映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。車中の男と電話の会話のみで展開する異色ミステリー「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」です。
映画館で見逃した作品の中で、僕が一番観たかった作品がこれ。2013年でイギリスで公開され、インディペンデンス作品とあって日本公開は2015年6月。主演のトム・ハーディは、マッドマックスの最新作でも知られ、2012年には、ダークナイトライジングでペインを演じるなど、今注目を集める俳優の一人です。ハーディは、86分間ノンストップで走る車の中で、ただ一人と言う難しい役どころを見事に演じています。
物語は、建築現場監督のアイヴァン・ロックのただ一人。不倫で身ごもった女性の出産の知らせに、現場を抜け出して病院に向かう車の中での80分余りの会話のみと言う、今までにないシチュエーション。
彼は、車内から電話で不倫相手の女性、家族、現場の部下とやり取りをしていきます。仕事、家庭、そして病院の三つの問題を同時に抱えながら、すべてに対処していきます。
現場を離れたことで、解雇を通達されながら最後の大仕事を車から成し遂げようとする男。たった一度の過ちにより生まれてくる子供のために父親としての役割を果たそうと女を励ます男。妻と子供たちに、隠していた事実をどう伝えようかと苦悩する男の三様の心模様とバックミラ―に向かって亡き父に向けられる怒りが86分と言う僅かな時間の中でアイヴァンの人生を投影されていて実に面白い作品となっていました。
ミステリーの手法を取りながら進むヒューマンドラマのような作品をぜひ鑑賞してほしいです。