ちょうど甲子園が終わってから出張が入って、
長らく記事をアップできませんでした。
『あれも書きたい、これも書きたい・・・・』
という思いを抱えていましたが、
ようやくPCの前に座ることが出来ましたので、
ちょっと遅くなりましたが今大会の振り返りを・・・・。
第94回全国高校野球選手権大会を振り返って
今年も熱い戦いが繰り広げられた甲子園。
大阪桐蔭が圧倒的な強さで春夏連覇を成し遂げましたが、
大会を見ながら『なんとなく』思っていたことを、書き連ねます。
1.どっしりとした大横綱の風格、大阪桐蔭。
大阪桐蔭は、「どこの高校とやっても、負けるはずはない」という自信に満ちた戦いぶりでしたね。
たぶん藤浪投手がいなくてもVを達成できる戦力だったと思いますが、そこにあの剛腕・藤浪投手が加わって、まさに盤石な戦力でした。
藤浪投手は、本格的には準々決勝からエンジンをかけたという感じ。準々決勝まで、大会の話題を独占した桐光学園・松井投手に対し、『俺こそが大会No1投手だよ』ということを見せつける、すごい3試合でした。あのピッチングをされたら、ちょっと高校生で打つのは難しいと思います。そして、その藤浪を支え続けた打線。春の段階ではまだまだ粗さが目立ったり、4番の田端が抜けた穴を多少は感じさせる打線だったのですが、夏に向けて本当にしっかりと戦力アップしてきました。彼ら大阪桐蔭打線の特徴は、なんといってもフルスイングから放たれる長打でしょう。初戦の木更津総合戦や天理戦など、相手の出鼻をくじく本塁打があったと思えば、やや膠着した展開となった2回戦の濟々黌戦、決勝戦などでの試合を決める本塁打など、長打の威力をまざまざと見せつけてくれました。【大阪桐蔭のフルスイング】近年特に、そのことが言われだしていますが、プロ野球に行っても活躍する打者が圧倒的に多いことを見ても、この指導法は道理にかなって、しっかりしたものなのだなあ、と感じます。
大阪桐蔭は、今後10年ぐらい、まさに【旬のチーム】となって、甲子園を席巻していくと思います。ちょうどPLが桑田・清原を擁したころの充実ぶりに、よく似ていると思います。今後も実績に伴い好選手の入学は引きも切らないでしょうから、『いい循環』は続いていくと思われます。注目は、藤浪を超えるような投手が出現してくるのか、ということですね。打線はず~っとこの戦力を維持できると思いますので、好投手が出現した年のチームは、即今年のように『全国制覇』が狙える布陣になるはず。西谷監督の采配も冴えていますので、『桐蔭神話』たくさん築いていってくれることでしょう。
2.接戦少なく、なんとなく盛り上がりに欠けた。チームの実力差は顕著?!
今年の大会、『手に汗握る』接戦が少なかったと思いませんか?!
