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1.人口減少問題は「体と服の関係」に例えるとわかりやすい
先月9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」。豊島区等を始めとする東京都の人口が2020年頃から減少に転じること、10年前に財政破綻した北海道夕張市は、元東京都職員の鈴木直道市長の月給は手取りで16万円足らず、老朽化した保育園の耐震化のための予算すら確保できないくらい厳しい状況にあること、島根県雲南市では、財政難のために市民が少ない予算で行政から水道検診等のサービスを請け負いながら高齢者の自宅を訪問する等の取り組みが行われているが、それすら維持が難しくなりつつあること等々の「衝撃的な」内容であり、インターネット上では、放送を見た人たちが絶望の声を上げているそうです。
これまでも私のラジオ番組「すずきさとるのすずしんラジオ」やこのブログで何度も申し上げてきた通り、国や地方の少子化対策が功を奏して出生率が例えば現在の1.4程度(静岡県は1.5程度)から2まで上昇し維持できたとしても、人口減少は少なくとも数十年間は止まりません。そして当面は同時に超高齢化も進みます。そのため、人口増加を前提とした現在の社会や経済の仕組みを変えなければ、「縮小ニッポンの衝撃」が伝えようとした絶望的な事態はそう遠くない将来に確かに起こるでしょう。
※平成26年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」17ページより抜粋
「縮小ニッポンの衝撃」は是非一度見て頂きたい良作です(※NHKオンデマンド(有料)で見ることができます)。しかしながら「だから何とかしなければならない」という、言わば警告を暗に伝える形で番組を終了している点は残念に思います。なぜなら、前述のように、「人口減少が止まる、あるいは、これから人口増加に転じない限り日本の将来は絶望的だ」という印象を恐らく多くの視聴者に与えてしまっているからです。
人口減少が負の結果しかもたらさないとしたら、確かにこれから暫くの日本の将来は絶望的、悲観的なものとなるでしょう。しかし、これも繰り返しお話してきた通り、決してそんなことはありません。例えば、日本は人口過密と長年言われてきましたが、人口減少は、物理的にゆとりのある街づくりを可能にします。また、人口減少は究極のエコ、環境対策であり、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入とも相まって、人口減少は自然に優しい低炭素社会の実現にも大きく貢献します。また、大変低いとされる日本の食料自給率も、現在の生産量を維持するだけで、人口減少に伴い相対的に上昇させることができるのです。
人口減少問題の本質は、体(人口)と服(社会の仕組み)の関係に例えると分かりやすくなります。これまでの日本社会は「若く」、成長期にあり、その体は毎年大きくなっていきました。そのため、服もそれに合わせて大きく、そして経済的にゆとりがあったことから立派なものに作り変えてきました。しかし、日本は今や壮年期に入って体の成長は止まり、そして小さくなりだしました。つまり、このままでは現在の服は大き過ぎて合わなくなる可能性が出てきました。ところが「せっかく作ったお気に入りの服なのに着られなくなるのは嫌だ。どうしよう…」と慌てている、これが現在の日本ではないでしょうか。
2.「体に合った服を作る」人口減少対策
これまでに大きく成長した体が健康なものであれば、その体型は何とかして維持しなければなりません。しかし、1億3千万人近いという人口規模や現在の都市・街づくりそして日本の社会そのものは果たして「健康」なのでしょうか。
地元静岡から東京に向かう新幹線で都内に入りますと、家やビルが所狭しと建てられた街並みが線路の両脇に広がります。それを見るたびに、日本の人口は多過ぎるように感じるのは私だけでしょうか。また、日本は、かつて世界2位の経済大国になる程にまで経済発展したにもかかわらず、最近こそ減少傾向にはあるものの毎年2万~3万人の方が自死されています。自信や夢を持って生きることが決して簡単ではない国が果たして「健康」だと言えるのでしょうか。むしろ「(やや)太り過ぎの不健康な体」と言うべきではないでしょうか。
