
今回はSpectacular SPIDER-MAN の75号、76号について。Black Catが登場する話は何話か紹介したけど、この話は、2016年1月にレビューした Amazing SPIDER-MAN 226号、227号以来の登場となるBlack Catの話。1983年の作品。
(ASM 226、227号は以下のリンク参照)
http://green.ap.teacup.com/amecomitoramen/1177.html
筋書きBill Mantlo、75号の画をAl Milgrom、インクをJim Mooneyがそれぞれ担当。添付画像はSpec 76号のもの。何でこれ選んだんだろうと思ったけど、この表紙では血が赤く描かれているな。
前回紹介したSpec 73、74号から話は続いているOwlとDr. Octopusがそれぞれ率いるギャング同士の抗争に介入するSPIDER-MAN。その火に油を注いだのは、ASM 277号で死んだはずのBlack Cat。75号では漸くDoc OckとOwlギャングが、独り占めしようとしていた機械が中性子爆弾だと判明する。76号では、ギャング抗争の流れ弾にやられ、Black Catが瀕死の重傷を負う。
SpecってASM誌に比べると品質が劣るなって、正直感じていたが、時々拾い物がある。今回の75号がそういう感じ。Milgromの画はともかく、話がつまっていて、かつ息抜きする暇もなく話が展開し面白かった。
気に入った台詞の一つ。Black Catが愛するSPIDER-MANに対して言った言葉。”I may have nine lives, but I don’t have spare libs.” 西洋での猫は命を9つ持っている言い伝えを前半で言っている。SPIDER-MANはBlack CatがASM 227号で死んだと思っていて、それに対する言い訳。そして、後半は食べ物のスペアリブとSPIDER-MANに抱きしめられて肋骨が苦しい彼女が、彼にもっと優しく接してほしいとやんわりと言っている。好きだね。
SPIDER-MANがDoc Ockに対し、Black Catについて語った台詞。”She may be more crooked than curvaceous, but she is my lady.” Crook も curveも曲がったって意味なんだけど、前者は犯罪者に使われ、後者は魅力的な女性の体形を表現する形容詞。それをDoc Ockの前で臆面もなく叫ぶSPIDER-MANが間抜けで良い。そしてこの台詞全体をBlack Catは非常に喜んでいる。
75号の最後にBlack Catを守るため、SPIDER-MANはDoc Ockの触手を全てもぎ取ってしまう。このシーンはカッチョ良いな。
76号で面白いのは、ASM 227号で、ニューヨーク市警のJean DeWolffがBlack Catのために取得した恩赦状が再登場すること。作家のMantloがRoger Sternの書いた話をしっかり受け継いでいて好感がもてる。また、この「恩赦状」がBlack Catの命が助かったことをSPIDER-MANに告げる小道具となる話の作り方も良いな。
Peterが大学院の期末試験を受けるのも76号のハイライトの一つ。SPIDER-MAN家業と二足の草鞋では普通難しいよね。
最後にDoc Ockの台詞。”SPIDER-MAN and his beloved Black Cat are going to feel when Doc Ock tears them limb from limb.”自分の触手をもぎ取られたことに怒りを感じている彼らしく、今度はSPIDER-MANとBlack Catの手足をもぎ取ってやると言っている。表現が面白い。
あ、それから、前述の、敵前で恋人に何するんだって言うSPIDER-MANの台詞は間抜けだな。自分の正体を他人に明かさないのは勿論、SPIDER-MANを打ち負かすために利用する手段の一つとして、恋愛感情を敵に利用されてしまうかもしれないもんね。その一例がこのDoc Ockの最後の台詞だ。