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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

ユナイテッド93

2007-09-24 21:29:42 | 映画-2007年

「テロいくない」

 去年に『ワールド・トレード・センター』とほぼ同時期に、911ものとして公開されてました。
 当時も観たかったんだけど観る時間がなくて。ようやくCATVで観ることができました。

 これは、なんと感想を書いたらいいんだろうか…と悩んでしまう映画だった。
 というのも、この映画にはストーリーらしいものはなくて。911テロ事件の当時、ユナイテッド93便が離陸して、墜落するまでをドキュメンタリータッチで作った映画だから。
 強いて言えば群像劇というか、ユナイテッド93便を中心にして、その周囲の人たちの動きを当時の証言や資料などから再現しているという。
 なので、ハイジャック機の認識が実際の事実と異なっていたり、テロそのものに誰も気付いていなかったりと、劇映画としてみたらかなりグタグタな展開になっている。
 だけど、その事実を把握し切れていない混乱ぶりそのものが、このテロの恐ろしさと衝撃を物語っているのだと思う。
 事実を把握し切れていない様子は『ワールド・トレード・センター』でも描かれていたんだけど。
 でも、この映画では国を守るはずの軍隊も慌てていたり、管制室が機能できていないなど、テロという未曾有の事態に対応し切れていない様子が生々しく描かれているのだ。
 なお、この映画全体に言えることなのだが、手持ちカメラで視点の定まらないショットのため、ポジションが非常に落ち着かない。このぶれたショットがその場に居合わせた視点のようで、極めて臨場感がある。

 そうやって地上で混乱しているさなかにも、上空のユナイテッド93便の中では、テロの発生を知らずにのんびりとフライトを楽しんでいる。
 そんな中、テロ実行犯だけがテロ決行を控えて青ざめた表情で乗り合わせている。
 地上の慌てぶりと、乗客ののんびりさ、そしてテロ実行犯の緊張した表情という、このコントラストが緊張感を増幅させる。

 そして、ついにユナイテッド93便でもテロが発生する。慌てふためく乗客たち。
 ぶれまくりの映像が、かえってハイジャックの緊迫感を見事に表現している。
 ここで興味深いのが、乗客たちが携帯電話や機内電話を使って、地上の家族と連絡を取り、自分たちがテロに巻き込まれていると自覚するようになるところ。
 テレビによる情報網の発達と、携帯電話というパーソナルな連絡機器によって、現状認識が速やかに行われる世の中になったのだ。
 とはいえ、オレが日本の国内線で携帯電話を使おうと思っても、圏外になっていて使えなかったけど…。

 このままでは自爆テロの巻き添えになるだけと悟った乗客たちは、決死の覚悟でテロリストを相手に立ち向かい、コクピットにたどり着いたところで映画は終わる。
 コクピットで何があったのかまではわからないが、地上とのやりとりやフライトレコーダーの記録などから、おおよそこの映画にあるようなことがあったとのこと。
 決してドラマチックな展開にはならないけれど、あの事件での出来事が映像化されたという衝撃だけでも凄まじいと思った。
 そして、死を覚悟したテロリストと乗客たちとの、生死ギリギリでの表情や振る舞いというのが迫真であった。

『ユナイテッド93』(CATV)
監督:ポール・グリーングラス
点数:8点


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