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旧古河鉱業若松ビル

2011年10月15日 06時26分11秒 | 旅行

 

 

この建物は、大正8年(1919年)旧財閥系企業の古河鉱業が若松に進出した折の支店事務所ビルで、石炭の積出港として賑わった若松バンド(海岸通りの近代港湾都市空間帯)のシンボル的な建物として、大正昭和の時代をこえて長く地元住民に親しまれてきた。

平成に至る近年、入居者もなくなり、老朽が進み、取壊しも検討されたが、個性的な街作りをしようと地元市民が立ち上がり、保存運動に乗り出し、署名や多額な寄付金を集め、市に陳情した結果、市と地元市民団体による運営管理、活用計画が検討された。

建物は大正期アールデコ様式の塔をもつ2階建てのレンガ造の構造で、内部と屋根架構が木造となっている。

新しい耐震基準に合わせるべく学識者による検討がなされ、屋根面と2階の床に鉄骨の水平トラスで壁面の面外変形を拘束し、更に長・短辺に鉄骨ブレースが新設されている。内部は建設当時の1階受付ホール事務室、金庫と2階への木造階段を原形で残し、他は新しい用途に改修されている。

 外装は、天然スレートの一文字葺き・緑青銅板の瓦棒葺きのマンサード屋根が実現し、銅製鋳物人工緑青の屋根飾り、GRC人工洗い出しによる外壁装飾が、内装は漆喰の補修による柱頭飾りが複元されている。

 施設の維持管理運営は、保存・活用の市民運動から発足した任意団体『旧古河鉱業若松ビル管理運営委員会」が指定管理者として管理を行い、設備などの法定点検は各専門業者と協力して行っている。

設備面では、集会所・催事場への用途変更に対応して、空調設備の個別ガスヒートポンプエアコンなど、ほとんどの設備が保存・改修を期に更新されている。

 保全計画のなかには、木軸床の保存継承をしたことから、白議防除点検(年4回)を盛込む等細かな配慮も伺える。

 設備はリニューアルされ管理の再スタート時点にあり、維持保全計画推進責任者の北九州市と管理運営委員会との密な連携で施設の良好な保全が持続することを期待したい。

 若松バンドの現在の景観は、旧古河鉱業若松ビルを唯一のシンボルとして、海岸通りのボードウオ―クと共に整備されているのであるが、周辺に残る数棟の近代建築群が荒廃して残されている。

 これらの建物が続けて市民や市当局の協力でよみがえり、若松バンドが近代化遺産として再整備されてゆくことを祈っている。

 


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