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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

2013年夏 高校野球考   『カット打法の規制とジャパン選考』

2013年08月26日 | 高校野球




第95回の夏が終わり、
甲子園も静寂を取り戻しました。

とはいえオフシーズンまではまだまだその歩みは止まらない高校野球の世界。
既に各地では秋季大会が開幕しており、
『いよいよ俺たちの代だ』
と2年生や1年生が、
新しいチームにやる気満々です。

この厳しい夏にどれだけ鍛えてきたのか、
証明できる秋がすぐそこまで来ています。

さて、
今年の甲子園。

様々なことが起こりました。

既に書いていますので詳細には延べませんが、
新しいトーナメント方式が導入され(とは言っても昔に回帰したということなのですが)、
準々決勝は1日で4試合をやり、準々決勝終了後1日休養日を設ける。
そしてトーナメントの対戦相手はその都度抽選で決める。

この2つの試みを行いましたが、
おおむね良好のようでしたね。
特に【準々決勝は1日4試合】の試みは大成功だったでしょう。

試合内容が素晴らしかったということに尽きるのですが、
去年までとは興奮の度合いが違いました。

反対に、
【対戦相手はその都度抽選する】ということについては、
抽選方式があまりよろしくない感じがしましたね。

異論もあるでしょうが、
昔みたいに、
ネット裏に勝ち残りの主将を集めて、
順番に抽選をしていって、
でっかい”対戦組”ボードに校名をその都度引っかけていくという方式の方が、
見ていて興奮はしますね。

一考の余地ありと見ましたが、どうでしょうか。

そして今年の大会は、
かつてないほど”暑い”大会でしたね。

これまでも、
猛暑、酷暑などと言われる大会はありましたが、
今年の大会はさしずめ”激暑”といったところでしょうか。

気温は連日35度越え。
朝の早くから30度をしっかり超えて、
風は熱風のごとく。

厳しい気候が、
開幕から決勝まで、
ずっと続きました。

雨はほとんど一滴も降らず。
大会運営上はありがたい天気でしたが、
最後は本当に、
内野グラウンドの土はカチカチになっていましたね。

そんな中で、
大事なシーンで足を攣ってしまった選手が何人も出ました。

特に浦和学院の小島投手と常総学院の飯田投手は、
無念の気持ちを引きずったままマウンドを降り、
そしてそのすぐ後に敗戦を知ったということになり、
本当に気の毒でしたね。

あれだけの気温の中、
投手ほどのハードな動きをし続ければ、
どんな投手にだって起こりうるリスクです。

これらの対策も、
今後必要になってくるかもしれませんね。


さて、
そしてこの記念大会の終盤に話題をさらったのは、
やはり花巻東、千葉選手のカット打法と、
それに対する審判団からの”規制”でしょう。

審判団は、
この千葉選手のカット打法が、
『3バント失敗』に当たることもあると準々決勝後、佐々木監督に伝えたとのことですが、
やはりワタシもこのことにはまだ納得いっていません。

実はそんなことはつゆも知らず甲子園で準決勝を観戦していて、
『なぜ千葉選手は、今日は粘らないのだろう』
と不思議に思っていました。

そして千葉選手が淡泊に終わり出塁できなかったことが、
花巻東が完封負けしたことと大きく結びついているという印象を持ちました。

新聞報道によると、
『なぜ準々決勝が終わった後に?』
という報じられかただったのですが、
それを言うなら、
4年前に同じ花巻東の佐藤選手が出てきたときに言わないとおかしいでしょう。

あの夏、
元楽天監督の野村克也氏をして、
『あのファールでの粘りは素晴らしい』
と言わしめた選手であり、
カット打法です。

その後TVや専門誌などでもそのカット打法は紹介され、
この打法を身に付けるため、
どれだけの努力をしたかということが語られていました。

その【伝統】を引き継いだ、
佐藤選手の再来の千葉選手もまた、
小さい体でできることを探し、
佐藤選手がやっていたカット打法を、
必死に身に付けたのでしょう。

もし佐藤選手が『カット打法』によって、
ヒッティングとバントの間の曖昧な境界線に一石を投じたというのであれば、
その年の審判団の講習で、
もっとしっかりと判断基準を明確にしておかなければおかしい!

