「グフこそ漢のモビルスーツ」
前からずっと観たいと思ってたんだけど、観る機会がずっとなくて。ようやく観ることができた。
OVAの10話分と「ミラーズ・リポート」をまとめた観た。
オープニングのボールから始まって、ドップとかマゼラアタックとかアッガイとか、陽の目を見ない脇役モビルスーツや機体が頑張る作品。
っていうか、ホワイトベース隊が出てこないし、宇宙にも行かないので、必然的にテレビ版では描かれなかった部分をフューチャーすることになるんだけど。それを利用して、徹底的に一年戦争の舞台裏っていうか、「ホワイトベース隊のいないところで実際にあった戦闘」ってのを描いてる。
モビルスーツを地球上で運用したら……っていうifに、アニメなりの回答を出してるのが面白かった。
クーラーが効かなきゃコクピットで汗をかくし、パッキンが壊れたら関節に砂が入る。
物資が足りないから連邦の装備品をザクが装備したり、ジムの頭で補修しちゃうところとか。
(ZZでもザクの頭をZの頭につけてたっけ……)
ラストでは、08小隊の3体の陸戦用ガンダムが、みんな違う外観になっちゃってるところなんかサイコーだった。
序盤は東南アジアを思わせるジャングルでの戦闘がメイン。
このへん、アメリカのベトナム戦争ものっぽくて、オレ的には好感度高。っていうか、ガンダムなのにライフルを使ってるところとか。丘に設けられたトーチカとか、ゲリラの村に広がる田園地帯とか、そういう雰囲気っていうか空気みたいのを出したかったんじゃないかな。
その他にも水中戦闘あり、砂漠、雪山(戦闘はなかったけど)、市街地と、いろんな場所での戦闘があって地球上での戦闘ならではで観てて楽しかった。高々度(少なくても雲より高い高度)からのモビルスーツによる降下作戦とかもあったし。
あれだけ巨大な兵器で隠密行動もないだろう、ってイジワルなツッコミもしたくなるけど。まあ、ミノフスキー粒子の影響でってことで。
っていうか、テレビ版のガンダムシリーズって、どうしても戦闘がメインになるし、ヒロイックな活躍しか望まれていないから、ジャングルを這いずり回る作戦なんてのはあんまりない。
だから、この08小隊みたいにモビルスーツを運用しての地味な作戦ってのに、なんか新鮮なカンジがした。
んで、地味な戦闘が多いし、小隊単位で行動してるからモビルスーツはあんまり壊れないし、一発の弾丸の重みが違う。
(モビルスーツを9機失って青くなる)
でも、このへんのフツーな感じが良かった。それに、あの世界観でのシャアやアムロがいかに偉大だったかってのも分かるし。
この前、終わったばっかりのSEED DESTINIYなんかだと画面中のモビルスーツがドカドカぶっ壊れちゃうけど、ああいう破壊のインフレに曝されすぎると、むしろ対戦車砲で関節を破壊されるザクの方が格好良く見えたりする。
(べつにSEED DESTINIYがイヤだってわけじゃないけど)
んで、格好いいといえばノリスが乗ってたグフ。
ノリスって最初はひよこみたいな頭のオッサンぐらいにしか思ってなかったけど、グフに乗ってエラく格好良くなった。
っていうか、やっぱり戦いの中で戦いを忘れるしな。
義に生き、忠を尽くすオッサンこそ、まさにグフのパイロット。格好良すぎ!
それに引き換え、連邦軍の卑劣でかっこ悪いことといったら……。
0083もそうだったけど連邦軍ってのはダサいの象徴みたいだ。
地球の引力に魂を引かれるってのは、こういうことなのか。
ラストの「ラストリゾート」に関しては……蛇足といえば蛇足のような気もするけど、まあ、あれはあれでよしとしよう。
戦闘シーンが格好いいし、小隊のウィットのあるギャグと友情パワーのバランスも良い。宇宙世紀ものの外伝作品には外れがない。
最後に……ヒロインのアイナは、あのたれ目と井上喜久子氏の声で、そうとうにポイントを稼いでるような気がする。
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』(CATV)
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート』(CATV)
監督:神田武幸
出演:檜山修之、井上喜久子、結城比呂、小山茉美、玄田哲章、藤原啓治、他
評価:8点
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます