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札幌・円山生活日記

高橋喜代史展~本郷新記念札幌彫刻美術館~

「本郷新記念札幌彫刻美術館」で第3回本郷新記念札幌彫刻賞受賞記念「高橋喜代史展~言葉は橋をかける~」が開催中です。第3回記念賞を受賞した札幌を拠点に活動する美術家・高橋喜代史氏(1974-)の記号化された文字や言葉の多様性をテーマとした表現活動の軌跡をたどる作品や最新作を展示しています。

本日は「本郷新記念札幌彫刻美術館」で第3回本郷新記念札幌彫刻賞受賞記念「高橋喜代史展~言葉は橋をかける~」の鑑賞です。開館40周年記念展「宮の森 この地が生んだ美術」以来の訪問で同展のポスターを地下鉄東西線「円山公園駅」構内で見かけました。当初は9月11日(土)が開幕日だったのですが「緊急事態宣言」発令で臨時休館が続き開幕が10月1日(金)にずれ込みました。幸い無事「緊急事態宣言」が解除となり秋晴れの気持ちの良い陽射しの下で「円山公園/北海道神宮」散策の足を延ばして徒歩で参りました。バス便利用の場合は地下鉄東西線「西28丁目駅」2番出口バスターミナル2番のりばからJR北海道バス「山の手線〈循環西20(神宮前先回り)」で「彫刻美術館入口」下車し徒歩約10分です(地図)。


「高橋喜代史展」のチラシ。
“札幌を拠点に活動する美術家・高橋喜代史(1974-)は、書道と漫画を造形の源泉とし、記号化された文字や言葉の多様性をテーマとした表現活動を続けています。
本展では、漫画に用いられる擬音語をモチーフとした立体造形や、自作の装置と墨を用いて描画する「筆シリーズ」、他者との隔たりや繋がりを問うパフォーマンスを記録した映像インスタレーションなど、これまでの軌跡をたどる作品や最新作を展観し、異なる領域との橋渡しを試みる高橋の表現の現代性に迫ります。”


高橋 喜代史 TAKAHASHI Kiyoshi
1974年、北海道妹背牛生まれ。1999年、CAIアートスクール卒業。主に言葉や文字を扱い「接続と分断」を主題に作品を制作。札幌を拠点とし、主な展覧会として、フランス、ニュージーランド、北アイルランドでの個展、カナダ、ドイツ、中国でのグループ展など国内外で活動。1995年、ヤングマガジン奨励賞。2006年、「第23回産経国際書展」入選。2000年、ビッグコミックスピリッツ努力賞。2010年、JRタワーアートボックス 最優秀賞。2020年、第3回本郷新記念札幌彫刻賞。

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大通交流拠点地下広場に展示されている第3回本郷新記念札幌彫刻賞受賞作品「ザブーン」(2021年2月から約3年間)
・受賞者 高橋 喜代史(たかはし きよし)
・作品名「ザブーン」
作品解説
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「本郷新記念札幌彫刻美術館」入口付近。

前庭に展示されている本郷新氏作《わだつみのこえ》ほか。後方は「円山」。

展示作品の紹介です。
【GOOD NEWS】
2021年 映像インスタレーション/ネオンサイン/映像(モニター上映)
展示室最初の作品です。「THAT'S GOOD NEWS」と書かれたネオンサインとモニターで一つの作品のようです。解説では“情報の多面性と言葉と認識の間に生まれるギャップを描いた作品”と書かれていますがいきなり難解です。

【ドーン】
2019年 アクリル樹脂
高橋氏はかつては漫画家を目指していたとのことで、“漫画に登場する擬音語・擬態語の豊かさや共感覚的な性格に注目し・・”とはありますが上掲作品の解説はなし。うーぅん・・。

【WHY WHY WHY】
2021年 シルクスクリーン/アルミ板
【AND AND AND】
2021年 シルクスクリーン/アルミ板
こちらも同傾向の作品と思われます。

【ザブーン(模型)】ほか
2020年塗料、紙

第3回記念賞受賞作品の模型ほかです。

【BBQ STOVE】
かなり難解なので「作品解説」をそのまま掲載することとします。
上掲写真のキャンバスとコンロ、下掲のモニター映像の3点で一つの作品だそうです。
作者が登場し・・。
キャンバス上に消し炭を広げます。

