≪第100回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望6 近畿 -
【滋賀】(参加50チーム)
近江・彦根東の代表争いに、比叡山が割って入るか?
◎ 近江
〇 彦根東 比叡山
△ 滋賀学園 近江兄弟社
▲ 膳所 北大津 綾羽
選抜には史上初の3校同時出場。甲子園の記念の年は、滋賀県にとっても記念すべき年になった。その勢いに乗って、甲子園でも勝ち進みたいところだが、選抜組を中心に代表争いは混とん。上位はどこが代表になってもおかしくはない激戦だ。候補の筆頭はやはり近江か。昨夏は痛いところで彦根東にその道をふさがれたが、今年は自信をもって夏に臨む。林・金城の両左腕が守るマウンドはしっかりと試合を作れて、打線も主砲北村を軸に盤石。甲子園でも十分に8強以上が狙える戦力だ。一方その近江の前に立ちはだかるのが彦根東のエース増居。とにかくその安定感は抜群。130キロのストレートを剛球に見せるすべを心得ており、選抜でも全国のファンにその威力を見せつけた。3季連続出場には、やはり打線の援護がどうかということがポイント。どんな相手にも3点以上取ることができれば、しっかりと安定して勝ち試合に持っていける。ライバル近江に一歩も引けを取らない総合力で勝負だ。その両校の間に割って入り秋は準優勝、春は優勝と実績を十分に残すのが比叡山だ。春の優勝は、大打撃戦で勝ったと思えば1-0での勝ちもあるという硬軟自在なチーム力を見せた。そして最後はライバルの近江に完勝。夏に向けて好材料がそろった。チームカラーは彦根東と同じく守り勝つ野球だが、打撃戦でも対応できるとすると、上位陣には恐ろしい存在になる。ここ数年県内を席巻した滋賀学園は、今年は実績がないまま夏を迎える。しかしエース宮城は昨春の選抜を経験する好投手。打線にも破壊力が備わり、ノーシードながら一歩も引かない構えだ。近江兄弟社も今年は連続で県内4強に輝き、四半世紀ぶりの甲子園が視界に入ってきた。北大津は宮崎監督が退任して、立て直しを図っていきたい。21世紀枠で選抜出場の膳所は、選抜で異彩を放ったデータ野球に磨きをかける。春4強の綾羽も侮れない存在だ。
【京都】(参加75チーム)
実力NO1の乙訓に、龍谷大平安が勝負を挑む。立命館宇治や東山、京都翔英など追ってくる各校も多彩な顔触れ。
◎ 乙訓
〇 龍谷大平安 立命館宇治
△ 東山 京都翔英
▲ 福知山成美 京都外大西 京都成章 京都共栄
京都の盟主・龍谷大平安に、今年は乙訓が真っ向勝負をかける。乙訓は選抜で初めて踏んだ聖地・甲子園で躍動。十分な力を持っていることを証明した。選抜でも活躍した川畑・富山の両輪はそう簡単には崩れない。そして打線もパワーと粘りを兼ね備えてかなりの水準を維持している。今年の古都・京都の戦いで一番手に上がるのは間違いない。追っていく龍谷大平安は、照準を夏一本に絞ってチームを底上げ中。過去のチームと比較するとまだ投打に安定感が乏しく不安要素もあるが、夏になるとそんな不安どこ吹く風・・・・と快進撃となるのが平安の伝統。新興勢力においそれと覇権は渡さないと意気盛んだ。その両校が最も警戒するのが立命館宇治。エース西成は京都屈指の豪腕。サポートする投手陣が成長した春を経て、盤石の態勢が整ったとみられる。打線の破壊力も水準以上で、過去2戦連敗中の乙訓に対して3度目の正直を狙う。この3チームが3強と言えるが、追ってくるチームもそれぞれに特徴あるチームで、決して侮れない。東山は強打が伝統だが今年は投手陣が安定。京都翔英は秋準V、春4強と実績を残す。最後の壁を破れば2年ぶりの夏に届く。福知山成美はショート藤田、京都外大西はキャッチャー伊藤と府内屈指の好選手が引っ張る。連続出場を目指す京都成章は勢いに乗っていけるか。大阪・春日丘で甲子園経験のある神前監督率いる京都共栄は勝負の夏。戦力は整いつつあり、あとはトーナメントを勝ち上がっていく推進力が何か欲しい。
【北大阪】(参加88チーム)
負けたことが大ニュースになるレベルまで昇華する大阪桐蔭の実力。この史上最強レベルの最強軍団を破るチームが現れるのか?!
