アメコミとラーメン

SPIDER-MANの81


またまた御用達Milehigh Comicsからの荷物が遅延。最近おそいな。漸く到着したAmazing SPIDER-MAN("ASM”)653号、654号、655号について書こう。

前号から引き続き、653号と654号の筋書きをDan Slottが、画をStephano Caselliが担当している。相変わらず、Stephanoの画は安定している。653号の表紙、AVENGERSとSPIDER-MANの協演のシーンは好きだな。

Spider Slayerこと、Dr. Smytheが今のニューヨーク市長Jonah Jameson (“JJJ”)に恨みを持つやつらを集めて、まとめて改造した昆虫軍団(=Army of Insects)がJJJだけでなく、彼の息子Johnや父親を襲う。先月つっこむのを忘れてたけど、まず、彼が改造したScorpion(=サソリ)は昆虫ではないよね。

それから今回も気に行った台詞を書こう。一つはDr. OctopusがDr. Smytheの無能ぶりに呆れて、言った台詞。息子の計画力は親父の1/2もない。息子は88.7%の確率で養子だなってやつ。彼が本気で言っているにせよ、冗談にせよ面白い。もう一つはJJJの最愛の妻MarlaがJJJを助けようとして命を落とした後に、JJJがSPIDER-MANに対して言う台詞。 I’m not going to say “This is all your fault.” いつもJJJは何か悪いことがあるとSPIDER-MANの責任にしているが、今回はJJJ自身の責任だと公に認めているもの。初めてだね、こんなJJJの台詞。

本当はこの後654.1号という中途半端な号数のものが続くのだが、残念ながら、御用達の手違いから未着。到着したら、レビューを書くことにする。

そして、655号。筋書きを引き続きDan Slottが、画を今回はMarcos Martinが担当している。

今でも個人的にMarcosの画は上手いと思えない。しかし、デザイン力は前回のStephanoや、その前のHumberto Ramosを楽勝で上回る。今回添付したASM 655号の表紙もすごい。本編の内容がこの一枚に凝縮されている。つまりMarlaを目の前で殺されたSPIDER-MANの無力感が、画面の下側に打ちひしがれたSPIDER-MAN、そして無力感を表す白の背景により表現されている。

これだけでも、背筋がぞっとするほどの出来なのだが、本編の画もすごい。特にすごいのが2つ。一つは、SPIDER-MANことPeter Parkerの罪の意識の流れが渦巻き状に表現されているシーンが台詞と絡み合って面白く表現されているもの。もう一つは、これまでSPIDER-MANが救えなかった人達が一つの画面の中に収められているシーン。SPIDER-MANは壁を自由自在に昇り降りできるので、彼の視点から見た画像は普通の人から見たら、さかさまだったり、90度に傾いていたりする。それが上手く見開き1枚の中で表現されている。Escherの画のようだ。

それから、彼の描くSPIDER-MANやGreen Goblinは、1960年代、70年代のSteve DitkoやJohn Romita Sr.の描いたそれらへのHomageが感じられとてもすばらしい。彩色担当のMuntsa Vincenteの原色を多用した色の使い方がそのHomage感をさらに盛り上げる。

一方、苦言。前にも書いたかもしれないけど、Marcosの描く人物は下手くそだ。茄みたいな顔はちょっと受け入れられない。醜いんだよね。

一方、罪の意識から、目の前で人が殺されることは二度とないと誓うPeter、次号も楽しみだ。
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