~日刊スポーツ~
夏の甲子園大会で2度全国制覇し、80年代から高校野球を代表する監督として選手を指導してきた日大三・小倉全由監督(65)が、3月末で監督を退任する。
日大三の名物監督であった名将・小倉監督が、
3月末で退任することが発表されました。
東京では、
昨年度には帝京の前田監督が勇退し、
また今年小倉監督が勇退。
東海大菅生の若林監督も解任されましたし、
東京の高校野球界も激変しますね。
小倉監督。。。。。
ワタシの大好きな監督の一人。
池田・蔦監督亡き後は、
一番好きな監督だったかな。。。。
新世紀を迎える少し前、
小倉監督は母校でもある日大三の監督に迎えられました。
しかし日大三の監督に迎えられる前の、
まさに「青年監督」だった関東一時代の小倉監督も、
実にセンセーショナルでしたね。
81年から関東一の監督に就任しますが、
まだこの時関東一は高校野球ファンにすら知られた存在ではありませんでした。
その時代の東東京。
大ちゃんフィーバーを巻き起こした荒木大輔擁する早実がトップを走り、
その早実を鋭く追っていたのが前田監督率いる帝京。
荒木卒業後の83年ぐらいから「帝京の時代」が始まりましたが、
関東一はその頃から、
「打倒帝京」を旗印に、
小倉監督の「闘魂野球」で肉薄していきます。
そして関東一にとっても、
そして小倉監督にとっても初めての夏となったのは85年夏。
この年、
春の選抜で帝京は2度目の準優勝を飾り、
絶対的な強さをもって夏も東東京大会も決勝まで進出してきました。
そこに挑戦していったのが関東一。
誰もが帝京の優勝を信じて疑わなかった試合で、
関東一のまさに「江戸っ子お祭り野球」が炸裂。
陣頭で指揮を執っていたのは、
20代でまさにぴちぴちとした”闘将”小倉監督でした。
小倉監督の「いけっ!いけっ!」の指示の下、
闘志満々、
江戸っ子の粋を絵に描いたような関東一のイケイケ野球が炸裂したこの試合は、
ワタシの高校野球観戦歴の中でも、
想い出に残るひと試合です。
そしてそのお祭り野球は甲子園でも真価を発揮。
イケイケどんどんで、
甲子園でも8強までその勢いは止まることがありませんでした。
そしてその2年後の87年春の選抜。
アンダースローの平子と三輪のバッテリーは強力で、
今度は守りを固めて初戦の明徳戦に勝利すると波に乗り、
準決勝では連覇を狙った池田を撃破。
決勝にまで進出し、
小倉監督は20代ながらすでに名将の匂いを漂わす監督となっていました。
しかしその後関東一の進撃はパタッと止まり、
小倉監督の近況も知れず、
日大三監督に就任するまで、
小倉監督が甲子園で白星を挙げることはありませんでした。
日大三の監督に、
小倉監督が就任したと聞いたのが97年。
その時の率直な感想としては、
「日大三では、関東一の時のようなイケイケどんどんのお祭り野球は、できないだろうなあ。」
というもの。
何せワタシの中での日大三は、
「好投手を擁し守りを固めて、ロースコアで逃げ切る野球」
というのが染みついていて、
その頃までワタシ、日大三の野球のファンであありませんでした。
小倉監督は99年に春夏連続出場を果たし、
日大三監督としての第一歩を踏み出しました。
しかし春夏ともに、
敗れた試合は完封負け。
まだまだ小倉野球が、
世間を席巻するにまでは至らず。
しかし2度目の春夏連続出場となった2001年のチームは、
ワタシを、そして世間を驚かせました。
エース近藤を擁してはいましたが、
チームカラーは「イケイケどんどんの、強打で粉砕する野球」、
そう、後の「三高野球」が存分に発揮されるチームでした。
選抜では初戦をど派手な打撃戦で飾った後、
2回戦ではチームの中心であるセカンド・都築がイップスのような状況に陥りエラーを連発、
東福岡に敗れ去りました。
しかし小倉監督、
そんなことにはお構いなし。
チームの特徴である打力を生かそうと夏に向かって鍛え上げ、
夏は恐ろしいばかりの強打を引っ提げて甲子園へ。
そして都築、内田、原島らを中心とした「猛爆打線」は甲子園で真価を発揮。
