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第103回全国高校野球選手権大会 予選展望その5【北信越】

2021年06月25日 | 高校野球

≪第103回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望5 北信越地区 -

 【新潟】(参加74チーム) 
関根学園が悲願の初出場に前進。名門復活の新潟明訓や、伝統の日本文理、中越などが絡み大激戦。

◎ 関根学園 
〇 新潟明訓 日本文理 中越 
△ 新潟産大付 加茂暁星 東京学館新潟
▲ 新潟 北越 帝京長岡

長く新潟で采配を振るい一時代を作ってきた日本文理、新潟明訓、中越がそれぞれ監督の引退による世代交代を経て、絶対という存在ではなくなってきた。そんな状況の中、今年は新旧の勢力が入り混じっての激戦が展開されそうだ。県大会は秋に加茂暁星、春には新潟産大付と新興勢力が制したが、その両大会で最も勢いがあるところを見せつけたのが関根学園だ。秋は3位で出場した北信越大会で優勝した敦賀気比を追い詰めて4強、春も県大会決勝に進出して北信越大会進出と十分に経験も積んできた。春の県大会では日本文理、中越、新潟明訓の「新潟3強」を立て続けに破り、存在感は抜群だ。エース牧野の冷静な投球に、シュアな打撃を見せる上位陣が得点を重ねる。その関根学園に春破れた3校が夏の対抗馬。新潟明訓は春4強で関根学園に敗れたものの、進出した北信越大会では快進撃で決勝まで勝ち上がった。その決勝でも強豪の敦賀気比をあと一歩まで追いつめ、名門復活の機運は一気に高まっている。チームの自慢は力の差がない二枚看板の投手陣だ。エース飯浜はしっかりと試合を作れる先発タイプで、柳下はリリーフで試合を絞める。打線も底上げができて、12年以来9年ぶりの夏はすぐそこだ。県の高校野球界を引っ張ってきた日本文理は、今年のチームで県4強入りは果たしていないものの、夏に向けて戦力は急激に上がってきている。伝統の強力打線は今年も健在で、投手陣に柱ができれば一気に浮上する。近年の5大会で3回の甲子園を射止めている中越は、今年も夏に向けて視界は良好。攻守に県内屈指の安定感を誇り、夏の大会の強さもあり”本命”とする人も多い。春秋の県制覇校も黙ってはいない。春制覇した新潟産大付は、創部以来初の県制覇の勢いで夏も突っ走りたい。チームの命運を握るエース西村は速球にキレがあり相手に得点を許さない。エース温存で臨んだ北信越大会では新潟明訓に完敗を喫したが、気にするそぶりはなく見据えるのは夏の覇権のみだ。秋に県を制覇した加茂暁星も初の甲子園を狙う。攻守に突き抜けた感じはないものの、接戦を勝ち上がっていきたい。そのほかで名前が上がるのは春4強入りの新潟、北越、東京学館新潟あたりか。芝草監督で2度目の夏に臨む帝京長岡の戦いぶりにも注目が集まる。


