When words leave off music begins.
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Vitali Chaconne [Arthur Grumiaux]
昭和四十五年三月十日指定
滝馬室(たきまむろ)の氷川神社には的(まと)祭りの神事が伝えられている。
延暦年間(七八二~八〇五)征夷大将軍坂上田村麻呂(さかのうえたむらまろ)は東北遠征の途次、この地の住民に悪竜(大蛇)退治を依頼されてひきうけた。
田村麻呂に追いつめられた悪竜は滝馬室常勝寺(じょうしょうじ)の山林にのがれ、桜の巨木に巻きついたので田村麻呂は竜の目を射抜いて退治をしたという。竜の頭は氷川神社境内に、胴体は常勝寺に埋められた。ために常勝寺は竜蔵山と山号が付され、桜は蛇桜と呼ばれるようになった。
的祭りはこの口伝にちなんだ五穀豊穣の祈願祭であり、一時中断されていたが、貞享年間(一六八〇年代)島田常勝という人が復興し、氷川神社の例祭として現在まで伝えられている。しかし、祭りに使用する弓箭(ゆみや)・直衣(ひたたれ)等は島田家の数度の火災により焼失し今はない。
的祭は例年一月十二日に執行されている。神事は氏神に祝詞を奏上した後、氏子中より十二歳になる相続人男子二名を選び、葦(あし)の網代(あじろ)に蛇の目を描いた的をめがけ、各三本づつ箭を射た後、氏子一同神餞物を食し豊作を祈願して終了となる。
昭和六十三年三月 鴻巣市教育委員会