記録づくめの猛打で、
あっという間に全国制覇を成し遂げました。
関東一で選抜準優勝から、
14年の月日が経っていました。
小倉監督の佇まいは変わらぬものの、
円熟味を増して、
にこやかに選手を見守る姿が、
そこにはありました。
栄光に包まれた20代から、
30代の雌伏の時を経て、
見事に40代で花を咲かせた男の色気が、
そこにはありました。
野球の本質は変わらず「イケイケどんどんのお祭り野球」。
ワタシはその頃から日大三の野球は「江戸っ子野球」と呼んでいます。
何しろ見ていてきっぷのいい、
スカッとする野球。
これが三高野球ですね。
ワタシもこのころから、
日大三、いやっ「小倉日大三」の大ファンになりました。
日大三野球のもう一つの特徴は、
江戸っ子野球らしく「宵越しのカネは持たねえ」ってわけでもないでしょうが、
負ける時はスパッとやられる。。。。
しかしその姿もまた「三高らしい」感じがして、
ワタシが好きな要素の一つでもあります。
06年には春の関東大会を制して、
自信満々で臨んだ西東京大会決勝。
相手はあの「ハンカチ王子」で全国制覇をする早実。
「血で血を洗う決戦」ではないですが、
両校の闘志がぶつかり合う、
素晴らしい戦いでした。
歴史にイフはないものの。。。。。
早実はこの試合を延長で制して甲子園制覇まで駆け上りますが、
もし日大三がこの試合を制していたら、
かなりいいところまで駆け上がったことは間違いないでしょう。
そうワタシは今でも確信しているほど、
このチームも強かった。。
その試合の後の小倉監督のインタビューに、
彼の率直で飾らない人柄が出ていて、
本当によかったのですが。。。
小倉監督はあの試合の中でも、
「早実の応援はホントイヤだなあ、特に【紺碧の空】がかかるともう、なんだかやられそうな雰囲気になっちゃって。。。。」
なんて思っていたそうです。
今でも「あの試合は本当に悔しかった」そうです。
そしてあの試合の後、
「もう甲子園には行けないんじゃないか」
とまで思いつめたそうです。
しかし・・・・
闘将・小倉監督、
そのまま黙っているわけがありません。
09年に甲子園に戻ってくると、
10年選抜では山崎福(オリックス)を投打の軸として快進撃。
まさかまさかの決勝進出を果たしました。
何しろこのチーム、
前の年の秋の東京大会では準決勝敗退。
「選抜はない」
と思われていたのを覆しての出場でしたから、
本当にこの快進撃には驚かされました。
そして。。。。
≪日大三最強チーム≫
の2011年が始まります。
前年の選抜準優勝チームから、
チームの軸である選手たちがの残り結成された2011年のチームは、
そりゃあ強かった!!
畔上・横尾・高山のクリーンアップにエース吉永。
当時「高校野球史上最強」とまで言われた打線は毎試合火を噴き続け、
選抜ではまさかの準決勝敗退に終わりましたが、
その悔しさを持って臨んだ夏の大会では、
「ちょっと目を離すと大量点」
の試合ばかりを続けて、
見事、小倉監督として2度目の真紅の大優勝旗を掲げました。
その優勝インタビューでキャプテンの畔上が、
「この小倉監督の野球が日本一なんだという事を、甲子園で見せるために戦った!」
という事を語り、
ワタシはこの選手と監督の絆の深さに思いを馳せました。
しかしこの優勝の後、
ワタシは一つ、
不満に思ったことがあるんですよねえ。。。。
それは、
見事に全国制覇を飾ったのに、
地元・町田市では本当にその扱いが小さかったこと。
駅前にはちょろ~っと小さな幕が張ってあっただけ。
市長をはじめ、
こぞって「サッカーサッカー」と連呼しているような感じなんで、
そうなったのかもしれませんが、
ワタシは不満たらたらでした。
「おいおい、夏の甲子園の、全国制覇だぜ!!!!」
って、何回思ったことでしょうか。
おっと話が横にそれましたが。。。。。
それから後も、
小倉監督の高校野球に賭ける”熱”は変わらず、
2018年には久しぶりに快進撃を見せて甲子園4強。
迎えた準決勝、
世間は金足農旋風で揺れていましたが、