【長野】(参加77チーム)  
センバツで自信をつけた上田西。伝統の松商学園は復活なるか。強豪・佐久長聖は今年も夏に逆転を狙う。

◎ 上田西
〇 松商学園 佐久長聖  
△ 東京都市大塩尻 長野日大   
▲ 日本ウェルネス長野 岡谷南 東海大諏訪

選抜ですっかり自信を付けた上田西が中心となるのは間違いない。選抜帰りの春の県大会では苦杯を喫したものの、夏はそうやすやすと他校の軍門にはくだらないはずだ。左腕のエース山口は、好投した選抜でピッチングを覚え、球の出し入れで勝負できるまで進化。他校は攻略が難しそうだ。もともと力があるといわれた打線も春を経て全体に厚みが増し2割アップの戦力となっている。対抗しそうなのは春の県大会を制し、北信越大会でもその存在感を見せつけた松商学園。かつては「夏の年中行事」だった甲子園に、ここ10年では1度しか進出していない。県内の他校を震え上がらせた”松商ブランド”の復活に向け、今年は打線が仕上がってきている印象だ。投手力は春は左腕栗原が大事なところで好投したが、本来は今井、渡辺らが中心になる陣容だけに、まだまだ伸びしろもありそうだ。強豪の佐久長聖は、春は8強で完封負けを喫する予期せぬ大会となったが、持っている潜在能力は今年も県内No1だ。エース出口を中心に枚数が揃う投手陣は、質量ともに十分に過酷な夏の陣を勝ち抜いていけそうな陣容だ。打線は春までは沈黙を続けているが、潜在能力が高いだけに夏に向けてその力を確実にアップしてくるであろう。上田西、松商学園とともに3強といっても差し支えはない。その佐久長聖を県大会で完封した長野日大のエース白根は強豪校にとっては厄介な存在になりうる右腕だ。この長野日大、そして都市大塩尻には機動力があり、3強とは違ったアプローチで甲子園を狙っている。春準優勝の岡谷南も優勝争いに参戦してくる可能性は十分。日本ウェルネス長野、東海大諏訪などにも期待が集まっている。


【富山】(参加42チーム)  
富山、高岡の「商業」「一高」が4校入り乱れて大混戦。果たしてどこが抜けだすのか?

◎ 高岡一 高岡商 
〇 富山商 富山一
△ 新湊 高岡向陵  
▲ 富山北部・水橋 未来富山 

富山商・高岡商の「富山の早慶戦」で雌雄を決する対決が多かった近年の傾向に、今年は高岡一・富山一の「両一高」が加わって4強を形成する。本命に上がるのは春優勝の高岡一だ。およそ40年ぶりの覇権奪回は、すぐ手に届くところまで来ている。エース格の沖田はしっかりと試合を作れる好投手で、そこに春から急浮上の中村が加わり、計算できる投手陣を形成。しっかりと守って安定した試合運びができれば久々の聖地への道も見えてくるはずだ。そうはさせじと実力を蓄えるのが高岡商。こちらも3人の継投を駆使してしっかりと守り勝利を手繰り寄せるチーム。夏は強く過去3大会連続で甲子園に進出しており、今年も外すことなく聖地進出を狙う。打線もポイントで好打を放つ近藤、石黒、林など役者はそろっている。ここ数年やや分の悪い富山勢では、今年も富山商と富山一が今年もいい戦力を整える。富山商は7年ぶりの夏を狙う。投打の中心に座るエース岩城がチームの看板。打線はやや淡白さが目立ち、その底上げこそが聖地復帰に向けて最もポイントになるところか。富山一は小林がエースの座を奪いチームの戦い方が安定してきた印象だ。4強を追っていく筆頭は新湊。相変わらずの熱狂的な応援で上位を狙う。秋準優勝、春4強とトーナメントになるとしっかりと上位まで駆け上がってきており、優勝に手が届く位置にいる。ただ投手陣の層が薄く、エース津田にすべてを頼らなければならないところが心配の種か。ダークホースに上がるのは高岡向陵で、エース宝里が健在。未来富山は連続の8強入りと実績を残して臨む夏だ。打線の力は水準以上。選抜の21世紀枠で選ばれる寸前まで行った合同チーム、富山北部・水橋の戦いぶりも楽しみだ。


