続きです。
その2
2-2
ワクチンとは、いったいだれのためのものなのでしょう。
日本人の健康はいったい誰が守っているのでしょうか。
生活環境も栄養状態もよくなった日本必要なワクチンはほとんどなくなりました 2007年の春、大学生を中心とする若者にはしかが流行しました。
大学が次々に学級閉鎖になるという騒ぎになったため、はしかのワクチンが徹底されていないからだ、ともっともらしく言うような人も現れ、欧米諸国と比べて日本でのはしかのワクチンの接種率が低いことや、アメリカなどからは、はしかを輸出している国として迷惑がられている、という話題が新聞や雑誌をにぎわしました。
でも、これらはほんとうでしょうか? 本来は幼児に流行るはしかが若者に流行っている理由は、はしかワクチンが徹底されていないからではありません。
「はしかワクチンを打つようになったから」なのです。
はしかのワクチンが義務接種から任意接種になったから、大学生の世代の接種率が落ちたと言う人がいますが、データで見ると、接種率が落ちた事実はありません。
現在40歳以上の人では接種しているのは半分以下ですが、30歳以下のワクチン接種率は、ずっと80パーセントを超えています。
若いほどワクチン接種率は高いのです。
たくさんの人がワクチンを打つようになったおかげで、はしかがあまり流行らなくなったことが、皮肉なことに大学生にはしかが流行した原因なのです。
ワクチンを打つことによって一応の抗体はできますが(それはインフルエンザ・ワクチンなどよりずっと強固なものですが)、はしかの流行規模が小さくなったために、日常生活で、はしかのウイルスが体に入って抗体が反応する機会がめったになくなってしまったのです。
結果、抗体は補強されることもなく、はしかの免疫の記憶も薄れてしまい、免疫が切れてしまうということが起こっているのです。
また、かつてのお母さんたちは、赤ちゃんに臍帯(さいたい)(へその緒(お))からはしかの抗体を渡していました。
だから、赤ちゃんは、1歳半くらいまでは、はしかにはかからなかったのです。
しかし、今のお母さんたちはワクチン世代。
ワクチンで作られた抗体しか持っていません。
胎内の赤ちゃんに渡してあげられるような強力な抗体は持っていないのです。
今や、1歳になる前からはしかのワクチンを、といわれるゆえんです。
WHO(世界保健機関)は、ワクチンを徹底してはしかを撲滅しようとしています。
欧米諸国では、国内ではすでにはしかはなくなり、国外から持ち込まれるはしかだけになっているといいます。
日本ははしかを輸出しているとアメリカにしかをちょっと持ち込まれただけで迷惑なほど流行してしまうというのも、変な話です。
結局、これだけはしかの接種率が上がってしまうと、自然感染で免疫力をつける機会はまったくなくなってしまい、残念ながらワクチンを打ちながら免疫力を保つしかないのです。
ところで、2007年春のはしか騒動をよくよく調べてみると、それ以前に繰り返されていたはしかの流行と同じ程度の患者数なのです。
大流行だとあわてふためくような規模ではありません。
大学を学級閉鎖にするなどばかばかしいことで、なんであのような騒ぎになったのか疑問が残ります。
たしかに、はしかを防ぐには今やワクチンの追加接種が必要なのでしょう。
残念ながら、ワクチンによってはしかを撲滅しようという世界の大きな流れの中では、もうしかたのないことのようです。
けれど、たとえはしかにかかり、症状が重くなり肺炎になったとしても、今は抗生物質を始めとして、治療する手立ても整っているし、なにより、生活環境も栄養状態も、人々の体力も、普とは比べ物になりません。
この現代で、はしかがそれほど恐ろしい病気でしょうか。
かつては、百日せき(百日ぜき)は、赤ちゃんの命を奪う病気として恐れられ ていま)した。
しかし、今や百日せきのワクチンを打たなくても、百日せきにかか る赤ちゃんはいなくなりました。
百日せきの菌はなくなったのでしょうか? い いえ、乳幼児期を過ぎた子どもの抗体を調べると、ちゃんと百目せきの抗体がで きています。
つまり、かかっていたのに、かぜかと思っている間に、治ってしま ったということなのです。
それほどまでに、私たちの環境も栄養も体力も、普と比べて格段によくなって いるのです。
今の日本は世界で最も乳幼児の死亡率の低い国です。
平和で、安全 で、なにより公衆衛生のレベルが高い、こんなにいい国はないのです。
この国で、 いったいどんなワクチンが必要なのかを、考えてみてほしいと思います。
発展途上国では、妊婦に破傷風のワクチンを打ちます。
それは、衛生状態が悪 く、産まれてきた新生児が臍帯(さいたい)を切られるときに破傷風になる危険があるからで す。
このように、ワクチンは、必要な場合には必要なものなのです。
ワクチンには、世界中の多くの人の命を救ってきたはかりしれない功績があり.