◎ 大阪桐蔭
〇 履正社
△ 関大北陽
▲ 寝屋川 汎愛 大冠 東海大大阪仰星
「これはないんじゃないの?」とファンが思わず叫んでしまった記念大会における大阪の地区割り。北大阪に大阪桐蔭、履正社と新世紀以来全国の高校野球界を引っ張ってきた両校が、同じブロックに入った。個人的にも昨年選抜のように甲子園上位での決戦を夢見ていただけに、残念なことこの上ないのだが、今年は大阪桐蔭の力が完全に抜けており、ダントツの1強という図式になるのは間違いない。かつてのKK世代のPL学園のように、今大阪桐蔭は「負けたことが大ニュースになる」ほどの強さを身に着けた。全国でもこのチームに伍していけるチームは全く見当たらず、選抜に続く「甲子園春夏連覇」の可能性は限りなく高いといえる。ダントツの安定感を誇る投手陣には、困ったときにショートからすッと出てくる”守護神”根尾の存在もあり盤石。打線はもう、紹介の必要のない「大阪桐蔭の打線」に磨きがかかってどんな試合でも最低5点は奪える。まず牙城は揺るがないだろうが、ふっと気が抜ける瞬間に苦戦を強いられることがどの大会にも1試合はある。そこを切り抜ければ、怖いものはない。対抗馬にはやはりライバルの履正社を上げる。しかし昨年の大型チームでも敗れなかった大阪桐蔭を、今年のチームで敗れというのはかなり厳しいと思われる。昨選抜準優勝メンバーが上位にはずらりとそろうものの、投手陣に軸がいないのでライバル対決では苦しい戦いを強いられそうだ。そして大阪桐蔭との直接対決では、どの試合でも苦手意識が払しょくされないので、いつも実力を出し切れないで終わることが多い。殻を破る何かが欲しい。関大北陽は実力差はあるが逆転も可能な位置につける。豊富な投手陣をつないでロースコアゲームに持ち込めばひょっとして・・・・・という期待は、今年は履正社よりもむしろこの北陽か。ダークホースは公立勢。毎年好チームを作り上げる汎愛は今年も面白いチーム。エース波田野の右腕にかける。春の不大会で大阪桐蔭を9回2死まで追い詰めた寝屋川はあの王さんの早実を向こうに回して奮闘した、かつての名門。半世紀以上のブランクを経て甲子園に帰ってきたら、話題を呼ぶに違いない。昨夏大阪桐蔭と決勝で激闘を繰り広げた大冠も、優勝へ得意のフルスイングで突き進む。
【南大阪】(参加87チーム校)
選抜決勝の再現か、大阪桐蔭と履正社の両雄。勝った方が間違いなく、全国制覇へ向かう。
◎ 大体大浪商
〇 近大付属 大商大堺 初芝立命館
△ 興国 上宮太子 大塚
▲ 大阪偕星学園 東大阪大柏原 阪南大付
「10年に一度の大チャンス」南大阪に振り分けられたチームは、大阪桐蔭も履正社もいない夏の大会を戦える幸運に、ワクワクが止まらないだろう。自然と気合も入ってこようというものだ。この南大会。本命はあえて「不在」といってもいいのではないだろうか。PL無き南大阪は、どこが勝ってもおかしくはない大戦国大会だ。有力校は片手では足りないが、まずリードするのは大体大浪商。そして追っていくのが近大付属。まるで70年代か80年代を見るようなノスタルジーを感じる両校だが、その実力は確かなもの。浪商はエース立石の力投で春は大阪桐蔭に食い下がった。秋4強入りを果たした近大付属のエース大石も好投手。やはり「好投手あるところに栄冠あり」の格言が生きる大会になるかもしれない。浪商が代表を射止めれば38年ぶり、近大付属は前回の記念大会以来の代表権獲得を目指す。大商大堺もPL,大阪桐蔭、履正社など時のトップ校たちに果敢に挑み続けるがその都度跳ね返され、甲子園までは届かないという歴史を背負うチーム。今年はその壁を破る絶好のチャンスとみている。初芝立命館は春4強。こちらも今年はチャンスをものにしたい。近年甲子園をつかんでいる東大阪大柏原や大阪偕星学園は、勝ちあがり方を知っているだけに他校には脅威。上宮太子や公立の雄・大塚、そして懐かしい興国という名前も挙がってきて、オールドファンには特に楽しみな戦いとなりそうな気配が漂っている。
