東京、名古屋で人気を博した美術展「大エルミタージュ美術館展」。現在京都で開催中です。
エルミタージュ美術館には、50匹の猫がいます。その猫たちには専属の飼育係がいて、一匹一匹に名前が付いているのです。
エルミタージュには、なぜ猫がいるのか?
女王エカテリーナ2世による膨大なコレクションの難敵はねずみでした。そこで女王は、名画を守るために猫を飼うように命じました。そして猫たちは、名画を守る「絵画護衛官」の任を受けて大切に育てられているのです。
エルミタージュのある世界遺産地域のサンクトペテルブルクの人たちは、猫をこよなく愛しています。そこには、猫と市民の悲しい過去があります。
第二次世界大戦。ナチス・ドイツの侵攻で、美術品が搾取から逃れるために、サンクトベテルブルクの人々は美術品の移動に貢献します。
美術品は、ナチスの難を逃れるのですが、市民には戦争による過酷な生活が待ち受けていました。食糧は底を尽き、人々は命をつなぐためにやむなく猫の肉を食べました。
そして、サンクトベテルブルクには猫が一匹もいなくなったのです。こうして人々は猫たちを命を助けてくれた守り神として猫を尊ぶようになったそうです。
そんな、素敵なエピソードを持つエルミタージュ美術館。猫たちにより守られた名画を、機会に観賞してみるのも、ちょっと違う美術館観賞になるかもしれません。