【石川】(参加43チーム)
星稜と日本航空石川の2強対決に、割って入るか小松大谷。

◎ 星稜
〇 小松大谷 日本航空石川
△ 遊学館 金沢
▲ 鵬学園 寺井 金沢龍谷 

星稜、日本航空石川、小松大谷は今年の秋・春の県大会で、いずれも4強入りを果たしている。この3校の戦いぶりは際立っており、3強を形成する展開だ。筆頭に上がるのはやはり選手の質の高い星稜か。各学年にそれぞれ投打の軸になる選手がおり、それがうまく融合してチームに活力を与えている、林監督のチーム作りのうまさを垣間見ることができるチームだ。今年のチームの”目玉”は1年生の右腕武内か。彼がブレークすると奥川でも届かなかった悲願の甲子園制覇への土台を作れる。その一里塚になれる今年のチームかもしれない。小松大谷は、星稜との激戦は語り草になるほどの好チームだが、なかなか甲子園には届かない。しかし今年は、秋準V、春Vと着実な歩みで聖地への道を切り開いてきている。打たせて取るエース北方を支える守備力は屈指で、地味ながら確実な野球が浸透。北方ひとりの投手陣に若干の不安は残るものの、悲願達成のカウントダウンに入った趣だ。”新興名門校”の日本航空石川は、最後まであきらめない野球が染みついており、夏の大会では、相手に無言のプレッシャーを与える存在のチーム。チームの特徴は、なんといっても強力な打線だ。2年生ながら本塁打を連発する県内屈指のスラッガー・内藤の打棒が火を噴くか。春は準決勝でライバル・星稜に完勝した後、決勝で小松大谷に足許をすくわれた。力ではライバルをリードしているものの、一つも落とせないトーナメント戦だけに、試合試合で安定した力を出すことができるかが問われる大会となろう。そして伝統校の金沢も浮上してきた。投打ともに高水準を維持していて、3強にも十分に対抗できそうな感じだ。このところ音沙汰がない遊学館は、「丸刈り卒業」で臨む夏。一味違った雰囲気を醸し出すピンクユニ軍団が、また聖地で暴れまわるか。ここ数年存在感を見せてきている鵬学園もやはり候補の一角。元金沢の浅井監督に率いられ、甲子園を目指して優勝争いに絡んでこられるか。金沢龍谷には、県内最速とも言われるエース井上がいて、一波乱を狙っている。


【福井】(参加30チーム) 
粘りに粘り、絶対にタダでは終わらない戦いの敦賀気比。秋春ともに北信越を制覇して、怖いのは慢心のみ。

◎ 敦賀気比
〇 福井商  
△ 北陸 福井工大福井
▲ 金津 啓新

敦賀気比の力が抜けている。選抜では初のタイブレークの末惜敗したが、秋に続いて春の北信越大会も制覇。しかもその勝ち方が、常に終盤の逆転というきわどいながら本物の力を感じさせる勝ち方。まずこの夏も、敦賀気比が他校を大きく上回る状況に変わりはないであろう。敦賀気比のなんといってもすごいところは、その試合に対する執念だ。「終盤に何かが起きる」というのを選手が実感して、終盤に行くにつれ相手にじわじわとプレッシャーをかけていく。そしてチャンスと見るや一気呵成に攻め込む姿は、選抜で北陸勢初の全国制覇を決めた姿とダブるものがある。戦力的にはエース上加世田を中心とした投手陣に若干の不安は残るものの、打線の破壊力は全国屈指。東から始まり前川、大島、小西らで組む中軸のパワーとスピードは圧巻だ。春の北信越大会では、秋もそうだったように、準決勝、決勝ともに9回の逆転劇で優勝。手が付けられない勢いだが、県内に敵はなく、そこまで追いつめられるシーンも県大会では見られなかった。今年は敦賀気比が県大会を圧勝するシーンしか、正直浮かんでこない。しかし各校ともに、何とか大本命のスキを突こうと躍起だ。伝統の福井商は、13年を最後に甲子園から遠ざかる。8年ぶりの甲子園に向け、今年は守備のチームを作ってきた。南・広部という好投手の継投を駆使して秋春ともに準優勝。一歩敦賀気比の壁を破ることはできていないが、夏の3度目の正直にかける気持ちは強い。秋春ともに4強進出の北越も、虎視眈々と優勝に狙いを定める。こちらも投手陣の厚みで勝負。最後まで勝ち切る野球を目指して本命に挑戦していきたい。伝統の福井工大福井は、兄貴分である福井工大がカラを破り全国大学選手権準優勝まで上り詰めた勢いを持ち込みたいところ。大阪桐蔭からやってきた白水監督が采配を振るい、元プロのコーチもベンチに。”打倒敦賀気比”に、いったいどのような戦いをするか、最大の注目を集めている。好投手を要する金津、啓新、春は敦賀気比にタイブレークまで持ち込んで惜敗した武生工がどのように夏戦うかにも期待が集まる。





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