今まで、上皇后様の十二単を中心に紹介しましたが今回はその他の御装束を御召しの上皇后様を、御紹介します。
最初は平成の御大礼の「賢所▪皇霊殿▪神殿に期日奉告の儀」の際に御召しの小袿、表着、五衣。
小袿、五衣姿の上皇后様
御小袿
青地の三重襷下文に、白の鶴の丸上文の二陪織物
中陪 薄紫の平絹
裏地 紫の平絹
松襲(表青▪中陪薄紫▪裏紫)
御表着
白地の雲に鶴の浮織物
裏地 蘇芳の平絹
菊襲(表白▪裏蘇芳)
御五衣
紅地の松立涌文様の固地綾
裏地 紅の平絹
紅の匂い
シロガネが参考にしている「宮廷の装束」という資料には、紅の五衣と、書いてありましたが画像をよくみますと、表地は皆紅なのですが、裏地は紅の匂いとなっております。
御即位の儀で上皇后様が御召しの五衣も同じく表地は皆紅で、裏地は紅の匂いとなっております。同じ五衣なのかなと、おもいましたが期日奉告の儀での御召しの御装束は、賢所を御参拝される「大清」という、御参拝専用で、恐らく表では御使用出来ないはずです。よって別々の御五衣だと思います。
こちらは御即位の儀の際の御五衣。心なしか裾の厚みが違うようです。
御単衣
紅地の幸菱文様の固地綾
御袴
紅の精好
次は平成3年(1991)2月23日の天皇陛下の立太子宣明の儀で上皇后様の御召しの小袿を紹介します。
白地の御小袿に萌黄の御単衣を御召しになられています。この小袿の詳しい事は、分かりませんが立太子の礼の写真などを良くみますと三重襷の下文に、上皇后様の御印の白樺を、図案化した紋様と菱形の紋を組み合わせた比翼文(ひよくもん)の二陪織物のようです。
そして多分、鳥の子色襲(表白▪中陪紅梅▪裏黄)でないかと思います。これは四季着用の重ねの色目です。
こちらが上皇后様の御印の白樺を、図案化した紋です。御大礼の際に
御表着の文様として使用されました。
上皇后様は立太子の礼という皇室にとり重要な時にこの文様の御小袿を御召しですが、こういう時に二つの文様を組み合わせた比翼文のというのはどうかなと、シロガネは思います。
こちらが、比翼文(ひおくもん)です。
比翼文とは、軽い行事の際に御召しになるものでこういう大きな儀式の時には、上文は、丸文のみのものを御召しになられるのが正しいと思います。ただ皇后の色と言う白地の小袿ですのでこの場合は比翼文でも差し支えないと御判断されたのかも知れませんが。
白は昔より高貴な色でしたので、御大礼の際の皇后様の御唐衣は必ず白地となっています。そして立太子の儀で、上皇后様は白地の小袿を御召しになられたのはとても相応しいのですが、やはり比翼文でなく正式な格調のある丸文、特に皇后が身に付ける小袿の文様のなかでもっとも格式高い鸚鵡の丸の上文であった方がこの儀式にも相応しかったと思います。どうしてそうなさらなかったのは、又謎です。もっともシロガネ本人の知識が足りないせいでしょう。
明治天皇の皇后、昭憲皇大后の御着用の御小袿
蘇芳地の小葵下文に、鸚鵡丸文の二陪織物
中陪 薄紅平絹
裏地 縹平絹
思いがけなく長くなって仕舞いましたので其の2へと続きます。