さあ、
今年はいつもより多い56代表校を目指し、
熱き戦いが始まります。
今年は北から展望です。
≪第100回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望1 北海道・東北地区 -
【北北海道】(参加校89チーム)
強打の旭川実が優勝への最短距離。投手力で対抗するし2度目を狙うクラーク国際。
◎ 旭川実 クラーク国際
〇 武修館 遠軽
△ 旭川大 滝川西
▲ 白樺学園 旭川龍谷
年々出場チームが減少し、長年100校を超える争いだったのが昨年初めて100校を割り込んで、今年は90校も割り込んで89チームの参加となった。それに伴って、南北海道との力の差も見受けられるが、今年は巻き返したいところだ。本命は秋準優勝、春も8強に顔を出した強打の旭川実。上位、下位ともに強力な打線は、どこからでも好機を作り出し安定感も抜群。全道大会で秋、春ともに敗れた試合はともに二ケタ失点を喫しており、投手陣の整備が夏までの残された課題だ。追うのはクラーク国際。一昨年の代表校で、こちらは強力な投手陣で2年ぶりを狙っている。ピダーソン・安楽の左右の2枚看板は全国レベルで、打線がそこそこ打てれば一気に優勝まで届く戦力だ。このところ強豪の名をほしいままにする武修館と遠軽が対抗馬。両校ともに戦力は厚みを増しており、あとは大会での勢いが欲しい。旭川大はエース沼田の右腕に期待。昨夏代表の滝川西は連続出場へは打線次第。投手陣はそこそこ失点を計算できる。白樺学園も今年は実績を残せていないが、夏の大会の強さは昨年までの実績が証明。名門の旭川龍谷までが覇権争いに絡んでくる予想だ。
【南北海道】(参加106チーム)
選抜糧に成長、駒大苫小牧。春の覇権争った札幌第一、札幌日大に、北海・北照の名門も肉薄する。
◎ 駒大苫小牧 札幌一
〇 札幌日大 北照 北海
△ 東海大札幌 北海道栄
▲ 札幌大谷 北海学園大付
このところ甲子園でも実績を残す南北海道勢。代表校に対する道民の期待はズバリ全国制覇。それだけの力を備えたチームも多く、例年の通りの大激戦になりそうだ。そんな中、選抜で厳しい負けを喫した駒大苫小牧の巻き返しがなるのかが焦点。春は打線不発で敗れたものの、もともとが打てる打線だけに夏にかけてのコンディショニングに注目が集まる。それを追っていく一番手が春の全道を制した札幌一。もともと前チーム、前々チームは秋の全道大会を制して選抜に連続出場している強豪だが、今年のチームは秋勝てなかった分冬に鍛えて春の全道を制した。過去二年は夏に力を落として悔しい敗退となっただけに、今年のチームには期するものがある。今年の特徴は過去二年にはなかった打線の力強さ。打ち勝って6年ぶりの夏をつかみたい。その春の全道大会で活躍した2校にもチャンスが広がる。春準優勝の札幌日大は、エース木山の活躍がチーム浮沈のカギ。敗れた道大会決勝では温存しており、夏一本にかける意気込みが見て取れた。一方北照のエース原田も好投手。腕の下がった左腕から攻略しづらい球を投げ、北海道NO1の呼び声も高い。夏4連覇を狙う北海は春までは音なしだったが、それは前のチームでも同じこと。「北海道の夏将軍」と言えるほど夏に強さを発揮する。一昨年の大西同様、投打の主役であるエースで主将の井平が活躍すれば、今年も「聖地を踏むのは北海」ということになる可能性も大きい。東海大札幌は今年は厳しいチーム状況ながら、まとまった時は一気に突っ走る爆発力を持つチームだけに、目が離せない。北海道栄、札幌大谷にもそれぞれ好投手がいて、上位をうかがっている。
【青森】(参加59チーム)
八戸学院光星と青森山田のガチンコに、弘前東が参戦。聖愛、八戸工大一はいつもの場所で虎視眈々。
◎ 八戸学院光星 青森山田
〇 弘前東
△ 聖愛 八戸工大一
▲ 弘前工 八戸高専 青森