世界に目を転じれば、人口はむしろ増加の一途であり、経済格差や環境破壊、食料や水の不足、地球温暖化等の問題が進行しています。つまり、人口が増え続けなければ維持できないという今の社会や経済の仕組みを変えない限り、人類や地球は極めて深刻な危機に直面する可能性が大きくなっているのです。そうした問題を解決するには、人口減少・超高齢化の最先進国である日本が、人口が大幅に減少しても豊かな社会を築くことができることを世界に示すことが不可欠なのではないでしょうか。
※国際連合経済社会局人口部による世界の将来人口推計グラフ(2015年)。中位推計では2100年の人口は約112億人ですが、出生率が中位推計よりも0.5上昇すれば2100年の人口は現在の倍以上の160億人超にもなってしまいます。
加えて、そもそも数十年間は人口減少を止めることは不可能ですから、今の「服」を着続けようとするなら、ほぼ唯一の選択肢として今後暫くは毎年数十万人という移民を海外から受け入れる必要があります。しかし、今もなお十分に国際化しているとは言い難い日本がそうした大量の外国人を問題なく受け入れることができるかと言えば、無理だということは想像に難くないでしょう。
では、「体に服を合わせる人口減少対策」とは何か。一言で言えば、「人口が大幅に減少し高齢化が進行しても対応できる社会の仕組み作り」です。具体的には、人口が大幅に減少する以上、現在の様々な行政サービスやインフラ等はそうした人口減少を見越して縮小する必要があります。つまり、何でも行政に頼るのではなく、近所や地域で解決できることは解決する、住宅地や市街地を適切に縮小することで、道路、上下水道、電気等のインフラの効率化を図る等の政策や仕組みの実行です。縮小と言うとマイナスイメージばかりのように聞こますが、前述の通り、それは環境に優しい社会に近づくことを意味します。また、人口増加が続いていた頃は、不足する住宅地を確保するために山や崖の近く、川沿いや海岸沿いという、自然災害に合う可能性が決して低いとは言えない場所にも家を積極的に建ててきました。しかし人口減少が進めば、そうした場所に住む必然性は小さくなります。つまり、災害に真に強い社会の実現も可能になるのです。
人口減少・超高齢化社会の到来で特に問題視されるのは、介護、医療、格差・貧困対策等の社会保障制度の持続性です。確かに、現在の医療保険、年金や介護制度等をそのまま維持することは難しいでしょう。しかし、戦後の歴史を振り返ってみれば、社会保障制度や様々な行政サービスが充実したことにより、地域や社会でお互いに助け合うことが少なくなり、その結果、近所や地域のつながり、そしてコミュニティそのものが弱体化してしまいました。今後は、様々なライフステージで困ったことがあれば近所や地域でお互いに助け合うことが当たり前の社会を再び築くことにより、行政サービスに出来る限り依存しないようにすることが不可欠です。言うほど簡単ではないかもしれませんが、地域の絆やコミュニティの再構築、そして「健康で心豊かな」社会の復元のためにも必要なことだと思います。
何かと注目されることが多い小泉進次郎氏が先日「人口が減ったって、やっていけるという自信が大切。将来に悲観する1億2000万人より将来に自信と楽観を持つ6000万人のほうが強い。いつか人口が下げ止まるときがきて、そこから力強い成長がある。人口減少を強みに変えよう」とある会合で訴えたそうですが、私も基本的に同感です。これまでの考えや仕組みに囚われ「服に体を合わせる」人口減少対策を進める限り、問題は解決せず将来に悲観せざるを得ないでしょう。発想を変え、人口減少を強みに変える「体に合った服を作る」人口減少対策を打ち出し実行することこそが、今の日本社会が将来への自信や楽観を取り戻すには必要なはずです。政治家の端くれとして、そうした政治の役割の一端を少しでも担うことができるよう、私も引き続き努力する所存です。
※「体に服を合わせる人口減少対策を」と題して、2回にわたり10月(14日と28日)の「すずしんラジオ」で同趣旨のお話をします(インターネットでも同時に放送します)。是非お聞き下さい!
