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カラヴァッジョ展 名古屋市美術館

 
 
先日、僕が主催しているコミュニティーのアート部の友人と名古屋市美術館で開催中のカラヴァッジョ展を鑑賞しました。
 
さて、今回にわかに注目を浴びたカラヴァッジョ。イタリアルネサンスの絵画の三大巨匠のダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの後、16世紀末に現れたもう一人のミケランジェロが今回のミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョです。この天才画家は、当時の貴族や聖職者などの美術におかる特権階層はもとより民衆の心をわし掴みにし、現在でも彼の作品を目にした瞬間に魅了される数少ない画家のひとりです。
僕も2016年の国立西洋美術館での初めてカラヴァッジョの作品に出会い、その波乱に満ちた生涯と共に衝撃を持った一人です。
 
札幌、名古屋、大阪と巡回する本展、名古屋市美術館では12月15日まで開催されています。実は、今回の展覧会、何かとトラブル続きで札幌では初公開作品を含む数点が会期に間に合わないという事態に。三会場初公開の「瞑想するアッシジの聖フランチェスコ」と大阪展の「ホロフェルネスの首を斬るユディット」の初公開作品が展示不可となりました。名古屋では、初公開作品2点を含む8点に周辺の画家の作品を合わせ42点の展示となっています。先ず感じたのは、カルヴァッジョの僅か8点の作品と他の作品には、比較にならないほどの力量を感じました。カラヴァッジョ作品がなければ、他の画家たちの作品も魅力のある作品であるのは確かですが、カラヴァッジョの作品は、他を凌駕してしまう不思議な魔力を秘めています。
 
今回の展覧会では、2016年での「法悦のマグダラのマリア」と「メドゥーサの盾」が展示されていました。特に「法悦のマグダラのマリア」は神の前に身を委ね歓喜の表情を浮かべるマリアのどこか神秘的な恍惚の表情が印象的でした。今回展示された作品の中でも、やはり名古屋展ののみの初公開作品「ゴリアテの首を持つダヴィデ」でしょう。当時殺人を犯し、逃亡生活を送る中で描かれた本作は、ゴリアテの首がカラヴァッジョ自身ではないかと言われています。カラバッジョは、逃亡の末に法王に恩赦を願い出るために向かった旅の途中で病に倒れ38歳の生涯を終えています。彼の激烈な感情と重なるようなゴリアテの首が、そんな説を浮かび上がらせるのではないかと感じました。
 
今回の展示のキャプションでは、イタリアの歴史に造詣の深い、テルマエロマエで有名な漫画家の山崎マリさんが担当していて、カラヴァッジョの言葉を代弁するような演出が面白いです。地位と名声を掴みながらも酒と喧嘩に明け暮れ、傷害と殺人の罪を犯し、逃亡生活を送り生涯を閉じる。そんな半生が作品に奥底から見え隠れする深みのある作品、そして後のレンブラントやフェルメールに代表されるバロック絵画の巨匠たちに影響を与える光と闇の世界を、ぜひこの機会に堪能してみてください。
 
「瞑想するアッシジの聖フランチェスコ」の画像検索結果  「「瞑想するアッシジの聖フランチェスコ」」の画像検索結果
 
今回展示不可となった「瞑想するアッシジの聖フランチェスコ」三会場共通と「ホロフェルネスの首を斬るユディト」大阪展
 




 

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