八戸学院光星と青森山田。平成の青森県高校野球界をぐいぐい引っ張ってきたこの「宿命のライバル対決」は、平成最後の大会である今年の夏まで持ち越された。2010年前後から、ずっと光星の天下ともいえる状況だったのが、ようやく青森山田が息を吹き返してきたというのが昨今の状況。今年は秋は青森山田、春は光星と優勝を分け合って、いよいよ”決戦の夏”を迎える。光星はスケールの大きな選手を育てるのがうまい仲井監督の下、今年も好選手をそろえて県内では屈指の大型チームだ。エース福山に春で完全に目途が立ったのも好材料で、県内を勝ち抜くには今のところ死角は見当たらない。青森山田は連覇を狙って戦力を整備中。経験者が多いだけに、夏の勝ち方を知っているのが心強い。その2強に殴り込みをかけそうなのが弘前東。今年は秋・春ともに県準優勝の実績を残し、春は東北大会でも4強に進出した。注目は主砲の桜庭。クラウチングスタイルから強烈な打球を放ち、チームをけん引する。高校通算HRは50発、注目だ。聖愛、八戸工大一の両校はここ数年いつも4強以上の位置にいながらも、2強の後塵を拝し続けてきている。その壁を破るには、より高いレベルでのまとまりが求められる。久しぶりに上位進出を狙うのが名門・弘前工。昭和の時代には県の高校野球界を引っ張ってきた名門で、春は東北大会に出場して優勝した聖光学院と接戦を繰り広げた。八戸高専、青森などと並んで、公立旋風を巻き起こせるか。
【秋田】(参加44チーム)
山口が復帰できれば一気に明桜の視界は開ける。そうでなければ金足農、能代松陽、角館、秋田商と選抜出場の由利工が中心に。
◎ 能代松陽 金足農
〇 明桜 由利工
△ 角館 秋田商 大曲
▲ 大館鳳鳴 秋田
プロ注目でもあるエース山口の状態に、明桜の浮沈はかかっている。昨夏の県大会で見事な大黒柱ぶりを見せてチームを甲子園に導いた山口。しかしその代償は大きく、甲子園ではマウンドに上がることはできなかった。その故障はこの春まで長引いて、春の段階ではマウンドに立てていないが、彼が復帰するということになればチームの景色はガラッと変わるはずで、一気に本命に躍り出る。一応春の段階では、金足農が県を制した。エース吉田が投打で力を見せつけて、久しぶりの夏切符を手に入れることができるか。校名変更後はまだ甲子園に届いていない能代松陽も有力候補の一角。伝統の粘りの野球は健在で、あとは大会でのインパクトのあるプレーヤーの登場が待たれる。選抜出場の由利工はエース佐藤にすべてをかける。しかし選抜帰りの県大会でも準優勝しており、その安定した戦いぶりは県内屈指ともいえる。伝統の角館、秋田商は夏向きの制球力のあるエースを立てて、一気の上位進出から甲子園を狙う。
【岩手】(参加68チーム)
花巻東の”野球力”が他校より1枚抜ける。追うのはいつもの3強である盛岡大付、一関学院に専大北上。
◎ 花巻東
〇 盛岡大付 一関学院
△ 専大北上 大船渡
▲ 盛岡中央 久慈
盛岡大付と花巻東が激しく覇権争いを繰り広げ、それを差なく追うのが一関学院というのが、新世紀以降の岩手県の高校野球界。昨年は盛岡大付が春夏とも8強入りしてその存在感を見せつけた1年だったが、今年はライバルの花巻東が巻き返して選抜で東邦、彦根東という強豪を打ち破り8強入り。存在感を見せつける形となった。選抜後はメンバーをガラッと入れ替え、夏に向けて「戦う姿勢」を鮮明にした名将・佐々木監督の下、抜かりなく「春夏連続」への態勢を固めている印象だ。最大のライバル・盛岡大付は昨年のメンバーがごっそり抜けて今年は苦しい戦いを強いられているが、経験やメンバーの質の高さなど花巻東に伍していける要素を十分持ったチームで、夏はやはり対抗の1番手とみる。”3強”の一角である一関学院は、安定した戦いぶりを見せるもののこれといったインパクトがない戦い方に終始しているのも事実。殻を破る何かを見つけることができれば浮上もありうる。専大北上は元中日の中尾監督を指揮官に据えて2年目。春の県大会に準優勝して東北大会に進出、ようやく一筋の光が差し込んできた現状だ。プロでのコーチ経験も豊富な監督がしっかりと育てたメンバーがスパークする夏にできるか。県大会でなんといっても注目されるのは、大船渡の2年生エース佐々木。すでに150キロを投げているといわれ、まだ2年生ながらプロのスカウトがその試合には大挙して押し寄せる逸材中の逸材。本格化は来年だろうが、今年はどんなピッチングを見せてくれるのか。
【山形】(参加48チーム)
3季連続狙う日大山形が本命。ライバル酒田南と春制覇の羽黒が激しく追う。
◎ 日大山形
〇 酒田南 羽黒 山形城北
△ 鶴岡東 山形中央
▲ 東海大山形 九里学園