お読み下さりありがとうございます。
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1.人口減少問題は「体と服の関係」に例えるとわかりやすい
先月9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」。豊島区等を始めとする東京都の人口が2020年頃から減少に転じること、10年前に財政破綻した北海道夕張市は、元東京都職員の鈴木直道市長の月給は手取りで16万円足らず、老朽化した保育園の耐震化のための予算すら確保できないくらい厳しい状況にあること、島根県雲南市では、財政難のために市民が少ない予算で行政から水道検診等のサービスを請け負いながら高齢者の自宅を訪問する等の取り組みが行われているが、それすら維持が難しくなりつつあること等々の「衝撃的な」内容であり、インターネット上では、放送を見た人たちが絶望の声を上げているそうです。
これまでも私のラジオ番組「すずきさとるのすずしんラジオ」やこのブログで何度も申し上げてきた通り、国や地方の少子化対策が功を奏して出生率が例えば現在の1.4程度(静岡県は1.5程度)から2まで上昇し維持できたとしても、人口減少は少なくとも数十年間は止まりません。そして当面は同時に超高齢化も進みます。そのため、人口増加を前提とした現在の社会や経済の仕組みを変えなければ、「縮小ニッポンの衝撃」が伝えようとした絶望的な事態はそう遠くない将来に確かに起こるでしょう。
※平成26年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」17ページより抜粋
「縮小ニッポンの衝撃」は是非一度見て頂きたい良作です(※NHKオンデマンド(有料)で見ることができます)。しかしながら「だから何とかしなければならない」という、言わば警告を暗に伝える形で番組を終了している点は残念に思います。なぜなら、前述のように、「人口減少が止まる、あるいは、これから人口増加に転じない限り日本の将来は絶望的だ」という印象を恐らく多くの視聴者に与えてしまっているからです。
人口減少が負の結果しかもたらさないとしたら、確かにこれから暫くの日本の将来は絶望的、悲観的なものとなるでしょう。しかし、これも繰り返しお話してきた通り、決してそんなことはありません。例えば、日本は人口過密と長年言われてきましたが、人口減少は、物理的にゆとりのある街づくりを可能にします。また、人口減少は究極のエコ、環境対策であり、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入とも相まって、人口減少は自然に優しい低炭素社会の実現にも大きく貢献します。また、大変低いとされる日本の食料自給率も、現在の生産量を維持するだけで、人口減少に伴い相対的に上昇させることができるのです。
人口減少問題の本質は、体(人口)と服(社会の仕組み)の関係に例えると分かりやすくなります。これまでの日本社会は「若く」、成長期にあり、その体は毎年大きくなっていきました。そのため、服もそれに合わせて大きく、そして経済的にゆとりがあったことから立派なものに作り変えてきました。しかし、日本は今や壮年期に入って体の成長は止まり、そして小さくなりだしました。つまり、このままでは現在の服は大き過ぎて合わなくなる可能性が出てきました。ところが「せっかく作ったお気に入りの服なのに着られなくなるのは嫌だ。どうしよう…」と慌てている、これが現在の日本ではないでしょうか。
2.「体に合った服を作る」人口減少対策
これまでに大きく成長した体が健康なものであれば、その体型は何とかして維持しなければなりません。しかし、1億3千万人近いという人口規模や現在の都市・街づくりそして日本の社会そのものは果たして「健康」なのでしょうか。
地元静岡から東京に向かう新幹線で都内に入りますと、家やビルが所狭しと建てられた街並みが線路の両脇に広がります。それを見るたびに、日本の人口は多過ぎるように感じるのは私だけでしょうか。また、日本は、かつて世界2位の経済大国になる程にまで経済発展したにもかかわらず、最近こそ減少傾向にはあるものの毎年2万~3万人の方が自死されています。自信や夢を持って生きることが決して簡単ではない国が果たして「健康」だと言えるのでしょうか。むしろ「(やや)太り過ぎの不健康な体」と言うべきではないでしょうか。
