映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。カンヌ映画祭で観客賞を受賞したインド映画のヒューマン作品。「めぐり逢わせのお弁当」です。
舞台はインド・ムンバイ、1日20万個のお弁当が5千人の運び手により各家庭から職場に運ばれます。誤配は60万個にひとつと言われるこの仕事の中で、妻を亡くした定年間近の男サージャンに運ばれて来たのは、いつもと違うお弁当。そのお弁当は、主婦リラが夫の気持ちを取り戻そうと愛情込めて作ったお弁当でした。
リラのお弁当が他人の手に渡りきれいに平らげられていることで、サージャンとリラの間にお弁当を介して文通がはじまります。その文通はリラの夫に対する不満なのですが、サージャンは、リラにアドバイスを送ります。お弁当により二人の絆は深まっていき、ある日リラとサージャンは会う約束をします。
インド映画は、音楽やダンスをバックに派手なアクション作品が多い中で、こうした心温まる人間模様を描いた作品も少なくなくヨーロッパを中心に人気があります。
今回の作品も高度成長期にあるインド社会で、慣習的にあるお弁当文化を通じて顔を合わすことなく、言葉のやり取りだけでお互いの絆を深めていく。かつて日本でもあった文通と言う文化をお弁当配達人を介して展開される甘く切ない大人な恋愛物語です。