【もっとも印象に残った高校球児】
6.山形
阿部 拓也 投手 日大山形 2006年 夏 2007年 夏
甲子園での戦績
07年夏 1回戦 〇 6-2 開星(島根)
2回戦 〇 6-3 仙台育英(宮城)
3回戦 〇 11-10 今治西(愛媛)
準々決勝 ● 2-5 早稲田実(西東京)
08年夏 1回戦 ● 4-12 常葉菊川(静岡)
近年の新潟県の躍進を受けて、
全国49地区の甲子園戦績ランキングで全国最下位に甘んじている山形県。
近年もなかなか勝ち進むことはできないのですが、
そんな中で初の『甲子園3勝』『8強進出』を果たしたのが名門の日大山形でした。
この年までの日大山形。
昭和の時代から新世紀が始まる寸前まで、
東海大山形とともに山形県の高校野球界を牽引し、
毎年甲子園にコマを進めていましたが、
00年代に入ってこの風は一変します。
新興勢力として力をつけていた酒田南が、
山形県の高校野球界に殴り込み。
ほとんどが大阪・関東を中心とした球児で固められた野球は、
それまでの山形の野球からは一変。
名門・日大山形と東海大山形は、
この酒田南に歯が立たなくなります。
97年に初出場を飾った酒田南は、
99年からなんと7年間に6回の選手権出場を果たし、
何度挑んでも跳ね返された日大山形は、
『古豪』と呼ばれるまでになってしまいました。
その頃就任の若い荒木監督、
県内の選手にこだわりを持ち、
戦いを挑みついにこの酒田南の堅塁を破ったのが06年のチーム。
8年ぶりの甲子園という、
かつての日大山形からすれば本当に久しぶりの出場でした。
しかし県内のライバルにたたかれ続けた日大山形は、
これまでのともすれば『出るだけ』のチームからは一変、
知らないうちにたくましさを身に着けていました。
強力打線が売りのチームでしたが、
その中でしっかりとマウンドを守り続け、
ひょうひょうとした横手投げで試合を作る役割を担ったのが、
2年生エースの阿部投手でした。
甲子園の初戦はナイターでの海星戦。
実力互角と言われたこの試合、
開星のキレのある打線を抑えきったのは、
阿部投手の打たせて取る投球でした。
2回戦では、
隣県の仙台育英が相手。
ほとんどの高校野球ファンは、
仙台育英の圧勝を予言しました。
しかし、
この試合でも冴えわたったのは日大山形の速攻と阿部投手の冷静なマウンドさばきでした。
前半に大量リードをもらった阿部は、
仙台育英の『いつか打てるだろう』という気持ちを逆手に取り、
ひょうひょうと最後まで崩れることなくマウンドを守り続け、
この難敵を甲子園の大舞台で倒したのでした。
相手のマウンドは2年生にして剛腕の異名をとる佐藤由規。
そのライバル心が、
崩れそうになりながら崩れない、
粘りの投球につながったのでしょうか。
3回戦は優勝候補とも言われた今治西が相手。
この試合でも先手を取った日大山形でしたが、
大会屈指の迫力を誇る今治西の強打に中盤以降押され、
阿部も苦しいピッチングを続けました。
延長13回、
表に2点を勝ち越された日大山形は、
その裏『これが東北の粘りだ!』
という猛攻を見せ3点を奪い大逆転のサヨナラ勝ち。
山形高校野球史に燦然と輝く激闘を制したのでした。
大会は早稲田実の”ハンカチ王子”こと斎藤祐樹と、
駒大苫小牧の3連覇に話題が集中していましたが、
ワタシはひそかにこの日大山形の快進撃に酔いしれていました。
準々決勝の早実戦では、
阿部は前戦の激闘の疲れから先発を回避しましたが、
2番手・青木の好投で終盤までリードを奪う展開となりました。
しかし満を持して登場の阿部に疲れの色は隠せず、
逆転で敗れ去り、
4強進出の夢は断たれました。
翌年は、
エース阿部や平など主力を残した新チームで連続出場を果たしますが、
1回戦で選抜優勝の常葉菊川と激突して撃沈。
しかし終盤に見せた意地の攻撃は、
日大山形の誇りを良く表していました。
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