【第96回センバツ高校野球大会】 ~甲子園~
◇決勝
健大高崎 3-2 報徳学園
報徳学園 200 000 000 ー 2
健大高崎 201 000 00✕ ー 3
今年の選抜決勝は、
初の全国制覇を狙う健大高崎と、
2年連続決勝進出で3回目の優勝を狙う報徳学園との対決。
両チームともに力の拮抗した2枚看板の好投手を擁する似た感じのチーム。
それだけに先制点がかなりのウェートを占めると思っていましたが。。
1回の表、
報徳がさっそく2死1・2塁のチャンスをつかむと、
5番安井が1塁線を鋭く破るタイムリー2塁打で2点を先取。
報徳ががっちり試合の主導権を奪ったかに見えました。
しかし健大高崎はすぐさま反撃。
報徳と同じく2死1・2塁のチャンスをつかむと、
5番森山が左中間を深々と破るタイムリー2塁打。
全く同じ経過で、
あっという間に同点に追いつきました。
2,3回と健大高崎の先発・石垣がしっかり抑えてリズムを作ると、
3回裏健大高崎は、先頭の斎藤がライトへ3塁打を放ち無死3塁のチャンス。
ここで3番高山がライトにタイムリーを放ちリードを奪いました。
報徳は5回に2死満塁のチャンスをつかむも、
期待された4番・斎藤が倒れて同点ならず。
続く6回も報徳は無死2・3塁の絶好のチャンスをつかみますが、
ギアの上がった石垣は続く3人を力でねじ伏せて得点を与えず。
報徳に追いつくことを許さず試合は後半へ。
7,8回は、
石垣の渾身のピッチングで報徳は連続の三者凡退。
試合はいよいよ9回に入りました。
ここで健大高崎は1番をつけるエース左腕の佐藤が登板。
佐藤は簡単に2死を取りますが、
代打に四球を与えて2死1塁。
ここで報徳はとっておきの代走を送り、乾坤一擲のスチールを敢行。
これがギリギリでセーフとなって同点のチャンスを演出。
鳥肌が立ちました。
バッターは守備でここまで再三好プレーを見せている好打者の1番橋本。
球場全体が報徳声援の大音響に包まれ、
甲子園は「何かが起こる雰囲気」でバリバリの中、
マウンド上の佐藤はどこ吹く風の落ち着いた表情。
そして最後は橋本を三振に切って取り、
健大高崎が初めての決勝進出で、群馬県勢初の選抜制覇を成し遂げました。
どちらもあっぱれの攻防で、
緊張感のあるいい戦いでした。
敗れた報徳は、
投手も守備も走塁も、
それは見事な戦いを見せて、
チームの完成度の高さを見せました。
最後は秋から少し懸念されていた「打線の弱さ」が垣間見えてしまいましたが、
それでも連続の準優勝は見事でした。
初戦から歯ごたえのある相手ばかりとの対決。
苦戦の連続でしたが、
間木、今朝丸の2枚看板の投手陣を前面に押し立て、
高校野球レベルでは最高級の守備力で、
リードした点を守り切っての勝ち上がりでした。
夏に向けては、
一にも二にも、
打線の強化だと思います。
強化した打線で、
夏も大暴れを狙ってください。
さて、
優勝した健大高崎。
ほぼ書きつくしてしまった感のある健大高崎ではありますが、
この2年間、ワタシは驚いています。
昨年の山梨学院、そして今年の健大高崎の、
関東勢の選抜連覇です。
しかも言うなれば、
この両校は「甲子園では苦戦を強いられるチーム」とみられていたからです。
「力はあるけど、殻を破れないからなあ・・・・・」
と思われていた「甲子園には強くないチーム」が、
こうして快進撃を見せて頂点にたどり着くというのは、
「やっぱり甲子園っていうのは、面白いところだなあ」と感じさせてくれる出来事でした。
ここでは何度も書いているのですが、
健大高崎は2011年にすい星のように群馬に現れた新星。
そこからまだ13年しか経ってはいません。
しかしワタシの印象では、
かなり強豪という地位を長く保ち続けているチームという感じです。
何しろ初出場の時から機動力を前面に出した「機動破壊」で、
甲子園では初戦負けなし、しかも2回目の甲子園からは「甲子園最低2勝」を5回も連続して続けてきたチームは強かった。
もう2,3回目の甲子園ぐらいからは、
相手が戦う前から健大高崎の機動破壊に過剰な意識を持っているのがありあり。
この機動力に、もう少しだけだ力と、そして好投手があれば、
すぐにでも全国の頂点に上がる力を持っているチームだと思っていました。