。。。。
しかし反面、副作用という避けられない問題がつきまといます。
ワクチン 【lすべきものなのです。
健康状態や環境は人によって違います。
だから必要なワクチンも人それぞれ、違ってくるのです。
国やマスコミの一般論を鵜呑(うの)みにせず、自分や家族にとってほんとうに必要であるものと必要でないものをしっかり見分けるだけの知識を、個人個人が持つべき時が来ているように思います。
インフルエンザにかかったかな と思ったら……インフルエンザを予防する方法 ここまで読んでくださった方はワクチンにもずいぶん問題があるということをゎかってくださったと思います。
「インフルエンザの予防にはワクチン」というぉ考えはもうお持ちに彗ていないでしょう。
では、ワクチンに頼らないとすれば、どういう予防をすればいいでしょうか?インフルエンザの予防と言えば、うがい、マスク、手洗い…ー:と思い浮かぶ人のが、ほんとうのところです。
まず、うがい。
ウイルスはのどや鼻の粘膜にくっついて、あっという間に細胞に入り込んでしまいます。
細胞に入ったものを水で洗い流すことは無理です。
それならば、とマスクをして歩いたところで、ウイルスの粒子はマスクの繊維のすき間など通り抜けてしまいます。
手洗いも、大腸菌なら手をていねいに洗えば、きれいに流れ落ちます。
けれどインフルエンザ・ウイルスは、のどや鼻に入った瞬間に感染してしまうわけですから、帰宅して手を洗ったところであまり意味はないでしょう。
では、インフルエンザの予防は、どうしたらできるのでしょうか。
流行時期に人混みに出ないことです。
けれど、感染自体を防ぐ方法はそれ以外何もないのです。
普通に社会生活を送っているならば、インフルエンザ・ウイルスに感染することはまず避けられないと思ったほうがいいでしょう。
けれど、感染しても、体に免疫力があれば症状を出さずにやりすごすことができるのです。
では、そのような免疫力は、どうやったら備えることができるのでしょうか? まず、適度に体を動かし、規則正しい生活をして、おいしいものを食べ、よく眠る、ということに尽きます。
当たり前のようですが、これが基本ですし、それがおろそかになっているのが現代人です。
そして、インフルエンザ・ウイルスそのものに対する免疫力をつけたければ、何よりも、実際にインフルエンザ・ウイルスに感染して、体内に抗体を作っておくことです。
インフルエンザの最強の予防法はインフルエンザにかかることなのです。
お子さんがいる方は、冬になれば、かぜをひかせないように、インフルエンザにかからないようにと気をつかうことでしょう。
でも、子どもがかぜをひくのは当たり前です。
インフルエンザにかかるのも当たり前です。
たくさんの軽い病気をしながら、子どもは免疫力を体に蓄え、成長していくのです。
かぜもひかず、インフルエンザにもかからずに成長しようとするのは、不可能なことなのです。
インフルエンザ・ウイルスに感染したとしても、ふだんから外で元気に遊びまフルエンザ・ウイルスへの抗体を確実に体内に作っていくのです。
子どもがインフルエンザにかかってしまうと、薄着をさせたからかしらとか、寝冷えをさせたからなのでは、と自分を責めてしまうお母さんもいるでしょう。
けれど、インフルエンザはウイルスが原因です。
お母さんのせいではありません。
インフルエンザ・ウイルスに感染することはどうしたって防ぎようがないのですから、お子さんがインフルエンザにかかってしまっても、たくさんのお友だちと元気に遊びまわっていたからこそで、当たり前のことだと思ったほうがいいでしょうし、まだ体力もない赤ちゃんのうちは、インフルエンザの流行シーズンに繁華街など人の多いところへ連れていくことは、極力控えるべきでしょう。
受験生は、絶対にインフルエンザにかかるのは避けたいでしょうから、予防は切実な問題です。
そこにつけこんで、最近、受験生にインフルエンザ・ワクチンを奨める声が大きくなっています。
当然ながらインフルエンザ・ワクチンを打ったからといって、インフルエンザにかからずにすむわけがありません。
受験までに体を強くしておくしかないのです。
インフルエンザを予防する手立てはこのように何もありません。
免疫力を強くしていくのが唯一の方法です。
