
国の奨学金を借りた本人と連帯保証人の親が返せない場合に、保証人の親族らは未返還額の半分しか支払い義務がないのに、日本学生支援機構がその旨を伝えないまま、全額を請求していることがわかった。記録が残る過去8年間で延べ825人に総額約13億円を全額請求し、9割以上が応じたという。機構の回収手法に問題はないのか。

機構は奨学金を貸与する際、借りた本人が返せない場合に備え、連帯保証人1人(父か母)と保証人1人(4親等以内の親族)の計2人が返還義務を負う人的保証か、借りた本人が保証機関に一定の保証料を払い、返せない時に一時的に肩代わりしてもらう機関保証を求める。最近は半分近くが機関保証を選んでいるが、約426万人の返還者全体でみると7割近くが人的保証だ。
法務省によると、この場合、連帯保証人は本人と同じ全額を返す義務を負うが、保証人は2分の1になる。民法で、連帯保証人も含めて複数の保証人がいる場合、各保証人は等しい割合で義務を負うとされるためだ。「分別の利益」と呼ばれる。
しかし機構は、本人と連帯保証人が返せないと判断した場合、保証人に分別の利益を知らせずに全額請求している。その際、返還に応じなければ法的措置をとる旨も伝えている。機構によると、2017年度までの8年間で延べ825人に全額請求した総額は約13億円で、9割以上が裁判などを経て応じた。機構は本人が大学と大学院で借りた場合などに2人と数え、「システム上、正確な人数は分からない」としている。
一方で、機構は保証人から分別の利益を主張された場合は減額に応じている。ただ、件数や金額は「(機構の)財産上の利益などを不当に害する恐れがある」として明かしていない。
こうした回収手法について、機構の担当者は「法解釈上、分別の利益は保証人から主張すべきものと認識している。主張せずに全額を払い、肩代わり分を連帯保証人らに求めることもできるため、選択は保証人に委ねている」と説明する。
これに対し、昨年の民法の大幅見直しで法制審議会(民法部会)幹事を務めた山野目章夫・早大法科大学院教授(民法)は「全額を払うよう求めること自体は違法ではないが、一般に法知識のない保証人に分別の利益を伝えないまま全額回収するのは妥当でない。奨学金事業を担う公的機関として社会的責任を問われるだろう」と指摘。取材に応じた専門家の多くも同様の見解だ。
機構を所管する文部科学省の担当者は「全額請求は法令上、誤ったものとは認識していない。ただ、分別の利益について丁寧に説明するなど、機構が検討する余地はある」と話す。(諸永裕司、大津智義)
■日本学生支援機構・遠藤勝裕理事長の見解
国の奨学金の保証人は、未返還額の半分しか支払い義務はない――。それを伝えないまま日本学生支援機構が全額を請求していることについて、遠藤勝裕理事長に10月25日、見解を尋ねた。
――「分別の利益」を伝えずに保証人に全額請求するのは妥当か。
「法的に問題はない。奨学金の原資は税金で、全額回収する責任がある。保証人から分別の利益を言われれば半額にしている」
――なぜ伝えないのか。
「奨学金を貸与する際、人的保証を選ぶのは毎年、約25万人。全員に伝えるには膨大な事務作業がいる」
――全額請求の際に保証人に伝える考えは。
「もう少し親切にというのもわかる。分別の利益が現実に問題となるのは法的措置に入るところなので、その前に保証人に伝えるのは一つの大きな改善点だと思う」
――人的保証制度についてどう考えるか。
「経済力のない年金生活者などが不幸になる事態は避けたい。そのため、人的保証を廃止し機関保証に一本化したい。奨学金制度に関わる文部科学省や財務省などに理解を求めたい」
■記者の視点 諸永裕司
「分別の利益」を主張しない保証人からは全額を回収し、主張した保証人には減額に応じる。自ら進んでは伝えない――。日本学生支援機構の回収手法は、国と個人の情報格差を考えれば公正とは言いがたい。その結果、法知識を得た一部の保証人だけが半額になる不公平が生じている。
機構は、保証人が全額払った後で、本人や連帯保証人に肩代わり分を求められると説明する。だが、機構や委託した債権回収会社ですら回収できなかったのに、保証人が取り戻せるとは考えづらい。
連帯保証人と保証人をともに立てる仕組みは、政府系や民間の金融機関ではほとんど例がないという。人的保証制度は奨学金が創設された戦中の1943年から変わらない。保証人の親族まで巻き込む人的保証制度は見直すべき時期にきている。
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ε-(´-`*)
この国では、教育費の大半は親の負担であり、家庭の財政状態により、教育を受ける権利の格差が生じる。
優秀な人材が国の利益に繋がると考えるなら、その格差を埋める仕事は国の役割ではないのか?
義務教育だけ受けてれば充分だと考えているのであれば、就職時に要求される学歴重視の考えはとっくに消えてなくなっているであろう。
だが、依然、採用時に学歴を見ない会社はほとんど存在せず、いい会社に入ろうと思えば、高学歴は必然と言える。
金がなければ大学にも行けない。
高度な教育を受けられるのは金持ちだけで、裕福でない家庭の子はその権利を手にすることも出来ないので諦めろ!…… では、未来に希望も持てない。
優秀で、あらゆる可能性を秘めてるであろう子供達に、貧富の差なくチャンスを与えることが大切。
それが奨学金制度の本来の目的だろう。
それなのに…………
『卒業後の借金返済が不安』
そういう理由で奨学金を受けてまで勉強したくない、という若者が増えた。
はたして、この状況が国益になってるのか……
教育費を完全無償化する事が困難であれば、奨学金制度をもっと利用しやすい、学生に優しい制度に改革していく努力が必要である。
それが現在は、かえって逆の方向に向かっている。
卒業後の取り立てが厳しくなり、裁判に訴えたり、財産差し押さえをしたりと、金貸し業者並みに借金取りたてに力を入れ、本人だけでなく連帯保証人である親までもその対象となるので、家族全員が破産に追い込まれたという話も少なくない。
確かにそうなれば、奨学金制度を利用する事に恐怖すら感じる人もいるだろう。
勉強したい意欲は削がれてしまう。
その上、今回のこの記事は、本来払うべき金額を大幅に上回った額の請求をし、更に払わない場合は差し押さえなどの措置をとると、脅しまでかけてる。
悪質でしかない。
で、異議を唱えてきた者に関しては、減額請求に応じ、本来の支払い義務である未返還分の半額で解決するが、異議を唱えない者に関しては、全額請求を維持すると。
( ꒪⌓꒪)
悪質でしかない……
で、
その取りすぎた分に関しては、保証人の方で、債務者や連帯保証人に対して返還請求すればいい……と。
( ´゚д゚`)エー
んなの、取れる訳ねーじゃん
アホか!!
国って奴は、ホントに… ホントに……
国民に優しくないな!
バカ(´-д-`)