【東兵庫】(参加72チーム)
”甲子園の地元”からはどこが? 小園の報徳学園が最後の夏にかけるが、名門校が入り乱れる混戦の大会か。
◎ 報徳学園
〇 滝川二 神戸国際大付
△ 市尼崎 神港学園
▲ 関西学院 市西宮
今年は分割されて72校の参加となる東兵庫大会。神戸、尼崎、西宮など「甲子園のおひざ元」の大会だけに、まさにどこが地元の代表になるのか、注目度は高い。今年は県大会8強入りしたこともないが、やはり夏は報徳学園を本命に上げる。U-18全日本の主力であるドラフト候補・小園がチームを引っ張り、全国で勝てるチームを目指しており底上げは出来ていると見た。打線の破壊力は大会屈指で、頼れるエースが出現すれば一気に頂点まで駆け上がれそうだ。追うのは春準Vを飾った滝川二か。投手陣の層の厚さが自慢で、足を絡めた攻撃力も光る。4校出場した春の近畿大会では、県勢唯一の勝ち星を挙げた。連続出場を狙う神戸国際大付は、打線が強烈。青木監督のプロレス野球、今年も楽しみだ。二年ぶりの夏を狙う市尼崎も視界良好。2枚看板の投手力を中心とした好チームで、甲子園に届いても何ら不思議ではない。神港学園は長く監督を務めた北原監督が退任して初めての夏。しかし今年も、息子の北原監督が後を継いで甲子園を目指す。関西学院は全員野球と細かい攻撃がチームの軸。投手陣が安定すれば、9年ぶりの聖地を狙える。市西宮はエース若林がプロも注目する投手に成長。波乱を巻き起こしたい。その他では、須磨翔風の荒川にプロが熱視線を送る。
【西兵庫】(参加90チーム)
新興名門校・明石商が戦力を整えトップ快走。追っていくのも公立勢で、珍しい「公立上位」の大会か。
◎ 明石商
〇 西脇工
△ 社 姫路工
▲ 東洋大姫路 三田学園 東播工
近年の高校野球では、誠に珍しい大会となりそうな様相だ。上位陣にずらりと並んだ公立勢。すでに名門の貫録をも見せる明石商は、今年の秋春の県大会を連覇。この西大会では、圧倒的な優勝候補に挙がる。エース加田を中心にして質量ともにそろった投手陣の水準は全国レベル。名門・明徳義塾のメソッドを背負い就任した狭間監督がチームを作り、8年連続の8強以上を記録しすっかり”新興名門校”の仲間入りを果たしている。そして過去3年連続で夏の大会準優勝。先輩たちの流した悔し涙を最もよく知る世代で、初めての夏をつかみに行く。その明石商に肉薄するのが西脇工。秋は準V、春は4強と実績を残すが、いずれも明石商の軍門に下っているため”3度目の正直”を狙って虎視眈々。エース山中は水準以上の好投手。今度こその思いも強く、13年以来5年ぶりの夏を狙う。この両校が2強を形成するが、選抜経験もある社が面白い戦力。藤尾・藤本の左右の両輪がそろって、夏を戦うための戦力が整ってきた。打線がやや弱いといわれるが、接戦を勝ち上がっていきたい。姫路工、東洋大姫路の姫路勢は、本来なら記念大会の中心に座らねばならないが、今年は苦戦を強いられている。特に全国制覇の経験もある東洋大姫路は、ここのところあまり芳しくない成績が続いている。今年はチャンスの年になるはずが、戦力の整備が遅れている状況だ。ベテランの藤田監督がどんな手を打ってくるか。三田学園は元近鉄の強打者、羽田氏が総監督を務めて、名門復活を狙っている。
【奈良】(参加39チーム)
すっかり自信をつけた智弁学園が圧倒的に優位に立つ。ライバル天理は意地にかけても昨年の再現を狙いたい。