ウイルス病は熱を下げてはいけませんこれは基本です インフルエンザにかかれば高熱が出やすいものです。
熱が上がれば誰だってつ らいし、乳幼児なら親は心配でたまりません。
でも、ウイルス病というものは、 熱を下げてはいけません。
これはウイルスによる病気になったときの基本的な心 得です。
なぜ熱を下げてはいけないかというと、ウイルスは高熱になると活動ができな くなるからです。
つまり、熱が上がるのは、体がウイルスをやっつけている状態 なのです。
熱が上がれば、ウイルスの増殖は止まるのです。
ウイルスが最も増え
≠きなくなります。
ですから、39度くらいまでの体温だったら、下げないほうがいいのです。
乳幼児や小さい子どもが高熱でうなされていたら、親は「かわいそうに。
なんとかして熱を下げてやりたい」と思うものです。
このまま高熱が続いたら、どうにかなってしまうのではないか、と心配もするでし目。
そこで、つい軒許で熱を下げてやろうとしがちです。
でも、発熱は体の防御反応なのだということを思い出してください。
とくに熱の上がり始めは無理に熱を下げてはいけません。
熱の上がり始めは、ふるえが出たり、寒さを感じることがあります。
布団や毛布を多めにかけ、できるだけ体を温めるようにします。
熱が上がっている最中は、体を冷やすことはよくありません。
冷やすなら額ぐらいにしておきます。
熱が上がりきってしまい、暑くなってきたら薄着でいいでしょう。
乳幼児の場合、とくに注意したいのがけいれんです。
乳幼児は体温の上昇によってけいれんを起こすことがあります。
この熱性けいれんは、白目をむき、手足をけいれんさせるという、見ている側にしてみたらぎょつとするような症状ですが、乳幼児の10人に1人くらいに起こる症状で、何も心配する必要のないものです。
2、3分程度で治まり、治まったあとはまたすやすや眠るという様子であれば、ごく一般的な熱性けいれんといえます。
けれども、けいれんが15分以上続いたり、けいれんの動きが体の左右で違ったりする場合は、至急病院へ行き、診察を受ける必要があります。
解熱剤を使うと治りが遅くなり 脳症の原因にもなります インフルエンザで高熱が出た場合、とにかく熱を下げようとしてはいけないのですが、とくに悪いのは解熱剤で下げようとすることです。
解熱剤を使うと、一時的に熱は下がっても、治りが遅くなる傾向があります。
そればかりではありません。
乳幼児の場合、解熱剤はとくに危険です。
何度も申し上げているように脳症を引き起こす可能性があるからです。
人間の体は、ウイルスに感染すると、まず熱を上げてウイルスの活動を抑え込む
反応を始めます。
このとき、サイトカインという物質が活躍します。
体のさまざまな組織に、行うべき役割を振り分け、それぞれの組織と連絡を取るのです。
熱が出ると、このサイトカインが働いて、ウイルスをやっつけるための体全体の反応をうまくコントロールしていきます。
ところが、何らかの理由でこのサイトカインが過剰に働き、反応が強くなりすぎる場合に脳症になることが多いのです。
なぜ、サイトカインが正常に働かなくなるのかは、わかっていません。
解熱剤の 「非ステロイド抗炎症剤」系の薬品の関与は、ほぼ確実ですが、まだまだわからないことが多いのです。
ただ、体の自然な反応で熱を上げようとしているのに、解熱剤でその熱を下げようとするのは、非常に危険だということは明らかでしょナっ。
現在は、インフルエンザや水ぼうそうなど、ウイルスの病気にかかった子どもには非ステロイド抗炎症剤系の解熱剤は使われなくなっています。
けれど、処方された薬は一応確かめたほうがいいでしょう。
市販の薬などを安易に飲ませるのはもってのはかです。
とくに、過去に熱性けいれんを起こしたことのある子どもの場合は、脳症を発症する傾向が高いので、なおさら解熱剤には注意が必要です。
高熱であまりにつらそうであれば、アセトアミノフエン系の解熱剤なら、少量使用してもいいでしょう。
それでも、熱が上がりきってからにしたほうがいいのです。
40度の熱が数日続くようなことがあれば危険ですが、39度台の発熱で脳がダメージを受けるということはまずありません。
