「以後、良く広まるかどうかは定かではない」
<iframe scrolling="no" height="240" frameborder="0" align="left" width="120" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=aaaaaea071-22&o=9&p=8&l=as1&asins=404713726X&fc1=000000&=1&lc1=0000ff&bc1=000000&lt1=_blank&IS2=1&f=ifr&bg1=ffffff" marginheight="0" marginwidth="0"> </iframe> もともと『戦国自衛隊』が好きだったというのもあるんだけど。
マンガ版を読んで、「こりゃあ、面白そうだ!」ってことで観にいった。
出演も江口洋介、鹿賀丈史、的場浩司と好きな俳優が結構クレジットされてるし。
すっかり、角川書店のメディアミックス戦略に踊らされてるなぁ(苦笑)。
んで、この映画を観るにあたって。
SFとしての科学的考証だとか、歴史的・文化的考証だとか、戦術・戦略だとか、そんなもんは一切無視して観るべし! と自戒していた。そんな細かいこと考えてたら、こういう映画は楽しめないから。
っていうか、元々の作品もそんなの無視してたしな。
上記のことを踏まえながら、この映画を観たんだけど……。
ハッキリ言って、マンガ版を先に読んで期待感が高まっていただけに、けっこうショックを受けたっていうかガッカリした。
何がショックだったかって、的場毅(ラスボス、コミックの表紙になってる人)が道化になってしまったこと。
マンガ版でもイカしてたし、鹿賀丈史が演じるってんで期待してたのに。
作中、的場毅は自衛隊一の切れ者ってことになってるんだが。
いきなり、へんてこりんな衣装を纏ってるし(多分、織田信長を意識してるんだと思う)、首実検はしないし、誰でもわかるウソに簡単に騙されるし(よしんば事実だったとしても時は戦国。電話で話すわけじゃないんだから、裏付けをとるだけの時間は彼にはある)……どこが切れ者なんだ、と。
戦術・戦略の矛盾はつっこまないと先に書いたけど。
だけど、的場毅って切れ者なんでしょ? 彼は21世紀の人間で、戦国時代の歴史だって知ってるはず。
だったら、鎧兜なんかよりケブラー製の防弾ベスト+ヘルメットの方が優れてるって判断できるだろう。
なのに、なんでこの時代のモノをわざわざ着用するんだ? 不便だろ。戦場で生き残れないだろ。
っていうか、マンガ版では軍服姿で、逆にそこに凄みを感じていたんだが。
なんか、切れ者のはずの的場毅が、この映画では戦国に迷い込んだスットコドッコイにみえた。
自衛隊との戦闘シーンも興醒めだった。
マンガ版では、戦国時代の強者どもが洋装化された武装で非情に攻め込んできて、「こりゃあ、いったいどうすりゃいいんだ」っていう恐怖があったんだが。
映画版では、冒頭こそトラックに火をかけるとか、一人に対して必ず複数で当たるなど、戦国の非情がでてたんだけど。
主人公が相手になると、途端に斬りかかるのを躊躇して遠巻きに見ているだけ(『暴れん坊将軍』とか『水戸黄門』の殺陣シーンをイメージ)。せっかく銃を手にしても、相変わらず主人公には弾が当たらないし。莫大な量の矢を放っても、あたるの一本だけ。
なんかさ、こういう古典芸能的な撮り方はやめようや。
(こういうヘンな演出が余計に的場毅を無能っぽくしている)
っていうか、敵兵に囲まれてる状態で支援も無しにヘリで逃げる、っていうシチュエーションにそもそもの無理があった。
縄梯子に掴まっている江口洋介が「さらばだ明智くん!」って言うんじゃないかと冷や冷やした。
敵兵に囲まれてるってところでいえば。無能な上官が最後の最後で囮になるためにハジキ一丁で飛び込んでいったときは、「はやく手榴弾のピンを抜け」と、ずっと期待してた。
でも、ピンは抜かずに取り囲まれて討ち死に。腰抜けめ!
で、物語の終わり方もな……。
お約束を畳み掛けておいての「歴史の修復能力」の効果自体、そもそもご都合主義の極限に達しているけど、まあ、それはそれで良いと思う。
でも、「俺たちが日本の未来を切り開くんだ!」って富士山を眺めてるのは、「なんじゃこりゃ」だった。
だって、的場毅が憂えた負の歴史が変わってないんだもん。
この映画のキモは、やっぱ宿敵である的場毅の存在だと思う。
歴史を揺るがす(文字通り歴史を作り直そうとしてるわけだが)ほどの人物として描き切れていれば、この映画はもっと面白い映画になっていたはず。
スットコドッコイなキャラにしかできなかった時点で、あとは全てが陳腐化してしまった。
考証抜きでエンターテイメントを作ることは間違いじゃないと思う。
でも、“切れ者”を演出するには、観客を納得させるだけの考証は必要だと思う。フィクションであるだけに、それはより重要だ。非現実的な行動を取る切れ者は、ただのキレ者だ。
演出といえば大道具のディティールにもこだわってほしかったな。
安母城の秘密兵器のレバー(?)なんか最低の造形で、「今週のビックリドッキリメカー!」なんて言い出すんじゃないかとハラハラしていた。
最後に、けなしてばっかもあれなんで良かったところも。
崩れる瓦礫を身を賭して支えるシーン。『里見八犬伝』以来の角川の十八番(?)だが、オレはこのシチュエーションが大好きだ。
マンガ版は期待を裏切らないでくれよ、と未だにメディアミックスに踊らされるオレだったりするわけだが。
『戦国自衛隊 1549』(映画館)
http://www.sengoku1549.com/pc/
監督:手塚昌明
出演:江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史、的場浩司、北村一輝、伊武雅刀、他
評価:5点(戦国自衛隊のタイトルに+1)
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