昨夏、選抜と2季連続で甲子園に出場。そして聖地で敗れはしたものの力強い戦いぶりを見せる日大山形が本命だ。エース佐藤を中心に近藤、中坪も控える投手陣の安定感は抜群で、暑い夏を戦える体制が整っている。荒木監督は打撃陣の底上げにも余念がなく、この夏は甲子園で2勝以上が狙えるチームに整備されていく可能性が高い高チームだ。追うのはライバルの酒田南。秋にライバルを破り優勝を飾ったが、春は不祥事で参加を見送った経緯があるだけに選手は燃えている。選手のスケール感ではライバルをも凌駕しており、火が付くと止まらない攻撃力で勝負をかける。久々に戦力を整えてきたのが羽黒。かつては甲子園4強進出という県内の高校野球氏に輝く実績を残しているチームが復権してきた。チームはエース佐藤にかかる期待が大きい。春の県大会を優勝したことで、精神的にも有力校に肩を並べた意味は大きい。秋春ともに4強進出の山形城北がダークホース。春の東北大会では花巻東を破っており、一躍注目の的となっている。投打ともに穴の少ない戦力だ。芽生門の山形中央と鶴岡東は、虎視眈々と代表の座を狙う。山形中央は練習量に裏打ちされた攻守の安定感は変える。夏の県大会は2年連続で決勝敗退だけに、3度目の正直を狙うと鼻息も荒い。一方の鶴岡東は、まだチームの形ができ切れてはいない印象だが、選手のポテンシャルは高く一発も狙える。東海大山形も復活を期してエース清野にかける。
【宮城】(参加67チーム)
謹慎明けの仙台育英。いったいどんな戦いを見せるのか。本命は東北大会準優勝の東北。
◎ 東北
〇 仙台育英
△ 利府
▲ 古川学園 柴田 石巻
昨夏衝撃的な大逆転であの大阪桐蔭を破った仙台育英。3年前には夏の甲子園準優勝をも飾り「東北で一番真紅の大旗に近い」と言われ続けて、グラウンドでは感動的なシーンを数多く生み出すチームだが、グラウンド外ではここ数年にわたり不祥事が続出。今年は秋の時点で県大会に優勝していながら不祥事で対外試合禁止を余儀なくされ、佐々木監督も辞任するという事態に陥っている。その対外試合禁止期間が6月に明けるという、ある意味関係者の恩情ある裁定によって夏の大会への参加を許されたのだが、秋から実戦経験のない中、どのような戦いになるのか。一方長年のライバルである東北は、冬場に力を蓄えて春は県優勝、そして東北大会でも準優勝を飾っている。夏の大会でも、ゴリゴリの本命とみていいであろう。成長途上といわれる中で、春は様々な試合展開のゲームをことごとくものにしてここまで駆け上がった。その経験値は何物にも代えがたく、今年は仙台育英がいかに選手のポテンシャルが高くとも、東北の方が一日の長があるとみている。その2校を追っていくのは、甲子園経験もある利府と古川学園か。両校ともに全国レベルのチーム力を持ち、多彩な野球を繰り広げる。選手として注目されるのは柴田の左腕エース・柴崎。秋、春ともに東北打線をほぼ抑えきっており、東北としては「もっとも当たりたくない相手」と言えるだろう。
【福島】(参加78チーム)
聖光学院の12連覇はまさに鉄板。今年こそ全国の頂点への思いは強い。
◎ 聖光学院
〇 学法石川 光南
△ 磐城 日大東北
▲ 福島商 湯本
前人未到の11連覇。しかしそれに見合うような、全国での実績はまだまだ。そんなところが、聖光学院がその歩みを止めない原動力になっているのだろう。昨年、一昨年のチームも十分に強いチームではあったが、今年はそれに輪をかけて「打てるチーム」として変貌を遂げている。選抜では東海大相模に対してガチンコ勝負を挑んで敗れたが、それもいい経験となってチームは夏に動き出している。春の東北大会でも接戦をものにして優勝を飾っており、どうやら今年は本気で日本一を獲りに行く腹積もりのようだ。投手陣の質は高く、いつでも4,5枚が準備を出来ている状態にあり、真夏の戦いでこれほど心強い布陣はないだろう。打線は非常に力強く、県大会では例年にも増して『負けがイメージできない』状況で、今年は”まさか”はよほどのことがない限り起きないとみている。しかし追ってくる各校には、意地を見せてもらいたい。その一番手は名門の学法石川か。選手の持っている能力は高く、それがうまくまとまれば聖光学院と十分に勝負できるポテンシャルを持つが、いかに夏の大会で上げていけるか。秋準優勝、春も4強入りの光南は、タフなエース小椋がマウンドに君臨する。たった一人で聖光学院打線に立ち向かう、ドラマの主人公になりそうな左腕。この夏はどんなドラマが待ち受けているか。かつてコバルトブルー旋風で甲子園を沸かせた磐城も復活の気配。今年は100回大会だけに、名門としても期するものがあるのだろう。聖光学院の一番のライバルといわれた日大東北は、今年はなんと県大会での勝利がない厳しい状況。しかしこういった中から夏の覇権をつかむというのも、全国ではままあること。期待したい。