熱中症など、外からの熱でダメージを受けることはありますが、人間の体というものは、自分の体の自然な発熱で自分に決定的なダメージを与えることはありません。
発熱は自分を守るための体の反応です。
そのことを肝に銘じてください。
自分の子どもが熱を出してうなされていれば、何かしないではいられないという気持ちになるでしょうが、とにかくよけいな薬は使わず、じっとがまんして見守ることです。
氷枕(こおりまくら)や氷嚢(ひょうのう)をあてて、ただただ寝るという、普の病人スタイルでいいのではないでしょうか。
ほんとうは 病院に行かないほうがいい インフルエンザにかかったら、なんで病院に行く必要があるの、インフルエンザなんか寝てれば治るよ、と私はついつい言ってしまいます。
実際、欧米では、インフルエンザになっても普通は病院へば行きません。
家のベッドで養生するだけです。
けれど今の日本のお母さんたちは、そう言われても不安になってしまうようですね。
少子化の時代、ほとんどの人が初めての子育てをしているわけだし、孤独に子育てをしているお母さんも多くて、子育てについて助言してくれる人が近くにいない、だからちょっとでも子どもが熱を出したり具合が悪くなったりすると、病院へ行くしかないのでしょう。
3歳の子を育てている姪(めい)から、たまに、夜中に電話がかかってくることがあります。
そういう電話は、たいてい、子どもの熱が下がらないときで、救急病院に連れていったほうがいいか、という問い合わせです。
私のことだからいつも、したの朝までがまんしなさい、と言ってしまいます。
でも姪の場合はそうやって電話をかける相手があるだけいいと思います。
けいれんが15分以上続くとか、発熱のせいで明らかにおかしい異常行動のような様子がある場合は、至急病院に連れていくべきですが、インフルエンザの場合は基本的には病院に行く必要はないと思います。
じつは病院へ行くほうがかえって危険なのです。
横浜の衛生研究所に勤めていたころ、毎週月曜の午前中に来たインフルエンザの患者ののどからウイルスを採って調べていた話をしました。
同じ目の同じ時間帯、同じ病院の待合室なのに、別の型のインフルエンザ・ウイルスが採れたという話です。
病院の中にいろいろなインフルエンザ・ウイルスが飛んでいるというわけですね。
こういうとき、インフルエンザが治りかけている人がその病院へ行ったらどうなるでしょう。
また別の型のインフルエンザに感染してしまうかもしれないのです。
のこのこ病院などへ出かけていかないほうがいいのです。
雑誌や新聞、テレビなどでは、「かかったかなと思ったら、すぐ病院へ行きましょう」 と診察を勧めています。
そんなことで病院へ行くことを勧めておいて、一方で医師が足りないと騒ぐマスコミもおかしいと思うのですが……。
矛盾がいっぱいの迅速診断キットと抗ウイルス薬夕三フル 最近、「インフルエンザかなと思ったら、すぐ病院へ」と、ことさら言われるようになった背景に、迅速(じんそく)診断キットと、抗ウイルス薬タミフルの登場があると思います。
迅速診断キットは、インフルエンザか、それ以外のかぜなのかをその場で診断する検査薬です。
また抗ウイルス薬とは、ウイルスが人体の中で増殖するのを防ぐ薬です。
抗ウイルス薬の代表はタミフルで、2001年に登場しました。
他の抗ウイルス薬もあるにはありますが、今の主体はタミフルでしょう。
タミフルを始めとする抗ウイルス薬を処方するためには、ほんとうに患者がインフルエンザかどうかを調べなければなりません。
そこで使われるようになったのが迅速診断キットで、のどや臭から綿棒で粘液を採り、インフルエンザ・ウイルスがいるかどうかを調べるのです。
以前は、インフルエンザが流行している時期に高熱が出たら、まあインフルエンザでしょう、という感じで医師もすませていました。
診療費も安くてすみました。
ところが現在では、診断キットで診断しなければ医師もインフルエンザとは断言できないし、タミフルも処方できないものですから、病院へ行けば、必ず「では検査してみましょうか」ということになります。
迅速診断キットは今や一大医療商品になっていると思います。
この診断キットは、ウイルスが増えなければきちんと結果が出ません。