そもそもが高野連などのお得意の、
『飛びすぎたからこのバットはだめ』
など用具規制で見られたようなおざなりで対処療法的な考え方と、
なんら変わらぬ措置だったように思われます。

それを過去の大会、今年の県大会、今年の甲子園準々決勝まで・・・・・

すべて許されていたのを、
大事な準決勝を前に突然『この打法はダメ』と言われた選手の戸惑いは、
察するに余りあるものがあります。


報道では、
完全にダメとは言わず『3バント失敗と判定することもあるから』と伝えたとのことですが、

あの高野連、あの審判団、

完全に『逆らうことは、一切まかりならん』という江戸時代のようなこの組織に、
真っ向から異議を申し立て、
『ルールには抵触していないはず。我々はこれを貫き通す』
なんていえる学校、監督、選手・・・
誰一人いやしませんよ。
高校野球の世界では。

だからこそ千葉選手は、
準決勝では一切カット打法を『封印』して、
モヤモヤを残したまま打席に向かわざるを得なかったのだと思っています。


奥島高野連会長も、
閉会式での今大会の講評の中では『ウケ狙い』みたいなことばかりを言うのではなく、
こういうことにも触れるべきだと、
痛切に思いましたがね。


『ダメなのか?いいのか?』

曖昧さを排除して、ルールとしてはっきりさせ、
『大会期間中はそれを変えることがあってはならない』と、ワタシは考えています。



そしてもう一つ。

U-18 野球ワールドカップの話です。

『日本代表』として選ばれた20人。
JAPANのユニフォームを着て、
世界の若者たちとの戦いに挑みます。

昨年も同じく、
この大会に臨んだ日本代表。

藤浪、大谷という【世代ビッグ2】を擁して期待されたものの、
アメリカ戦での2度にわたるラフプレーなどで力を完全に発揮することが出来ず敗退。
優勝することは出来ませんでした。


去年を見て思ったことは、
『高野連および日本学生野球協会は、この大会をどう位置付けているのか』
ということ。

『国際大会だから、完全に勝ちに行く』
というのであれば、
甲子園の激闘で疲れ切った選手たちを大量に選出し、
甲子園から地元に帰るのもそこそこに大阪にとんぼ返りさせて、
そこから7,8日間連戦を戦わせるというのは、
どう考えてもおかしい。

夏の甲子園に出た選手たちは、
それこそ甲子園にすべてをかけているはずだから、
その後の『国際大会』でよいパフォーマンスができる余力は全く残っていないはず。
というのがワタシの考え方。

そして、
『勝ちに行くのであれば、チーム構成をもっと考えるべき』
というのもまた思ったことでした。


去年のチームは、
それまでの【ご褒美旅行】的な風情のあった甲子園後の海外遠征に則った選手選出の域を出なかったですね。
大谷クン、大塚クン(九州学院)を除いて。

この大会の最後の方では、
明らかに各選手に疲れの色が濃かったですもんね。
それでも藤浪クンの連日の連投。
物議をかもしました。


さて今年のチーム。
代表選手は、以下の通り。

【投手】
松井祐樹 (桐光学園)
飯田晴海 (常総学院)
高橋光成 (前橋育英)
安楽智大 (済美)
山岡泰輔 (瀬戸内)
田口麗斗 (広島新庄)
高橋由弥 (岩国商)
【捕手】
内田靖人 (常総学院)
若月健矢 (花咲徳栄)
森友哉  (大阪桐蔭)
【内野手】
園部聡  (聖光学院)
逸崎友誠 (明徳義塾)
奥村展征 (日大山形)
熊谷敬宥 (仙台育英)
竹村春樹 (浦和学院)
渡邉諒  (東海大甲府)
【外野手】
森龍馬  (日大三)
吉田雄人 (北照)
上林誠知 (仙台育英)
岩重章仁 (延岡学園)


選出された選手たちは、
頑張ってほしいと思います。

厳しいトーナメントが終わった後すぐに始まる国際大会。
『なんだかなあ』
と思わないではありませんが、
JAPANのユニフォームを着て戦う以上、
『お遊び大会』
ではありませんよ。