ひそかにワタシは「三高が決勝まで上っていくんでは。。。。」
なんて思ったりもしていました。
その前年の2017年には、
春の東京大会で、
清宮率いる早実と桜井擁する日大三とで、
凄まじいばかりの打撃戦を展開してくれました。
この試合、
春の東京大会では激レアな夕方試合開始のナイター試合。
確か東都大学野球の優勝決定戦か入れ替え戦が、
昼に行われていたんですよね。
その試合に追い出される形でのナイター試合でした。
あまりにもすさまじい試合で、
確か10時をも超える試合になっちゃって、
応援の高校生たちは全部家に帰されたんじゃなかったかなあ。。。。。
その姿を見てワタシ、
「なんてかわいそうなことするんだ。。。。ここまで見させておいて、結末も見ずに帰らなきゃいけないのかよ、彼ら」
なんて思っていました。
今当時の記録見たら、
延長12回、早実18×ー17日大三
でした。
ひえーすさまじいなあ。。。
しかし落ちをつけるとするなら、
この夏の大会、
『2強』と言われたこの早実も日大三も、
いずれも東海大菅生に敗れて甲子園には届かなかったんですよね。
まさにこれが「筋書きのないドラマ」ってやつで。。。
そんなこんなで、
語り出すともう、
止めることができなくなってしまいますからこの辺で。
思えばホント、
高校野球ファンとしてだけでなく地元民としても、
小倉監督には毎年楽しませてもらいました。
小倉監督のチャキッとした、
江戸っ子ならではの男気、
大好きでした。
そしてチーム作りにも、
ホントよく表れていましたね。
完璧じゃないところが憎めなくってかわいい日大三。
そう言ったらいいのかな。
でもいっぺんハマると、
ものすごい力を発揮するチームです。
ホント、
見ていて楽しいチームでした。
小倉監督の後任は三木コーチ。
【高校野球界のノックの名手】
として知られていた人です。
もう26年も小倉監督と一緒にチーム作りをしてきましたから、
酸いも甘いも嚙み分ける、
そんな人ですね。
今後も期待しています。
小倉監督。
これからは解説などに出てきて、
そのきっぷのいい喋りを、
見せてくださるように期待しています。
長い間ご苦労様でした。
それにしても。。。。。
ここ数年だけでも前田監督、門馬監督、若林監督に小倉監督。。。
どんだけ周辺の「大監督」が去っていくんだよ。。。。。。
寂しさを禁じ得ない、
ワタシなのでした。。。
最新の画像[もっと見る]
- さあ リーグワン開幕! 5日前
- 2024.10.26 オールブラックス戦観戦記 2ヶ月前
- 大の里 圧巻の2度目のV! 令和の怪物が相撲界を変える! 3ヶ月前
- 大の里 圧巻の2度目のV! 令和の怪物が相撲界を変える! 3ヶ月前
- 大の里 圧巻の2度目のV! 令和の怪物が相撲界を変える! 3ヶ月前
- 大の里 圧巻の2度目のV! 令和の怪物が相撲界を変える! 3ヶ月前
- ラグビーパシフィックネーションズカップ 日本代表 決勝に進出 3ヶ月前
- ラグビーパシフィックネーションズカップ 日本代表 決勝に進出 3ヶ月前
- おめでとう玉鷲。 1631回、連続出場の記録を更新! 4ヶ月前
- 第106回 全国高校野球選手権地方大会 クライマックス 5ヶ月前
「高校野球」カテゴリの最新記事
- 今年最後の野球 明治神宮大会は、大学は青学大の春秋2冠。高校は横浜が、あの松...
- 神宮の森がすごいことに。。 そんな中、明治神宮大会観戦記
- さあ各地区の優勝校決まった! 明治神宮大会で腕試し。
- 高校野球秋の陣 今日6地区で準決勝 ほぼ選抜の出場校が見えてくる
- ふと、ふと感じちゃったことなんだけど・・・・・・
- さあこい大尊時代! 幕内では大の里が、十両では尊富士が全勝でトップをひた走る!
- ヤクルト青木 ついに引退。
- 侍ジャパンU18 壮行試合 まあ、やっぱり実力の差は顕著だわなあ。。。。
- 100年の甲子園 第106回全国高校野球選手権を振り返る。
- 夏の甲子園2024 京都国際初優勝。 関東一、無念。あと一歩。