バルビゾン派の画家ドービニーは、ミレーと共にゴッホが最も尊敬した画家のひとりであった。オーヴェール=シュル=オワーズにやって来たゴッホは、そこにドービニーが生前住んだ家があるのを知り、その家と庭をテーマに大作を計画する。彼の意気込みは弟テオへのスケッチ入りの手紙からも窺えるが、ゴッホは結局この庭を都合4点の油彩にした。そのうちスイスの個人蔵の作品が、サイズ、構図とも本作品とほぼ同じものである。ゴッホはしばしば重要と思われる作品を自らの手でコピーしており、この酷似する2つの《ドービニーの庭》も、スイスの作品が直接現場で描いたもの、より筆触が整理され穏やかになった当館の作品が、アトリエで制作した第2作と思われる。
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