映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、イーサンホーク主演でタクシードライバーのポール・シュレイダー脚本のヒューマンサスペンス「魂のゆくえ」です。
アカデミー賞脚本賞にノミネートされた本作、数々の映画賞にノミネートされ、海外ではかなりの高評価を得ている作品と言うことでしたが、日本ではこの種の作品は、なかなか理解できないのか話題性は低かったように感じます。僕も、作品は知っていましたが興味の対象として忘れ去られていました。あのタクシードライバーの脚本で知られるポールシュレイダーが長年にわたり温めていた作品と言うことで、DVDで鑑賞して観ることにしました。
物語は、イーサン・ホーク演じるトラー牧師のもとに、信者のアマンダ・セイフライド演じるメアリーが夫への悩み相談を発端に、トラーの牧師の抱える苦悩が噴出していくというものです。今回の作品に興味を持たせるには、少々ネタバレにはなりますが、トラー牧師の置かれている立場を説明する方がいいかなと思います。
トラー牧師の教会は、ニューヨーク郊外の歴史ある小さな教会で観光名所のひとつとして教会に生計を担ってます。一方で所属する大教会は、企業の献金などにより莫大な資金を持っています。メアリーの夫の悩みは、環境問題に深く入り込む夫が二人の子供を身ごもることを拒んでいる。トラー牧師は、息子に戦地に行くことを勧めたことで息子を亡くし、そのことが原因で妻と別れている。そして、メアリーの相談が発端となって物語は大きく舵がきられますが、最後にトラー牧師の決断に、どこかもやもやとしたものを感じる作品でした。
しかし、トラーの牧師としての清廉さと使命感、そして愛する者への献身が人間トラーの苦悩となってかれの思考を蝕んでいくヒューマンサスペンスとして捉えられ時間の経過と共にじわりじわりと作品に対する深みを感じました。