SPIDER-MANネタが多すぎなので、久々の剣と魔法もの、それもCONANとELRICの稀有なコラボ作品をレビュー。
原案Michael Moorcock、James Cawthorn、筋書をRoy Thomas、画をBarry Windsor Smith、インクの一部をSal Buscemaが担当。
今回の添付画像は恐らくWindsor Smithの作品。1970年代のWindsor Smithの画力は正直まだまだ。人物、馬など気になる点は多数。最大の欠点はELRICが奇妙で古風な魔術師の帽子を被せているところか。凄く邪魔だったのだが、Thomasも帽子が気に入らなかったらしい。
そのWindsor Smithだが、Marvelがその後も彼を使い続けたから、後々凄いアーティストに成長している。才能を発見し育て上げた良い会社だったんだなMarvelは。(不満が積りどんどんアーティストが出て行っちゃう会社でもあるが)
CONANはRobert E Howard原作の蛮人が主人公の小説、Marvelは漫画にする権利を入手し1970年から1990年代にコミックブック版CONANを出版。(つい最近も再度権利を手に入れたがいつのまにか権利はDark Horse (DH)社に移っていた。今回手に入れたのは、DH版。権利の関係からかCONANのロゴの入った表紙は収録されていない。残念。
もう一人の主人公ELRICは。Moorcockの代表作。昨年コミック版ELRICをこのブログでレビューしたばかり。その作品を描いたWalter Simonsonが参考にした敵役Gaynorが今回レビューするCONAN 14号と15号にも登場する。
粗筋をサラッと紹介。溜息を漏らす湖に眠る緑の王女。魔術師Kulan-Gathは彼女の力を使い世界征服を試みる。それを助けるのは混沌の神の一人Xiombergとその家来Gaynor。その野望を阻もうと魔術師ZukalaとZephra親娘はCONANに助力を依頼。別の混沌の神に仕えるELRICは道中CONANに出会い、共に旅することになった。
後書きでThomasが語ったように粗筋だけでも複雑だな。コミックブック版最初の二話完結ものというのも頷ける。しかも混沌神だけでなく、姿を現さないものの法の神Arkynも参戦する始末。
勇者二人に敗れた後のGaynorの負け惜しみ。”You two shall wish you had died by our hand for cruel and certain will be the vengeance of Xiomberg.” いじめっ子がやられて「帰って母ちゃんに言いつけてやる」と言っているのに等しい。
最後は蘇った緑の女王を法の神が憑依したZephraが片づける。CONANもELRICも必要ないじゃん的な。Moorcockの作品は結構こういうのが多いな。凄い力を持っているのだが。手に負えない状況は他力本願で対処。
ELRICの台詞。”She (Zephra のこと) is dead and we still live! But for how long, Lord Arkyn?”自分の仕える神Ariochに聞かずに敵対する神に質問している。Ariochを信用していないんだろうな。結局。
屠った相手の魂を吸い取る剣を持つELRICの台詞とそれに対するCONANの台詞。”I steal souls for Arioch to devour. Other than that I am my own man.” “Then you’re not your own man at all.” 蛮人であるCONANを見下しているELRICであるが、CONANの方が客観的にELRICを捉えていて皮肉だ。