岡崎美術博物館に「近代日本画の巨匠たち」展を鑑賞に出かけました。今回は、なかなか訪れる機会がなく最終日になんとか行けました。
今回の展覧会は長野の水野美術館の日本画コレクションによるもので、最大の目玉は、横山大観の初期の代表作「無我」を観ることが出来ることでした。
横山大観の「無我」は、美術ファンならご存知の通り仏教の悟りの境地を童子の姿を通して表現した傑作で、東京国立博物館、足立美術館、そして水野美術館の三枚の無我の作品があり、ほぼ構図は同じですが、足立美術館は水墨画で、東京国立博物館の作品後に水野美術館の作品が制作されているそうです。
二作品を比較して観ると顔の表情に違いがあり、東京国立博物館の無我は柔和な童子らしい表情で水野美術館のそれは、童子にしては無表情で無我のタイトルにふさわしい悟りの表情に感じます。(左が東京国立博物館所蔵。右が水野美術館)
凡人の推測ですが、大観はこの無我を描くことで完結しているのではと感じました。
横山大観の無我にスポットを当てた内容になりましたが、橋本雅邦、下村観山、菱田春草、上村松園などの近代日本画の初期から中期、そして現代へとつなぐ日本画の名品がすらりと並んだ展覧会でした。