BBQコンロを“筆”に見立ててキャンバスに落とした炭で描いた作品ということのようです。何か偶然に生まれた造形美が出ているのなら話は判るのですが・・。

【言葉をせおう】
「作品解説」
モニター映像では作者が「人はみなそれぞれのカンバンをせおう」と書かれた看板を背負い歩きます。
同上。
こちらの作品は「人はみなそれぞれのカンバンをせおう」というメッセージを、メッセージの内容の受け止めは人それぞれであっても、作者自ら背負い歩くことによりメッセージ性を強めようという狙いかと理解しました。
展示されているメッセージボード。

【POSTER】

「作品解説」
モニターでは作者が登場してポスター貼りを開始します。
長大なポスターに手を焼く作者を見かねて一人の人が手を貸します。
「HELP」の文字が現れて・・。
つぎに「助けて」の文字が現れます。
最後に現れたのはアラビア語で「HELP」の意味だとか。
無事貼り終えたと思ったら右から風にあおられて・・。
もう一度貼り直します。その前を何人もの人が無関心に歩いていきます。
無事完成。モニター映像を見た当初はポスターやメッセージの無力さを暗示する作品かと思ったのですが解説を読むと「日本における難民受け入れ問題を下敷きとした作品」とあります。最後のアラビア語が鍵だったようです。多くの無関心者と数少ない良心ということでしょうか。

【10万年をせおう】
「作品解説」。
モニター画像に登場する看板とゴミ袋。
「NOT IN MY BACKYARD」のボード。
作者がボードを抱えゴミ袋を横に「寿都町庁舎」前に立ちます。
町の職員と思わわれる方が敷地内ゆえに立ち退きを求めます。
核廃棄物の危険性を告げるメッセージと・・。
無関心な人達を憂えるメッセージ。
知りたがらない人達の多いことの矛盾。
10万年後の未来は一人一人が背負っているということでしょうか。それとも背負うことのできない人の無責任さの指摘でしょうか。いずれにせよこの作品のメッセージは何となく判る気がしました。

今回の展覧会は“芸術の秋なので美しい美術作品を楽しもう!”というものとは少し違いました。個人的には興味あるところですが意味深で難しい作品群でした。仮に理解できても受け止めは人により理解、共感、反発と様々でしょう。そんな展覧会を開催する企画者に敬意を感じました。

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折角の機会なので宮の森の邸宅街を散策して帰ります。
美術館前から見た市街。
奥に「JRタワー」や「プリンスホテル」が見えます。

山が近いです。こちら「三角山」方向。
その近影。かなり色付いてきています。機会を見て登るのも良さそうです。

こちらは「大倉山ジャンプ競技場」方面。
展望台には人が集まっています。こちらも営業再開のようです。

邸宅街の坂の途中にある本郷新氏作《奏でる乙女》。
 

数多い邸宅の一つ。どんな人が住んでいるのでしょう?

こちらは庭木の紅葉がきれいな邸宅。

「宮の森緑地」を通って戻ります。奥は本郷新氏作《鳥を抱く女》。

緑地内の木々に囲まれた路。
同上。

最後に住宅地から見た「円山」です。こちらも色付いてきました。

本日は色々と考える展覧会でした。人の好みはそれぞれではありますが万人受けする企画では無いかと思います。秋の良い天候の下ですのでそれも良いものです。そんな雰囲気の一端を感じていただけたら幸いです。ご関心のある方はどうぞ。ありがとうございました。

「第3回本郷新記念札幌彫刻賞受賞記念 高橋喜代史展~言葉は橋をかける」

会期 2021年10月1日(金)~2021年12月5日(日)
休館日 月曜日
開館時間 午前10時~午後5時(最終入館は午後4時30分まで)
観覧料 一般 500(400)円、高校・大学生 300(250)円、中学生以下 無料
 ※( )内は10名以上の団体料金
 ※65歳以上は当日料金が400(団体320)円になります。
主催 本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市芸術文化財団)
後援 北海道、札幌市、札幌市教育委員会
助成 公益財団法人野村財団、公益財団法人朝日新聞文化財団
http://www.hongoshin-smos.jp/index.html
(2021.10.3訪問)

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