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アート紀行・美術館を巡る旅 無言館

アート紀行・美術館を巡る旅は昨年の6月に富山から長野県の長野市、上田市の美術館を巡った旅での美術館を紹介します。今回は上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」です。

今回の美術館を巡る旅で最も行ってみたかった美術館が、ここ無言館です。1997年の5月2日に開館され、先の第二次大戦で戦死した名も無き画学生130余名の作品が展示されています。森の中に佇むコンクリート作りの教会のような美術館は、鳥のさえずりが聞こえ訪れる人々を静かに出迎えてくれます。館正面横には「記憶のパレット」と題したパレットの形をした御影石があり遺作のない戦没画学生489名の名前が刻まれています。正面の扉を開けると画学生の作品が壁に掛けられ、中央のガラス展示には、画学生たちの遺品や家族や恋人にあてた手紙などが展示されています。

画学生たちは、主に東京美術学校在学中に戦地に赴いた学生で、将来を嘱望されたエリート美大生です。その作品の多くは館主の窪島誠一郎氏と画家で出征経験を持つ画家の野見山暁治氏と共に全国の遺族の元を訪ね作品を収集展示、氏と家族の思いが詰まった空間です。どの作品も、将来を夢にみて励み学んだエネルギーが満ち溢れ、清新な心と生きるエネルギーを感じます。

無言館から下ると、戦没画学生が使用した筆が埋め込まれた碑がある第二展示室の読書館があり、館内では窪島氏が収集した美術書などあり、天井には傷ついた画布と題した画学生の展示困難な作品が張り込まれています。

近くには閉館となった信濃デッサン館がありましたが、村山槐多をはじめとする夭逝の画家のコレクションは、隣接する残照館に一部を残し長野県立美術館に寄贈されています。

時の流れと共に記憶から薄れ消え行こうとする戦争の傷跡、ことあるごとにマスコミに取り上げられ注目をされても一時の流行りもののようにとられられるのは、氏の考えとは相反するものではないかと僕は思います。画学生の作品が、未来の子供たちや若者たちの心に静かに受け継がれ、平和であることの幸福を享受できる空間として残り続けてほしいなと思います。


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