接戦としてパッと頭に思い浮かぶのが、龍谷大平安vs旭川工、宇部鴻城vs富山工ぐらい。なんとなく例年よりも淡泊な印象を受けました。大阪桐蔭は確かにスーパーに強かったと思いますが、あんなに簡単に優勝してしまえるというのが、なんとなく腑に落ちません。KKのPL学園、松坂の横浜、駒大苫小牧など、前評判通り勝ち進み優勝を飾りましたが、その道程は茨の道でした。ライバルたちが行く手に立ちふさがり、ほうほうの体で優勝まで”たどり着いた”という感じでしたが、今年はなんだかいとも簡単に偉業が達成されましたね。過去3年の優勝チームを見ても、興南、日大三、そして大阪桐蔭と、大型で実力のあるチームは、そのまま実力を出して優勝を奪い取っていく・・・・という大会が続いています。春の段階ですでに【全国一(または屈指)】の戦力を整えており、それを夏までに底上げすることで、他が追随できない力を備えたチームになっていることが多いと感じています。やはり特待生問題とか、野球留学の問題とか、いろいろな問題が複合的に絡み合って、こうした状況になっているのでしょうね。
3.全章より続きます。変質する高校野球。『強いところはより強く、そうでないところはそれなりに・・・・』
野球も他の競技と同じように、昔は『原っぱで友達とやっていた小学校時代・・・・・・学校で仲間とやっていて、初めて大会に出た中学校時代・・・・・そして地域の憧れの高校に進んで甲子園を目指した高校時代・・・・・・』という昔のルートと違って、『小学校時代からばっちりチームに入って野球を学び・・・・・中学ではシニア・ボーイズなどの硬式野球で進路を見定め・・・・・・ターゲットとした野球強豪校に自らの意志(あるいは周囲等のススメ)で進んでいく。
』というルートが当たり前になってきています。特に甲子園球児にとっては。もちろん、有力な選手は小学校時代から、遅くとも中学時代から全国という舞台を経験しています。 サッカー、ゴルフ、テニスをはじめ、体操、卓球、陸上、水泳・・・・・先のロンドンオリンピックで実績を残したほとんどのアスリートたちが進んできたような道、これが野球にも当てはまる時代と言えるでしょう。
上記に挙げた競技では、ほとんど小中学生のエリート選手は、大人のアスリートたちと互角以上の勝負を、その年代から繰り広げることが出来ます。
さて、振り返ってみて、野球はどうでしょうか。
優勝投手である大阪桐蔭の藤浪投手。たぶん彼が決勝で見せたピッチングを今すぐプロ野球で披露したら、良ければ完封、悪くても2,3点以内に相手を抑えることが出来るとワタシは思います。それほどの凄いピッチングでした。(もちろん、それとプロで1シーズンローテーションを守って活躍するのとは次元の違う話ですが)
要するに、それほどの実力を備えた選手が続々と登場してきているということです。ワタシは今大会の藤浪投手を見て、これまでかたくなに『高校時代で比較すると、江川が最高の投手じゃないだろうか』と思っていたのを宗旨替えし、『藤浪が多分史上最高の投手』と思うようになりました。それだけの選手が続々登場、投手に限って言えば、今や甲子園級のエースは軟投ということをピッチングの軸においている投手を除き、140キロ投げるのは当たり前、剛腕と言われるには限りなく150キロに近い球を投げることが必要・・・・・・と言われる時代になってきています。
そして打者は、速球とわかっていればその150キロをも打ち返す力を、下位バッターまでそろえています。
恐ろしいばかりのレベルになってきたもんだ、と感じています。
しかし、これは予選参加の全チームに言えることではなく、”限りある”野球に力を入れる学校に限られる話だと思います。能力の高い選手を集め、いい指揮官を据え、練習環境を整える。練習環境の整え方も、半端ではありません。いまや専用グラウンドは言うに及ばず、室内練習場にトレーニングルーム、160キロまで可能なバッティングマシーンが複数。体調管理にはトレーナーと栄養士までつく学校も珍しくありません。もちろん遠征に使うバスも自前です。
『ウチはこれだけ揃っているよ』というオファーをされれば、15歳の野球少年がイチコロになるの、よくわかります。真剣に野球をやりたい選手ほど、環境に惹かれますもんね。当たり前の話です。その学校側の努力と、所属する少年たちの努力が、強豪チームを形作っているのですね。
そして、強豪チームは、いまや日本全国、どこにでも出かけていって練習試合を毎週のように行っています。実戦経験も豊富なんです。これはワタシがひいきチームの練習試合から見るようになって分かったことですが、本当に毎週、甲子園を見るような強豪同士の対決というのが、全国各地で行われているのですね。その実戦経験の積み重ね、半端じゃない経験値となってチームに蓄積されていくのでしょう。
