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人口転出問題:冷静で長期的な議論と対策を

2015-02-07 | 人口減少問題とDIY主義!

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 2月5日に総務省が公表した平成26年の「住民基本台帳人口移動報告」によると、静岡県は、転出者が転入者を上回る転出超過が7240人で、2年連続の全国ワースト2位となりました。翌日の新聞やニュースで大きく採り上げられましたが、こうした人口流出や人口減少の問題については、常に冷静かつ長期的な視点からの議論と対策が必要だと改めて指摘したいと思います。


平成27年2月6日静岡新聞1面記事


 流出超過、つまり社会的減少数が北海道に次ぐ7240人、しかも前年よりも超過数が増えていることは確かに憂慮すべき事態です。しかし、絶対数やワースト2という結果ばかりに囚われていると、議論が目先のことだけになってしまうでしょう。

 まず、7240人転出超過の影響を考えるには、その数の大きさだけでなく、県全体の人口との比較も当然ながら必要です。なぜなら、同じ人数でもその影響は人口が少ない県であればあるほど大きくなるからです。

 そこで、今回公表された昨年の転出転入人口と、平成25年10月1日現在の人口との比を都道府県別に計算し、転出人口の割合が大きい順に並べてみました。


※平成26年の転入・転出超過数と平成25年10月1日現在の人口との比による都道府県ランキング(鈴木作成)


 この人口比のランキングでは静岡県はワースト21位となり、絶対数ではワースト1位である北海道も、人口が静岡よりも多い543万人ということから静岡よりも下位の24位ということになります。つまり、絶対数でワースト1位、2位を2年連続で記録した北海道や静岡県の状況が突出して悪いというわけではありません。

 また、年代別の流出入の状況を見てみると、静岡県の場合、55歳以上の人口はほぼ全階級で流入超過となっており、静岡県は高齢者にとって比較的住みやすい県であることがわかります。逆に、青森県の場合はほぼ全階級で転出超過となっており、状況は極めて深刻だと言えます。


※主な都道府県の5歳階級転入・転出超過数(平成26年)


 
 いずれにしても、人口の社会的移動については、東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)と福岡県、愛知県、宮城県以外は全て転出超過となっており、日本全体の構造的な問題と考えるべきものです。もちろん、それぞれの県は雇用の確保も含め魅力を高める努力を続けることが必要ですが、転入超過の都県も近い将来人口減少に転じることを考えれば、転出人口を減らし転入超過にすることは容易ではなく、ましてや自然減を上回る転入超過を実現することは極めて困難であると考えるべきでしょう。

 短期的な結果を求めようとすると、どうしても企業誘致や移住促進のために補助金を注ぎ込むばかりになりがちですが、そうした政策やその効果は決して長続きはしません。人口減少が続くことを前提とした仕組みの構築や地域づくりを進め、観光や農林水産業そして、地域が得意とする先端技術に特化した産業の育成など、地域の特色を更に伸ばす政策や事業を地道に続けることこそ必要なのではないでしょうか。

 お読み下さり、ありがとうございます。

 


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