羽生くんに出会って芽生えたささやかなケツイの話。
私は子供の頃から人間の死生観のようなものに敏感だった。生きるということ。生きて、最後に死ぬということ。生きた証、アイデンティティ、信仰と自我、燃え尽きた先に残るものとは。そんなことばかり考えて生きてきた。死ぬまで続く「いま」をどう重ねていくのか。重ねた「いま」が何を残していくのか。一歩引いて、俯瞰して、ただ茫洋とそんなことを考えていた。
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ふと目覚めると、青空が見えた。体を起こして見渡すと、どうやらここは、深い森の奥にぽっかりと開いた木々の切れ間のようだ。柔らかな風に吹かれて木の葉が優しく音を立てている。(ここは、どこだろう。どうしてここにいるんだろう。…僕は、誰だろう。ここで何をしていたんだっけ)わからない。わからないけど、ここは、なんだか心地良い。
暖かな日差しが気持ちよくて、もう一度横になって目をつぶってみる。 . . . 本文を読む