ごく初期に病院へ行って診断キットで調べてみたら陰性で、インフルエンザの反応は出なかった、ということがあります。
「一応明日またおいで」 と言われて、翌日まとが、ままあるのです。
一方、タミフルはウイルスが増えるのを抑えるために飲む薬ですから、感染して48時間以内に飲まなければ効果がない。
それなのに、迅速診断キットによって、ある程度時間がたってからインフルエンザだということがわかり、そのときにやつとタミフルを処方されても、もう体中にいっぱいインフルエンザ・ウイルスは増えてしまっています。
なんだか調子悪いな、これは怪しいな、と思った1日目には、診断キットでは陽性に出ません。
ウイルスで調べる薬ですから、ある程度ウイルスが増えなければ反応しないのです。
検査をして陽性に出れば、それはある程度ウイルスが増えたということですが、その時点でタミフルを飲んでウイルスの増殖を抑えようとしたって、遅すぎます。
ウイルスが増えないように48時間以内に飲まなければいけない薬、それに対して、ウイルスが増えなければ結果が出ない検査。
なんだかおかしな詣ではないでしょうか。
インフル工ンザは自然に治る病気です特効薬はありません インフルエンザに薬はありません。
インフルエンザにかかったら治るのを待つしかないのです。
病院では抗生物質を処方されることが多いと思いますが、それは必要ないものです。
抗生物質は細菌を殺す薬です。
ウイルスにはまったく効果がありません(細菌は細胞を持っており自力で分裂して増えますが、ウイルスには細胞がなく自力では増えることができず、他の生物の細胞に入り込んで増えるという違いがあります。
細菌には細胞があるので抗生物質で殺すことができます。
しかし、ウイルスには細胞がないので薬で攻撃することができないのです。
またウイルスは細胞よりはるかに小さなものです)。
それでも医師が抗生物質を処方するのは、インフルエンザから肺炎などになった場合に効力を発揮するからで、だから医師は「 念 の た め に l抗生物質を出してお 抗生物質はウイルスを殺せない。
だけでなく、安易に飲むと、耐性菌といって、抗生物質に対して強い菌が体内にできてしまい、いざというときに抗生物質が効かなく誉可能性があります。
必要ないクスリは極力飲まないほうがいいのです。
日本の乳児の医療は無料ですし、市町村によっては1歳を過ぎても補助のあるところも多いので、医師も「患者の診療費の負担にならないから」と、どんどん処方している現実があります。
抗生物質は、インフルエンザが長引いて、肺炎やひどい中耳炎を起こしたときに初めて処方されるべきもので、かかり始めに飲むものではありません。
まして、予防には何の効果もありません。
タミフルは危険な薬です 使ってはいけません抗ウイルス薬のタミフルは使うべきではありません。
タミフルは、唯右インフルエンザ治療薬のようにいわれていますが、もちろんウイルスを殺す薬ではありません。
ウイルスが増殖する前に服用すればウイルスの増殖が抑えられ、治りが2日くらい早くなるという程度の薬です。
問題は強烈な副作用の可能性です。
若い人が服用後に窓から飛び降りるなどの異常行動を起こして話題になったことは皆さんご存じでしょう。
それ以来、10代の使用が制限されましたが、もっと恐ろしいのは、タミフル服用後の睡眠中に、突然死した幼児が多数いるということです。
解熱剤が原因と思われる脳症の場合は、症状が起きてから悪化するまで急な場合でも半日~1日ですが、タミフルの場合、服用後眠りについて2時間程度での突然死という急激な病状なので、手のほどこしようがありません。
これらの症状とタミフルとの因果関係はまだ明らかにされていませんが、乳幼児には、絶対に使用したくない薬です。
そもそも、発売元の中外製薬も、乳幼児への服用を奨めてはいません。
タミフルはアメリカの子どもに使われる総量の13倍もの量が日本の子どもに使われています。
タミフルは高価な薬なので、他国ではめったなことでは処方されないのです。
これほど子どもにタミフルを使用して「大人ならいいのか」と問われれば、「やはりやめておきましょう」と私は答えます。
若い人への副作用のメカニズムもわかっていないのに、大人なら安全と、どうして言えるでしょう。
