「どこかできいた未来」第二話
星新一を読んで
②プレゼント
突然の、懸賞当選のプレゼントだ。差出人はきいたことのない研究所だった。そんなことは、エヌ氏にとってはどうでも良かった。初当選だった。エリート階級層だけが使えるクレジットポイントだった。これがあれば、そのポイントを持つ層人限定ショップで買い物、食事などができる。有職者の給与にくべればささやかな額だが、無職のエヌ氏にとっては夢のようなポイント数。
初めての天然素材食品レストランでの食事に使おうと思った。
③コーヒーから
喫茶店「ルンバ」に入った。落ち着いた雰囲気と陽気な客たちの世界に初めて足を踏み入れた。まず、コーヒーの香りに驚いた。いつもの合成コーヒーは苦いだけだった。しかしそれが当たり前とおもっていたエヌ氏に、不満はなかった。それが、ここのコーヒーを一口飲むとくらくらするほどだ。さらに、店をかえて、天然肉のディナーを味わった。
天国のような気持ちで帰路についた。ふと、目をやると通りを歩く、若く美しい女性の姿に目がいった。エヌ氏は、これまで女性を美しいと思ったことはなかった。エヌ氏だけでなく、すべての福祉階級の無職男性は女性に無関心だった。性を意識することは皆無だった。