すべきです。具体的には、前述の公文書館的な機能に加え、神奈川県立図書館が公文書館等と連携して構築している「神奈川県行政資料アーカイブ」のような、県や市町が作成する電子化された行政資料や公文書をも収集し公開する、正に静岡県に関するあらゆる情報の集積・発信拠点です。そして、隣接の県立大学の図書館や先生方との連携等により、高度な課題解決の支援を行う県民のシンクタンクとしての中央図書館を目指すべきと考えますが、県の今後の方針を伺います。

 以上について答弁を求めます。


 原稿は以上ですが、実際の質問では再質問もしています。答弁内容と一緒に、後日説明したいと思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。


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