根強い人気を誇る北欧デザイン。マリメッコやIKEAによりフィンランドのデザインが日本で定着してますが、僕の北欧デザインのイメージは、デンマークによるところが大きいです。
なぜかと言うと僕たちの世代は、1990年代にアメリカで起こったミッドセンチュリーの影響があるから。ミッドセンチュリーと言えばイームズが思い浮かぶ方も多いと思います。そしてアメリカ以外のミッドセンチュリーと言えば、デンマークのデザイナー、ウエグナーを思い浮かびます。余談ですが、日本では、柳宗理やカリモク60などの家具があたります。
さて、岐阜県現代陶芸美術館で開催中の「デンマーク・デザイン」展は、デンマークデザインの歴史をたどる魅力的な展覧会です。たとえばデンマーク王室御用達のロイヤルコペンハーゲンから始まり、堅牢さと機能性を兼ね備えた伝統的な家具に、前述のウエグナーやヤコブセンなどのミッドセンチュリーの傑作や北欧のおもちゃの代名詞・レゴに、ポストモダンと現代のデザインなどデンマークのデザインが網羅されています。
IKEAやデザインの権利が過ぎたことによりミッドセンチュリーの家具も安価な製品が登場し生活の中で身近な存在になっています。しかし、安易な検索や偏った情報により、デザインだけが先行し、家具デザインや工業デザインの持つ機能性や堅牢性に目が向かなくなっているように思います。
今回の展覧会でも初期から生産を担ってきた家具メーカーの椅子が展示され実際に座って体験できるコーナーもあります。本物に触れることにより、モノの良し悪しを経験する機会になります。こうした展覧会で本物を見抜く目を養ってみてはどうでしょう。