ワタシが感じるのは、『強豪という名のカテゴリー』に入っているチームは、その全国レベルでの”見えないサークル”の中で、どんどん、どんどん、力を伸ばしていくってことですね。だから、そうではない一般の高校のチームとの差は、埋めがたいほどに広がっていくのでしょう。
これからの高校野球。
サッカーやラグビー、バレー、バスケットなど高体連所属の各競技がそうであるように、
『強いところの独壇場』
といった体をなしていくのではないか、そんな未来予測を立てています。
かつてサッカーの国見高校が、
20年ぐらい連続で県の代表の座を射止めて、全国でも4強である国立競技場の常連になったことがありました。
ラグビーの世界での啓光学園(現常翔啓光)や東福岡、桐蔭学園など。
全国大会の上位のメンバーが、ほぼ固定している状態です。
野球以外のほとんどの競技は、
そういった傾向にあることは事実です。
しかし野球は今まで、
朝日新聞と高野連が、
過度に『郷土の誇り』『汗と涙』を強調し、
得てして『弱者が強者を倒す』ことを是としてきた長い歴史があります。
その流れに沿って、甲子園に出場する高校や全国大会での成績などは、
うまい具合にシェアされてきました。
そこにストーリー性もふんだんに盛り込まれていました。
この流れが、ドラスティックに変化していく端緒が、
昨今の大会には見え隠れしています。
ワタシもその傾向を肌で感じ取っているひとりです。
他の競技と同じように、全国大会は【強者の大会】へと変質しようとしています。
しかし時代の流れが『強者の大会』に代わっていくことに、この頭の固さでは双璧の主催者達が、
どのように対峙していくのでしょうか。
『強者の大会』
ワタシはそれもまたいいと思っています。
しかしその中で、スパイスの効いた素晴らしいチームを見つけること、
これが最大の楽しみなんです。
それこそが『高校野球の楽しみ』であったりしますから、ね。
そういった楽しみという観点で言えば、今年最大の『素晴らしい』チームは・・・・・・・・。
4.今大会のMVP
【個人の部】
個人的に今大会のMVPを選ぶなら、大会前半戦を大いに盛り上げた”奪三振王”の桐光学園・松井投手と、大会後半戦に驚くような凄味のあるピッチングを見せた大阪桐蔭・藤浪投手に決まりでしょう。
松井が見せてくれた、三振を取るワクワク感というのは、忘れかけていた野球のだいご味を見せてくれました。そして藤浪投手もまた、すごいピッチングでした。ワタシがこの両投手を好きなところ、まさに【真っ向勝負】をしてくれるところ。松井は敗れた光星学院戦で、田村・北條に見せた真っ向勝負は、三振を取ったシーンよりもはっきり、くっきりとワタシの心に残っています。藤浪投手は、決勝での真っ向勝負以上に、天理戦の9回、吉村選手に相対した時の速球勝負が思い起こされます。両投手の【男気あふれる】姿、『やっぱり高校野球はいいなあ』と思わせてくれたものでした。
【チームの部】
チームの部では、なんといっても熊本代表の濟々黌を挙げます。素晴らしいチームでした。初戦の鳴門戦、大竹投手の『相手心理をばっちり読んだ』ピッチングに精度の高い守備力。プレーの理解、バントなど小技、それでいて打つところはきっちり打つ実力。そして、”ルールの理解の徹底”(ドカベン・ルールで1点をもぎ取りましたね)。すべてにおいて、ほ~~~っと感心するようなチームでした。このチーム、決して私が先に触れた『強者のカテゴリー』に属するチームではないと思いますが、本当に意識が高く、素晴らしいチームを作り上げましたね。文句なく今年の大会では一番心に残ったチームです。3回戦で大阪桐蔭に当たりましたが、この試合も”風”が濟々黌に吹いていれば、面白い勝負になったのではないかと、いまさらながら思っています。9回反撃ののろしを上げて1死満塁。そこで打者が強烈なライナーをセンターへ。これが正面をついて、濟々黌の夏は終わりを告げてしまいましたが、この打球があと2,3mどっちかにずれていたら、満塁一掃でなお2塁か3塁に同点ランナーを置く……という展開になっていたのになあ。。。これがワタシの『妄想』です。いずれにせよ、あの大声援やバンカラ応援団と相まって、大阪桐蔭が一番やりにくかった相手であったことは、疑いがないでしょう。
長くなってしまいました。
今年も【甲子園の夏】は終わりを告げて、
球児は秋に向かってとっくに始動しています。
またまた、
新しいチームの出現が待たれる『秋の陣』です。
さて、フレッシュなチームを探しに、
旅にでも出るとしますか。
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