関東の「ネクスト全国制覇校」の筆頭にワタシも挙げていましたし、
その日がいつなのか・・・・・という事を楽しみにしていました。
健大高崎の「機動破壊」は評判を呼んで、
著作も発表されたりしましたね。
健大高崎は夏には、
2011年に続いて14年、15年と甲子園に出場して各2勝、3勝、
選抜では12年、15年、17年に出場して3勝、2勝、2勝。
機動破壊を旗印に戦っていた時の戦績は、
7年間で6回の出場、13勝6敗というものすごい成績を残していました。
しかしその機動破壊の功労者たるコーチが健大高崎を去り、
健大高崎はその戦術を軌道修正しました。
関東大会ではリニューアルした強力打線が機能して勝ち星を重ねるのですが、
どうしても強力打線の裏に見え隠れする脆さが甲子園の舞台では頭を出し、
21年選抜、23年選抜では打線が機能せず悔しい序盤での負けを喫しました。
夏の大会も、
「天敵」ともいえるライバル・前橋育英に負け続けて、
2015年以来甲子園の土を踏んでいません。
ここでも好投手の前に打線は機能せず・・・・・の戦いになってしまっていて、
ワタシには健大高崎は戦い方に迷いがあるように見えていました。
しかし昨日も書きましたが、
昨年チームに待望の「超高校級」投手が入学。
しかも石垣、佐藤と2枚揃って。
ここで青柳監督、
肚をくくったんでしょうね。
「彼らとともに甲子園で頂点へ」。
という事で昨春の関東大会、
ふたりの入学したての1年生投手を押し立てて戦い、
なんと優勝の栄冠に輝いてしまいました。
エースがしっかり抑えてくれることで、
打線も焦らず攻撃し始め、
それが今大会の栄冠につながったのかもしれません。
しかも高校野球という連戦のトーナメントの中で、
同じ力量の投手が2枚揃うというのは何ともありがたいこと。
さらに言えば、
佐藤、石垣の二人は、
左右の全く違ったタイプの投手だけに、
使い方もバリエーションに富むことができて、
「長いトーナメントを勝ち進む理想形」
を形作ることができたということでしょうね。
見事な優勝だったと思います。
地元の人たちにとっては、
近年桐生第一、そして前橋育英が全国制覇を成し遂げていましたから、
「県の商都」高崎としては、
なんとしても全国制覇を・・・・・って感じじゃなかったんでしょうかね。
ホント、おめでとうございます。
さ~て、
元々実力はあった健大高崎。
この優勝を機に、
大きくチーム全体が飛躍していくことができるでしょうか。
昨春優勝の山梨学院とともに、
非常に注目しています。
今後の関東の中では、
この健大高崎と山梨学院という選抜優勝の2校が、
横綱格に座るのではないかと思います。
かつて君臨した横浜、東海大相模の神奈川の両雄は、
厳しい戦いを強いられそうですね。
群馬県の中では、
健大高崎に分のいい前橋育英がどう巻き返すのか?
そのあたりにも注目しています。
今年の選抜は、
世間の注目度も、
そしてワタシの中での盛り上がりも、
何か今一つの大会ではありました。
準決勝まで土日の試合が1試合もなかったというのも、
大きく影響しているかもしれません。
最近はワタシ、
「やっぱり高校野球、いやっ、甲子園は夏に限るなあ」
なんて思っちゃったりしているんですが、
この春の選抜、今後どうなっていくのか、少し心配もありますね。
相対的に人気も落としてきているようなことも肌で感じますし。。。。
しかしながら、
夏が始まるとガラッと雰囲気が変わるんですよね。
さながら甲子園の夏の大会は、
「日本全国の大きな夏祭り」
みたいな風情が感じられます。
なので昨今の「高校野球人気」は、
ほぼ「夏の大会」に限られるという感じがしないでもありません。
そんなことを感じながら、
また春から夏を過ごそうと思っています。
高校野球おやじとしては、
やっぱりこの、≪選抜から夏の地方予選までの期間≫って、
特別感があって好きなんですよね。
ああ、またこの季節がやってきたって感じです。
GWをはさんで前後の、
各地での春季大会や最盛期となる練習試合なんかも、
ワクワク感を演出してくれます。
春は終わった・・・・・・夏はまだか?!
これがワタシの、
偽らざる心境です。
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