去年の選手たちと同様、
『目を吊り上げて』
試合に臨んでほしいと思っています。


選考を目にして、
『やっぱり、選考は話題性にも触れているなあ』
ということを感じずにはいられません。

桐光・松井投手の選出以外に、
高橋光(前橋育英)安楽(済美)の選出には、
首をかしげざるを得ませんね。

特に高橋投手については、
心から『ムリをして故障しないでほしい』
と思ってしまいます。

安楽投手についても同様。
甲子園での投球を見ていて、
『やはり選抜での無理がたたっているのかなあ…』
と思っていましたので。

マスコミ対応は、
松井クンと森クン(大阪桐蔭)にお任せで、
ゆっくりのんびりと『先輩たちの話を聞く遠征』にしたらいいんじゃないですかね。

それから、
この選考が『勝ちに行く布陣』であるならば、
なぜ花巻東・千葉選手を選考しなかったのでしょうか。

彼こそ日本の【スモールベースボール】の体現者。

相手にとって嫌な選手であることは、
間違いないでしょう!

他の強豪国相手の試合で、
相手投手に1打席で10球以上投げさせて出塁なんて、
こんな痛快なことがあるでしょうか!

この稀有な才能を持った『出塁率8割打者』を代表に選ばないなんて、
どうかしてるよ、まったく。

それから前橋育英の荒井三塁手はどうでしょうか。
最後の守りに彼を入れて、
奥村や渡辺と組む『ドリーム内野陣』観たかったなあ。

いずれにしても、
楽しみであることは間違いありません。

1か月以上見ていない松井クンのピッチングも見られるし。。。


最後に国体の選考です。
今年は東京(多摩)国体。

ワタシの地元ですから楽しみにしていましたが、
この国体の選考ってやつも、
何だか不透明ですね。

まあ、
微妙な時期に、既に引退している3年生主体の旧チームで戦うだけに、
新チームの戦いに重きを置くチームの中には『国体は出場したくない』と思っているチームもいるとは思いますが。

【出場校一覧】
前橋育英(群馬)
延岡学園(宮崎)
日大山形(山形)
花巻東(岩手)
常総学院(茨城)
富山第一(富山)
明徳義塾(高知)
鳴門(徳島)
修徳(東東京・開催地)
弘前学院聖愛(青森)
大阪桐蔭(大阪)
常葉菊川(静岡)


この国体って、
12チームが出場するということだから、
例年ベスト8校+開催地の9校はノー文句で選ばれます。

しかし残り3校の選考は、
実に不透明。
この選考基準を知っている方に、
教えてほしいところですね。

『なんでこの学校が選ばれて、この学校は選ばれないの?』
というのが必ず毎年1校や2校あります。

今年もありましたね。

基準が分からないだけに、
モヤモヤが取れません。

まあ、
『招待大会』であるし、
他の競技と違い公開競技だけに『ご褒美大会』の色合いも濃いので、
そんなに判断基準を明確にすることないかもしれませんがね。

開催地とは遠いチームがたくさん来るといいなあ・・・・・
なんて個人的には思っていますがね。


ということで、
長々と書いてしまいました。

まだまだ、
ワタシの中では今年の甲子園、
終わりを迎えてないってことですかね。


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2 コメント

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ルールは明快単純に! (まろくん)
2013-08-28 18:55:01
千葉君の件は全く同感です。あれ以降、何か千葉君叩き・花巻東叩きのような風潮が見られ、嫌な感じでした。
千葉君はこれで終わるのではなく、ぜひとも上のステージで活躍する姿をを見せて欲しいと思います。
返信する
高校野球だけのルールというのはいいが (まめちち)
2013-08-29 07:38:59
まろくん様、いつもありがとうございます。
今回カット打法がバントにみなされることもあるというのは、高校野球だけの『ローカルルール』みたいなものだそうですね。あの打法がバントとみなされたら、それは酷ですね。花巻東はその前に『2塁ランナーのサイン盗み』の疑惑でも注意されていて、なんだかヒールのような扱いを受けていたのが、残念でなりません。
彼らの野球に対する取り組みやグラウンドでのプレー、一度でも目にしたことがある人ならば、その『真摯な』取組が分かると思うのですけどね。
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