世界に目を転じれば、人口はむしろ増加の一途であり、経済格差や環境破壊、食料や水の不足、地球温暖化等の問題が進行しています。つまり、人口が増え続けなければ維持できないという今の社会や経済の仕組みを変えない限り、人類や地球は極めて深刻な危機に直面する可能性が大きくなっているのです。そうした問題を解決するには、人口減少・超高齢化の最先進国である日本が、人口が大幅に減少しても豊かな社会を築くことができることを世界に示すことが不可欠なのではないでしょうか。
※国際連合経済社会局人口部による世界の将来人口推計グラフ(2015年)。中位推計では2100年の人口は約112億人ですが、出生率が中位推計よりも0.5上昇すれば2100年の人口は現在の倍以上の160億人超にもなってしまいます。
加えて、そもそも数十年間は人口減少を止めることは不可能ですから、今の「服」を着続けようとするなら、ほぼ唯一の選択肢として今後暫くは毎年数十万人という移民を海外から受け入れる必要があります。しかし、今もなお十分に国際化しているとは言い難い日本がそうした大量の外国人を問題なく受け入れることができるかと言えば、無理だということは想像に難くないでしょう。
では、「体に服を合わせる人口減少対策」とは何か。一言で言えば、「人口が大幅に減少し高齢化が進行しても対応できる社会の仕組み作り」です。具体的には、人口が大幅に減少する以上、現在の様々な行政サービスやインフラ等はそうした人口減少を見越して縮小する必要があります。つまり、何でも行政に頼るのではなく、近所や地域で解決できることは解決する、住宅地や市街地を適切に縮小することで、道路、上下水道、電気等のインフラの効率化を図る等の政策や仕組みの実行です。縮小と言うとマイナスイメージばかりのように聞こますが、前述の通り、それは環境に優しい社会に近づくことを意味します。また、人口増加が続いていた頃は、不足する住宅地を確保するために山や崖の近く、川沿いや海岸沿いという、自然災害に合う可能性が決して低いとは言えない場所にも家を積極的に建ててきました。しかし人口減少が進めば、そうした場所に住む必然性は小さくなります。つまり、災害に真に強い社会の実現も可能になるのです。
人口減少・超高齢化社会の到来で特に問題視されるのは、介護、医療、格差・貧困対策等の社会保障制度の持続性です。確かに、現在の医療保険、年金や介護制度等をそのまま維持することは難しいでしょう。しかし、戦後の歴史を振り返ってみれば、社会保障制度や様々な行政サービスが充実したことにより、地域や社会でお互いに助け合うことが少なくなり、その結果、近所や地域のつながり、そしてコミュニティそのものが弱体化してしまいました。今後は、様々なライフステージで困ったことがあれば近所や地域でお互いに助け合うことが当たり前の社会を再び築くことにより、行政サービスに出来る限り依存しないようにすることが不可欠です。言うほど簡単ではないかもしれませんが、地域の絆やコミュニティの再構築、そして「健康で心豊かな」社会の復元のためにも必要なことだと思います。
何かと注目されることが多い小泉進次郎氏が先日「人口が減ったって、やっていけるという自信が大切。将来に悲観する1億2000万人より将来に自信と楽観を持つ6000万人のほうが強い。いつか人口が下げ止まるときがきて、そこから力強い成長がある。人口減少を強みに変えよう」とある会合で訴えたそうですが、私も基本的に同感です。これまでの考えや仕組みに囚われ「服に体を合わせる」人口減少対策を進める限り、問題は解決せず将来に悲観せざるを得ないでしょう。発想を変え、人口減少を強みに変える「体に合った服を作る」人口減少対策を打ち出し実行することこそが、今の日本社会が将来への自信や楽観を取り戻すには必要なはずです。政治家の端くれとして、そうした政治の役割の一端を少しでも担うことができるよう、私も引き続き努力する所存です。
※「体に服を合わせる人口減少対策を」と題して、2回にわたり10月(14日と28日)の「すずしんラジオ」で同趣旨のお話をします(インターネットでも同時に放送します)。是非お聞き下さい!
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