今年に入ってからSPIDER-MANは旗艦誌Amazing SPIDER-MAN (“ASM”)より他のタイトルの方が面白かったりする。今回レビューするのはそんな1冊SPIDER-MAN Shadows of the Green Goblin。
筋書をJ.M. Dematteis、画をMichael Sta Mariaがそれぞれ担当。表紙はMike Del Mundoのvariant。この表紙のデザインはオカルトチックでちょいと気味がわるいな。画自体は悪くないんだけどね。一方本編を担当する画家Sta Mariaの画力はなかなか良いぞ。シッカリした画を描いている。まだ高校生のSPIDER-MANは筋骨隆々というより細身で現実的。そもそも彼の身長はそれ程高くないところもよく描けている。特に好きなのは10代のPeter、Harry、Gwenの表情を年相応に描けているところかな
Dematteisは1990年代にASMを担当していた作家。DC、Marvel両方で大仕事をした大ベテラン。そんな彼なのでもう才能を使い果たして大したものを書かないだろうなと思ったら大間違いだった。
粗筋。時はPeter ParkerがSPIDER-MANとなり、Ben伯父さんが殺されてから1カ月も経たない頃。まだまだ、PeterはSPIDER-MAN の力の加減を制御できていない。一方宿敵Green Goblinになる前のNorman。この頃から実の息子Harryに厳しくあたっていた。彼が開発中のGoblinとなるための薬のモルモットにされたNels。彼はProto Goblinと変身していた。
Daily Bugle社の悪意のある記事によりテレビ出演していたSPIDER-MANの仕事は激減。その当時のマネージャーがカネの亡者かと思ったら情にもろいところは良いな。SPIDER-MAN に誕生日会に呼ぶ道化師の代役を紹介してくれた。
誕生会の主人公Darryl少年に徹底的にディスられて、まだ高校生のSPIDER-MANはお冠。ここも良いな。母親から彼の父親が2、3カ月前に亡くなったと聞いたSPIDER-MANは目が覚める。彼の独り言。”I felt like an idiot. Probably because I was one.”単純な英語ながら自分の愚かさに気付いた彼を非常に上手く現している台詞。May伯母さんがお金に困っていることを知っているのに彼はギャラを受け取らない。その後の台詞も良い。“You couldn’t afford to give that money back. 中略。Hey I was young.中略。I’d do the same thing today.” 彼は自分が出来ることをしたわけで、仕事じゃないからね。
この作品でのGwenはASMで語られていたGwenと違って精神的に強いな。もちろん彼女の父親の死の前で、Peterはそんな彼女をサポートできなかった事件の前なのだが。いけ好かない金持ち坊ちゃまをGwenが護身術で突き倒すシーンは良かった。
前段でNormanが嘘つきだというのが伏線になっている。彼の妻Emilyが死んでいるとHarryが聞かされているのも嘘の一つだな。EmilyはProto Goblinを手懐けているのだがこの辺は2号以降にもっと語られるな。
怪我をしたPeterがMay伯母さんに大した怪我ではないと言った。本当のことを言えないPeterにMay伯母さんは大激怒。Peterは落ち込む。落ち込んでいるのは彼だけでなく、今回の敵Proto Goblinも一緒。Peterと同じように頭を抱えているコマは上手いな。
一つだけ気に入らない点がある。最初のページがSPIDER-MANの誕生秘話に使われたこと。もっとPeterやSPIDER-MAN のアクションに大切なページを使って欲しかった。
話のプロットがしっかりしていて、伏線も上手く仕掛けられ、画も良い。買って良かった。大失敗なのは3号を予約し忘れたこと。(リストに載っていたのに気が付かなかった。)絶対手に入れる。