「悪党面ばっかり」
最近のドキュメンタリー映画は面白いのが多い。
んで、このエンロン絡みの話は、ライブドアショックのときに引き合いに出されることもあったので、それなりに興味のある話だった。
なので、わりと期待して観に行きましたよ。
ドキュメンタリーとして語られるお話はかなり面白かった。
エンロンの悪どいやり方、のっけから会計操作・粉飾決算で水増しするのなんて当たり前。
金に物を言わせて影響力のある人を抱き込んで、気に入らないヤツを葬り去る。
あること無いことを吹き込んでは期待値と株価をつり上げる。
能力主義の建前でドキュン真っ青な人事。
挙げ句に、停電や災害をダシに電力価格をつり上げて、利ざやを稼ぐってやり方は、よくもまあ死人が出ないもんだと呆れるやら、驚くやら。
カリフォルニアの大停電は日本にいたオレも覚えていたが、まさかこんなことがあったとは知らなかった。
狡賢そうなエンロン社員のツラを見てると、ホントにムカツク。
っていうか、今時の日本で「自由化」「規制緩和」を言ってるヤツらって、エンロンと同じ穴のむじななんじゃないかって思っちゃいそう(笑)
過去のニュース映像や資料などを用いて、エンロンの悪行を検証していくというドキュメンタリーの作り方は、話がドラマチックなだけにとても面白かった。
こつこつ働いていた技術者が勤めている会社がエンロンに買収されて、その後、倒産の憂き目にあって一文無しになったところは、ホントに怒りが込み上げてくる。
ただし。“映画”として観たら、インパクトが薄いのが残念だった。
例えば「10億ドルの損失」って言われても、せいぜい廃墟になった発電所が映るぐらい。そのほとんどはお金の桁数が、淡々と字幕となって表示されるだけ。
これが映画としての魅力を大きく損なっていた。
同じ10億ドルの損失だったとしても、株価の暴落で10億ドルの損失を出すのと、総工費10億ドルのビルが倒壊するのとでは、映像のインパクトは明らかに後者の方が勝っている。
つまりは、そういうこと。
帳簿上のお金が増えたり減ったりっていうのは、話のスケールとは裏腹に非常に地味なんだよ。
この手の話でまとめるなら、NHKスペシャルあたりでやってくれた方が助かる。
それでも、まだやりようはあったはず。
例えば、エンロンの粉飾会計と実態をグラフにして比較すると、エンロンがどのような影響を持っていたのか世界地図を使って説明するとか、いろいろ方法はあったはずなのに。
あと、エンロンって会社がいまいちピンとこないのも残念だった。
時価総額(だったかな?)が全米で7位っていわれても、それがどういうことか分からないし。そもそも、エンロンって何をやっていた会社かも実感がわかないし。
アメリカの映画だから仕方がないんだろうけど、こういうところがわかりやすかったら、映画としても面白い映画になったんだろうけど。
『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』(映画館)
http://www.enron-movie.com/
監督:アレックス・ギブニー
点数:6点
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