2001年の発売以来、日本ではタミフルが大量に消費されてきました。
なんと、世界中のタミフルの75パーセントを日本で消費しているのです。
タミフルを使いすぎると、抗生物質の場合と同じように、耐性ウイルスができる危険が指摘されています。
すでに、タミフルを服用した子どもから耐性ウイルスが発見されています。
これでは、タミフルが効かない形にインフルエンザ・ウイルスが変異するのも時間の問題のように思われます。
しばらく寝ていれば治るインフルエンザで、なぜ、このような薬を使わなければいけないのでしょうか。
多少治りは早くなるだけで、恐ろしい副作用が報告されている薬です。
繰り返して言いますが、インフルエンザに薬はありません。
なんとかしたいという気持ちはわかりますが、実際のところ、とにかくじつと寝て治すしかないのです。
なんとか治そうとするあまり、薬害をこうむってしまうのはばからしいことです。
薬品よりも、水分をとり、食べたいものを食べ、のどが痛ければのどアメをなめてインフルエンザをやりすごしましょう。
看病する親の立場であればつらいところですが、自分の熱でウイルスと戦うことが、インフルエンザにかかった場合の最善の方法であるということは、強調してしすぎることはないと思います。
この世に生まれ出たら もう無菌状態ではいられません 今の世の中は、なんでも抗菌、殺菌です。
抗菌グッズも世にあふれていて、私など「なんでこんなものを抗菌にする必要があるのだろう」と思うものまで出回っています。
のらねこ 一時、公園などの砂場も抗菌砂になりました。
野良猫がフンをしたりするため、
ったからです。
わざわざ抗菌砂 に入れ替えたものだから、今度は子どもたちが使わないときはカバーをかけなければならなくなりました。
でも、もともと砂場は、お目様が日中当たっていれば、 十分殺菌できていたのです。
日光の紫外線の殺菌力は強力ですから。
猫のフンな んて、あったらつまんで捨てればいい。
それくらいのものでしょう。
私はよく子どもたちに聞くのです。
「鼻くそ食べたことある? しょつばくて おいしいよ」と。
お母さんたちは、わが子が鼻くそを食べていたりしたら、とん」 でもない、不潔だとあわててやめさせるでしょうね。
でも、鼻くそは、全然汚く心 ないんです。
あれは、鼻汁の一部が鼻の中にたまって硬くなっただけで、だれでも(」)無意識のうちに鼻汁をすすって、のどに流れ落ちたものを飲んでしまっているのです。
今は、自分の排泄物さえ、見えなくしてしまっている時代です。
水洗だけではなく、さらにウォシュレットになってしまい、ペーパーについた排泄物さえ見ずじまいで流してしまえます。
便利な世の中になってありがたいかぎりという見方もあるでしょうが、そういう時勢のせいで、汚いと感じるものさえ自然の一部なのだということを、ついつい忘れてしまいがちです。
鶏の卵の殻の中は無菌だとお話しましたが、同じように、哺乳類(ほにゅう)も、羊水の中は無菌状態に保たれています。
マウスの胎児を帝王切開して無菌状態のまま取り出し、無菌動物として育てます。
そのマウスで、無菌動物実験をするという研究分野があるのです。
刺激は純粋に外から与えられたものだけですから、効果を正確に調べる実験に使えるわけです。
この無菌動物というもの、無菌の中に入れたままだとけつこう長生きします。
でも、外に出したとたん、あっという間に死んでしまう。
生まれて以来無菌のままだから何の免疫もついていないので、外に出て、ウイルスや細菌に触れたとたんに病気になってしまうというわけです。
人間も、いったん羊水から出てオギャーと生まれてしまったら、もう無菌状態ではいられません。
ウイルスや細菌を避けていたら免疫力はっきません。
ウイルスや細菌は意味なく身のまわりから排除せず、つきあっていくべきではないでしょうか。
インフルエンザは自然現象 共生していけばいい
今年もいくつかの台風が日本を襲いました。
大き叢書をもたらしましたが、人々に恵みを与えた風や雨もありました。
これらの気象は人間の力でコントロールすることはできません。
人間にとってインフルエンザの問題は、このような、どうにもならない自然とどう折り合っていくか、ということと同じ問題だと私は思います。
