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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

デビルマン

2004-10-29 16:08:00 | 映画-2004年

「デビルカズヤの方がマシ……」

『デビルマン』といえば、テレビアニメしか知らず、ファミコン版のゲームをちょっとプレーしたことがある、という程度のオレ。だから漫画版(永井豪の原作)は知らんのです。
 そんなヒトが、こんな映画を観ましたというカンジです。

★ミドコロ★
・デーモンに寄生されてしまった!
 悪魔に寄生されてしまった明(伊崎央登)。水面に映る自らのおぞましき姿を見てしまい――
「あ~、おれデーモンになっちゃった」
 ……その昔、親戚の子供が
「あ~、ウンコたれちゃった」
 って言ったのを思い出してしまい、劇場で独り笑ってしまった。

・全てを捨てて戦う男!
 デーモンになっちゃったけど、人類のために戦い「(人助けをしなければ)デビルマンになった意味がない」とうそぶく明。
 意図せずデビルマンに"なっちゃった"けど、すぐさま人類のために戦う決意をする明は、常人の理解を超えてポジティブシンキングだ。

・お気に入りのスカジャンで!
 ツーリングが大好きな明。海へ行くときは、いっつも同じスカジャンだ。
 同じ日に別のシーンを、まとめ撮りをしたわけではない、きっと。

・あのTシャツで!
 アニメでおなじみの黄色地で左胸に「A」とプリントされた、あのTシャツがお気に入りの明。
 稲穂が実り、あまつさえセーターやコートを着る人がいる季節でも、明はTシャツだ。

・シレーヌ登場!
 シレーヌに愛されていた明ことデーモンのアモン。だが、今や人間に肩入れする明=アモンが憎くて、シレーヌはアモンと決闘をする。
 その間、だいたい5分ぐらい。セレブな冨永愛のカメオ出演でした。
 ちなみに家でくつろいでいた明はTシャツ姿だったのに、決闘を終えた明は長袖の服(革ジャンだったか? 記憶が薄れた)に着替えている。
 一歩家から出たらTシャツ姿にはならない。それが明。

・お父さん!
 長袖の服を着て、悪魔の証であるグロテスクな鱗を隠していた明。しかし、それをミキちゃんのお父さんにうっかり見られてしまう。
 天に向かって「あ~」と絶叫する明。
 でも、ミキちゃんのお父さんは、昔の明も今の明も変わらず愛していると言ってくれる。そして、そのことはミキには知らせてやってくれるなよ、と二人の関係を知った上で我が娘への愛情も同時に示してくれる、いいお父さんだ。
 だけど、明は家の中ではおかまいなしにTシャツ姿になる(そして、悪魔であることがバレない)。それが明。

・ミキちゃん!
 原作でもおなじみの斬首されたミキちゃん。その首を見て、様々な感情がない交ぜとなる明。
 ――役者としてまたとないオイシイ場面が来たぞ! さあ、思いの丈を込めて演じるがいい!
明:「あ~、あ~、あ~……」
 きっと人間って、あらゆる感情が吹き出すと、むしろ感情が抑圧されるのかも知れない、そんなことを考えさせられる名演だった。

・デーモン容疑者!
 作中登場する、「デーモン容疑者」というワードだが……閣下を連想してしまったよ。

・KONISHIKI!
 KONISHIKIだけはVFXなし! 『マッハ』かよ!

・サップ!
 サップがサップ役で登場。

・殺せ! 生きろ! 殺す!
 人間はクズだから死ぬべきだけど明だけは生かしておきたいというサタンに対し、ミキちゃんや家族がいない世界に生きていても仕方がないからオレを殺せという明だが、そんなことよりオレと手を組もうぜというサタンに対し、テメーのようなヤツは許せないからぶっ殺す!とワメく明だが、そんながっかりなテメーはやっぱりぶっ殺すと変心するサタン、最初から交わることのない平行線はどこまで行っても平行線でした。  

 ……まあ、こんなもんかな。
 残念な点はモノローグと語りだけで全てを片付けようとする安易さ。
 冒頭、やたら明の語りが多いのは……原作のボリュームを考えたら仕方がないのかも知れない。
 だが、地獄のような有様や世界戦争を"語り"だけで終わらせてしまうのは……
「戦争が起きました」
「日本が報復しました」
「世界中が戦争です」
 これらをモニターに映るボブ・サップが報告するだけ。
 オレが映画を観る理由の一つに、「スクリーンでしか絶対に観られない光景」を観たいというのがある。
 例えば、沈没するタイタニック号であったり、ブッ壊れた自由の女神であったり、ビルより大きな津波だったり……こういったものに金を払ってると言っても良い。
 善し悪しは別問題として、いわゆるハリウッド大作ってのは、こういうものを見せつけようという強固な意志(あるいは経営方針)がある。
 それに引き替え『デビルマン』には、そんな意志がないばかりか、世界大戦を「語りだけで処理(しかも、サップ)」という、あまりにもセコイ方法でごまかした。
『デビルマン』という優秀なコンテンツを潰してしまいかねないこの行為は、ダイコンな役者やショッパイ台本以上に許し難いことである。

 最後に、ASAHI.comに掲載されていた映画評より一文を抜粋する。
「紙とペンだけであれだけの衝撃を与えた原作の、なんと偉大なことか」

『デビルマン』(映画館)
http://www.devilmanthemovie.jp/
監督:那須博之
出演:伊崎央登、伊崎右典、酒井彩名、渋谷飛鳥、冨永愛、他
評価:2点


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