前に戻りますが、サウロらがキプロス島に
いた時、名前がパウロに変わります。
この部分をバックストンは
「旧約聖書においても、たびたび、新たな
恵みを受けた時に、新しい名前を付けて下
さいました。アブラムはアブラハムへ、
サライはサラへ、ヤコブはイスラヘルへ、
新約聖書では、シモンはペテロへ、この様に
サウロも新しい名、パウロを得ました。
サウロはベニヤミンの末裔でしたから、その
名は、昔のベニヤミン部族から出た王の
サウロを記念します。
パウロというのは、ローマの身分の高い家の
名で、有名な名前です。パウロは生まれなが
らローマの市民権を持っていました。
彼は確実に異邦人に福音を宣べ伝えたかった
ので、ユダヤの名を捨てて、ローマの名を付
けたのかも知れません。それで、ローマ人と
親しく交わる事ができたのです。」
パウロらは、ピシデアからイコニオムに行き
ます。彼らは、同じ様に、ユダヤ人の会堂に
入って語った結果、ユダヤ人やギリシャ人が
大勢信じた。
ところが、信じなかったユダヤ人たちは、
異邦人たちをそそのかしてパウロらに悪意を
いだかせた。
主は、彼らの手によって、しるしと、奇跡を
行わせ、その恵みの言葉を証しされた。
ユダヤ人は役人と一緒になって反対運動を起
こし、使徒たちを石で打とうとした。
彼らは、それに気付き、ルカオニアの町々、
ルステラ、デルベの地へ逃れ、そこで福音を
宣べ伝えた。
ルステラに生まれながら足なえの人が座って
、パウロの語るのを聞いていた。
パウロは彼をじっと見て、いやされるほどの
信仰が彼にあるのを認め、大声で、
「自分の足で、真っ直ぐに立ちなさい!」と
言った。すると彼は躍り上がって歩き出した
。
群衆はパウロのした事を見て、声を張り上げ
「神々が人間の姿をとって、私達の所に、
お降りになったのだ!」と叫んだ。
彼らは、バルナバをゼウスと呼び、パウロは
主に語る人なので、彼をヘルメスと呼んだ。
そしてゼウス神殿の祭司が、群衆と共に、
二人に犠牲を捧げようと思い、牡牛数頭と
花輪とを門前に持って来た。
そこで使徒の二人は、これを聞いて自分の
上着を引き裂き、群衆の中に飛び込んで行き
叫んで言った。
「皆さん、なぜ、こんな事をするのか。私達
もあなた方と同じ人間です。
あなた方が、この愚にもつかぬものを捨てて
天と地と海と、その中の、全てのものを、
お造りになった生ける神に、立ち返る様に
福音を説いているものである。
あなた方の為に、天から雨を降らせ、実りの
季節を与え、食物と喜びとで、あなた方の心
を満たすなど、色々の恵みを、お与えになっ
ているのです」
こう言って、二人は、やっとのことで、群衆
が自分たちに犠牲を捧げるのを思い止まらせ
た。
ところが、あるユダヤ人たちは、アンテオケ
や、イコニオムから押し掛けてきて、群衆を
仲間に入れパウロを石で打ち、死んだと思い
彼を町の外に引きずり出した。
しかし、弟子たちが、パウロを取り囲んで
いる間に、彼は起き上がり町に入っていった
。翌日には、バルナバと一緒にデルベに
向かって出かけた。その町で福音を伝えて
大勢の人を弟子とした後、ルステラ、イコニ
オム、アンテオケの町に帰って行き、弟子た
ちを力づけ信仰を持ち続けるように推奨し、
「私達が、神の国に入るのには、多くの
苦難を経なければならない」と語った。