インフルエンザは、人間が何かをどうしたから流行るという病気ではありません。
インフルエンザは自然現象であり、インフルエンザ・ウイルスも自然の子なのです。
姿を変えることも、毎年違う時期に違うものが来ることも、また予測がつかないことも、地震や台風と同じように自然現象ならではの性質です。
「今年は寒かったし、空気が乾燥しているからインフルエンザが大流行した」という言い方はされるし、湿度や気温が高ければ流行しにくいとも言いますが、実際はどうでしょうか。
この細長い日本で、群馬のからっ風が吹くところと、票の多い日本海側と、気温が高い宮崎県のあたりでは、まるっきり気候も湿度も違うのに、インフルエンザが流行する時期はほぼ一緒です。
一月(ひとつき)と違いません。
湿度や気温は流行に関係なさそうです。
また、新潟から流行って、インフルエンザが大陸から入ってくるかのように言われたりすることもあれば、九州のほうから流行りだすときもある。
流行のピークも、12月に来るときがあれば、3月に来るときもある。
流行る時期もその時にならないとわかりません。
結局、インフルエンザの流行には、何の法則性もない。
湿度が高かろうが低かろうが、気温が高かろうが低かろうが、12月だろうが3月だろうが、流行るときに流行る、というだけなのです。
今年はどうかと考えたところで、全然予測ができない。
だからこそ、予防は不可能なのです。
ウイルスは30億年以上も前に地球に存在していたといいます。
そして、インフルエンザらしきものは古代エジプト時代から記録されていました。
人間は自然とのつきあいの中でインフルエンザ・ウイルスに対処しながら、紀元前の昔からンザ・ワクチンで防ぎきることができると思うほうがおかしいのではないでしょうか。
インフルエンザ・ウイルスとは、これからも共生していけばいい。
私はそう思っています。
著者
母里啓子(もりひろこ)
1934年東京都生まれ。
医学博士。
)葉大学医学部卒業後、伝染病研究所(現・東京大学医科学研究所)でウイルス学を修め、愛知県がんセンター研究所に勤務。
在職中に、カナダのトロント大学オンタリオがん研究所に2年間留学。
帰国後、東京都がん検診センター検査課長、横浜市衛生研究所細菌課長を経て、国立公衆衛生院(税・国立保健
.ご医療科学院)疫学部感染症室長、同附属図書館長、のち、横浜市の瀬谷、戸塚、臥他の保健所所長、介護老人保健頗設「やよい台 仁」の施設長を務め退職。
『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』(ジャパンマシニスト社)編集委員。
監修および共著に『今年はどうする?インフルエンザ』『医者には
口ぎー聞けないインフルエンザ・ワクチンと薬』『予防接種へ行く前に』『ちいさい・
■本の題名
インフルエンザ・ワクチンは打たないでたないで!
2007年12月10日 第1刷発行
著者 母里啓子(もりひろこ)
発行所 株式会社双葉社
以上一部抜粋
米国のインフルエンザ・ワクチンの情報
インフルエンザワクチンは、傷害事件の和解に基づくと米国で最も危険なワクチンである
明らかに、インフルエンザワクチンは今日のアメリカで最も危険なワクチンですが、その事実は主流メディアでは言及されておらず、医師からも報告される可能性は低いでしょう。
インフルエンザワクチンは大きなビジネス
インフルエンザワクチンが米国で最も危険で、最も多くの傷害を引き起こすワクチンであるのには理由があります。
インフルエンザの予防接種を受けてもインフルエンザにかかる
https://healthimpactnews-com.translate.goog/2014/government-pays-damages-to-vaccine-victims-flu-shot-most-dangerous-with-gbs-and-death-settlements/?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=wapp
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