◎ 智弁学園
〇 天理
△ 高田商
▲ 橿原学院 奈良大付 法隆寺国際
今年も天理・智弁の2強が突出している”奈良夏の陣”だが、今年は智弁学園が圧倒的な戦力をそろえて突出。ライバルに水をあけてトップを突っ走る。智弁学園の強さは元来の強力打線に加えてここ数年はしっかりした投手力を整備していること。エース伊原、左腕川釣ら分厚い投手陣はかなりの水準で、春の近畿大会で対戦した大阪桐蔭にも一歩もひるまず立ち向かっていた。今年はイマイチと言われた打線もここに来て急上昇。選抜を経てすっかり強力打線に変身。この戦力を整えて、小坂監督は一昨年の選抜に続いて、今度は夏の全国制覇を目論む。ライバル天理は、ここ数年智弁に押されっぱなしだったが、昨夏は意地を見せて代表権を獲得すると甲子園でも快進撃で4強入り。「俺たちもいるぜ」と強烈にアピールした。しかし今年はさすがに厳しいか。投打ともに智弁との差は大きい感じで、逆転するには何かきっかけが欲しいところか。一方2強の図式に割って入ろうとしているのが高田商。秋春ともに県大会では決勝にコマを進めた。しかしながら、決勝では智弁に対して2試合ともに大量失点での大敗。何か策を講じて夏に臨まないと、同じ試合展開になりそうな気もする。。橿原学院はポテンシャルの高い選手を数多くそろえて打倒・智弁学園に腕を撫す。近年安定した戦いを続ける奈良大付、秋3位の法隆寺国際などはどこまで大本命に肉薄できるか。
【和歌山】(参加39チーム)
完全復活した智辯和歌山はエース平田と強力打線で圧倒か。ライバル・市和歌山はどう戦う?
◎ 智弁和歌山
〇 市和歌山
△ 日高中津 箕島 向陽
▲ 和歌山東 初芝橋本 近大新宮
2012年まで夏の県大会8連覇と圧倒的な”王国”を築いてきた智辯和歌山が完全復活の気配だ。年齢とともにやや衰えを見せていた高嶋監督を、プロ経験者の中谷コーチが戻りがっちりと支えることで完全復活を遂げた。今年の選抜は智辯和歌山らしい強打と終盤の粘りで決勝に進出。大阪桐蔭に敗れたものの「智辯和歌山完全復活」を高校野球ファンに大きくアピールした。「高嶋智弁」というよりも「中谷智弁」の助走ではと思っている今年のチーム、再度王国を築くために今年の甲子園は絶対に譲れないところだ。打線は林を中心に文元・富田らをそろえるド迫力打線。そしてエース平田はピンチに強い頼りになるエースで、それを小堀、池田など多彩な投手が支える体制。もとより40校以下の参加校の大会となるため、5試合を戦えば甲子園に到達できる先が見えやすい大会。高嶋監督が見据えるのは、全国の頂点しかない感じだ。追っていくチームに例年よりも迫力がないのが「智辯一強」を際立たせている感のある今年の大会だが、ライバルの市和歌山が打倒智辯を狙って爪を研ぐ。投手陣は枚数はそろうが質は例年ほどではなく、打線は智辯和歌山とは対極のスモールベースボール系。よほど展開がはまらない限り今年の「打倒」は成し遂げられないとみているが、それでも何が起こるかわからないのが野球だ。一瞬のスキをついて、大金星を挙げたい。日高中津は期待の140キロ右腕・入山が故障明けなのが気がかり。名門箕島はなかなか完全復活への軌道が描けないここ数年。甲子園に出場しきっかけをつかんだ夏から既に数年が経過、徐々にその戦力を落としていっているところが気になる。向陽は春4強。強豪に立ち向かいけたぐりをかます野球は健在で、今年も「何かやってくれる」との期待を持ってみてみたい。エース杉本の和歌山東、好選手をそろえる近大和歌山や初芝橋本も、何とか智辯和歌山に一泡吹かせると意気盛んだ。
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