SrBi2Ta2O9強誘電体メモリを創ろうとして1996年頃、研究した。
誘電体をコンピューターのメモリに応用するのは、ずいぶん昔から考えられていた。
今でも、その可能性を信じている人もいる。誘電体は絶縁性セラミックのことで、電気を通さないのが当たり前のようなセラミックも極限まで薄くすると電気が流れてしまう。
なぜか??これは難しい。
原因は、薄い膜になっているセラミックの粒子の大きさと膜の厚さがほぼ同じぐらいになってしまうから。
これも、理由にはなってないけど薄くすると、粒子と粒子の間の一部に電気を流しやすい部分ができる。
元のセラミック粒子はビスマスや鉛を含むからか?
部分的に還元されて電子を運びやすい状態になるんだろうと思う。
ビスマスや鉛を含まないセラミックなら良さそうだけど、SrNbTaOのようなセラミックが強誘電体薄膜として
メモリになったという話はまだ、聞いてない。
単なるDRAMならTa2O5薄膜でいいじゃん。という声もある。
Ta2O9にSrとNbを混ぜていけば強誘電体になるかというと、結晶構造が問題になってくる。要するに単なる混ぜただけでは強誘電体にならない。
高温で焼いて結晶構造がしっかりしてくると、強誘電性が現れる。
じゃあ、高温で焼けばいいだけか??
いやいやシリコンの部品は800度での焼成でも壊れる寸前である。
低温で焼成して強誘電体になる材料、できる作成法を世界中でさがしている。
なぜ、焼くと強誘電体になるかは、強誘電体が高温で安定な相だから。
と同時に表面積を小さくするために粒子が大きくなることで安定になるから。
セラミック膜は丁寧につくってもきれいにできない。
焼くという過程があるから、粒粒は大きくなるし、でこぼこは大きくなる。
高温に耐えるなら周りの金属は白金を中心とした貴金属を使わざるを得ない。
視点を変えて、グラフェンを使ったメモリはどうか?
グラフェンは作り方によっては絶縁体にもなると信じられていたが、
シリコンや白金などを使う従来の半導体プロセスで使うと、電気が通りやすい性質しか現れず、高集積メモリに使いづらいらしい。
https://nanonet.nims.go.jp/modules/news/article.php?a_id=945
グラフェンメモリはフレキシブルなメモリに使えるとのこと。
磁性をもった薄膜はどうか??
金属ならHDDで完成されている技術だが、MRAMならどうか??
ドット型のHDDなら大容量にできるらしいが、ディスクではなく、メモリとしてつかうから、どんな構造なんだろう。
DRAMを超えることを目標にするなら、50ナノメーターぐらいの厚さ。100ナノメーター角ぐらいのドット。トンジスタは30ナノメーターテクノロジが実用化されていることを考えると、もっともっと小さなドットが目標かな。
ドットが20ナノメータ程度のドットになってくるとはたして磁性を持つのか?
磁性という物理現象に量子効果が影響してくる。
ハードな磁性、ソフトな磁性などいろいろあるけど、鉄が磁性の基礎である。
酸化物で磁性をつくってナノドットに仕上げるのは、上記の強誘電体の時の失敗で、非常に難しいことがある意味、証明済み。
材料が違うし、条件も違うから、やってみたらできるのかもしれないけど。
スパッタリングなどの物理めっき法で作る磁性ドットをメモリに応用できるんか?
シリコン半導体以原理を用いたコンピューター。
DNAや冷却を利用するコンピューターが例に挙がる。
DNAは4種類しかないので単純なコンピューターになりそうだが、スーパーコンピューターよりはるかに速く解を見つけることができるらしい。
冷却量子コンピューターも同様に複雑な計算が速い。
いずれにしても小さく加工していくことで計算デバイスが実現できる。
シリコン加工技術の延長上に微細なコンピュターが開発される可能性が高い。
30nmという加工精度が物理的な限界であるので、単純に小さくするだけではいけない。
新しい原理を導入することで複雑な計算を手のひらサイズのコンピュータがする時代がくる。
計算原理と材料工学の融合が進まないといけない。
複雑化したそれぞれの工学を理解するには、橋渡しが必要になる。
ごく単純化したアイディアでは、ナノドットを並べた基板を計算素子として
ドットそれぞれに周波数を与える。それぞれを電磁気的に震えさせる
それを極低温に冷していくと相互作用で、止まるべき振動が止まり、それぞれの持つ周波数のなかで残った成分が、解になる。
行列からの類推からしたんだが、
周波数の異なるドットの中から次第に現れるまだら模様の図形をスキャニングで読みとって図形から解を再計算する。
計算メモリとディスク融合のような状態だね。
計算するHDD。
マイナス200度ぐらいで、現れる超電導がリニアモーターとして実用化される今日だ。
マイナス200度ぐらいで現れる物理現象を計算に応用する日は近い。
ディスクのように回転は必要か??
タッピングモードのスキャニングトンネル電流顕微鏡(STM)のような針がそれぞれの小さなエリアを担当して、それが集まって計算する。
小さなエリアは誘電体の動く範囲(圧電性)が限界になる。
およそ、10ナノドットの一つひとつを検出しながらタッピングしてうごく針とは、100分の1ぐらいの精度として、1ミクロンぐらいの範囲かな。
なんだか、どこまで空想でどこまで理論的なのかわかんない。
写真は、結晶粒子とキャパシタ構造をブロック氷とアルミ箔で模擬モデル化。
塩を振った氷。導電性が氷表面にある。