6年目に突入したこのブログで、
日本のバスケットボール界について書くのなんて、
おそらく初めてじゃないかと思っています。
最近新聞でもちらほらと報道されてきたので、
ご存じの方も多いかもしれません。
国際バスケットボール連盟(FIBA)から、
日本のバスケットボール連盟(JBA)が、
国際大会への締め出しを食らうかもしれない、
いや、たぶんそうなるだろうという問題です。
FIBAから長い間にわたり改善を求められていたJBAへの回答期限が10月末に迫っている中、
どうやら改善は不可能な状況となり、
迷走したまま『国際大会からの締め出し』という決着に落ち着きそうになってきたというのが昨日までの状況。
要するに、
『日本代表』は世界選手権の予選やらアジア選手権やらに、
代表を送り込めなくなるというものです。
『そりゃあ、大変なことだ!』
と思うでしょうが、
まあほとんどの人に聞いてみたところで、
『ところで、日本のバスケ代表って、強いの?』
という逆質問を受けるぐらいで、
いま日本のバスケットボールがどうなっているのかなんて、
世間の興味の全く外にあることは想像に難くありません。
そのあたり、
日本代表のメンバーが広く世間に知れ渡り、
実力のほどや他国との対戦成績、そして世界のトーナメントの日程まで、
くまなくファンの頭の中に在るサッカーとは、
大きく違うところです。
サッカーファンがよく耳にするFIFA(国際サッカー連盟)に当たるのがバスケ界ではFIBA。
そこから制裁を受けて出場資格を喪失するなんて、
サッカーではまさに『ありえないこと』なんですが、
そのありえないことが現実に起こっていることが日本バスケ界。
いったいどうなっているんでしょうね。
ワタシはスポーツ雑誌やコラムなどでこの問題が早くから指摘されていたことは知っていましたが、
その問題の解決がそんなに難しいことだとは、
全く思っていませんでした。
『日本代表の戦いの場をなくしてまで解決できない問題って、いったい何なの?』
というのが正直な思いです。
問題の本質はただ一つ。
現在日本国内に存在する2つのリーグ、
NBLとbjリーグが統合できないという問題です。
FIBA曰く、
『一つの国内に2つのトップのリーグがあるということ自体が異常な状態で、早くこれを統合しなさい』
ということなのですが、
なかなか一筋縄ではいかないというのが現実。
それはこの2つのリーグの成り立ちと大きくかかわっているからです。
しかし付け加えておくと、
この”問題”は男子のリーグにかかわること。
女子はWJBLという一つのリーグにまとまっているにもかかわらず、
とんだとばっちりを受けて女子の方も『国際大会への出場まかりならん!』となってしまうことです。
実は世界の中での”立ち位置”は女子の方がずっと高く、
男子は『世界大会の舞台は、ほとんど踏んだこともなく、今後も届きそうにない』のに対して、
女子は『今後世界の舞台で飛躍できる可能性を秘めている』実力を持ったチーム。
それだけに、
『なんだかできる奴の足を、できない奴が引っ張っている』状況となっており、
やるせない状況なのです。
その問題は、
日本の企業スポーツとプロという、
どのスポーツにも存在した『日本ならではのスポーツ界の問題』というのが本質にあります。
90年代のバブル崩壊から、
日本伝統の『企業アマ』スポーツは大きな揺れを起こしました。
それまでは、
野球を除くほとんどのスポーツが、
『企業アマとそれを成り立ちとしたリーグ』の中で競技を行っていました。
サッカーの日本リーグをはじめ、
ラグビー、バレーボール、バスケット、ハンドボール、ソフトボール・・・・・・・・
ほとんどの球技は、
『アマチュアの日本リーグ』を立ち上げ、
同じように運営を行い、
その中から『日本代表』を選んで海外のチームと試合するということを、
60年代ぐらいからずっと続けてきました。
時代的にも、
高度成長期の製造業中心の日本社会の中で、
『企業チーム』というのは会社の求心力と結束を保つうえでも、
大きな役割を果たしてきました。
野球だって、
プロをのぞいた社会人野球という活況を呈した団体があり、
『都市対抗野球』は一時期プロ野球を凌ぐほどの人気を博したものです。
選手達にとっても、
身分の安定しない『プロ』よりも企業の一部門で社員として契約してもらった方が、
ずっと安心して競技に打ち込めるということで、
高い人気を得ていました。
しかし高度成長期も終わり、90年代に入って状況は激変しました。
そもそも若干『企業スポーツ』に従来からの求心力が低下していたところにバブルの崩壊。
企業はスポーツ部を維持していくことが困難となり次々廃部、
まさに社会人スポーツは『見るも無残』な状況となっていきました。
『これはプロ化しか、これからの時代生き残っていける道はない』
という機運が一気に高まり、
その先鞭をつけたJリーグの人気とも相まって、
各競技共に一気に『プロ化』を推進するに至りました。
しかし、
『笛吹けど踊らず』。
各競技団体はプロ化を志向したものの、
肝心の各スポーツ団体に属する従来からの『企業スポーツ』を長く支え続けてきた企業からの反発も強く、
完全にプロ化が成功したのは、
結局のところサッカーのみということになりました。
日本ではサッカーに次ぐ人気を誇るバレーボールもラグビーも、
いろいろなことを模索して見たものの、
結局は『完全プロ化』には至らず今日まで来てしまっています。
日本の中で『マイナー競技』の位置にあったバスケットボール界も左にあらず。
プロ化を模索して見たものの、
企業からは『アマのままでいい』という意見が主流を占めていたとみられ、
旧態依然としたリーグ運営には全く進展が見られず。
そして日本代表の実力も一向に上がってくることはなし。
当然世間の目がバスケに向くことはなく、
じり貧のまま推移していきました。
しかしそんなバスケにも、
チャンスの時期はありました。
マンガ『スラムダンク』の社会現象になるぐらいの大人気と、
それと時期を同じくしてNBAもマイケル・ジョーダンを中心にしたブルズの全盛で、
バスケットこそが若者文化の主流になる寸前になった時期が90年代の初め~中盤に訪れていました。
しかし日本のバスケットボール界は、
そこで動かず!!
(実際は動いていたのかもしれませんが、世間の目にはそうは映りませんでした。)
サッカー界を動かした川渕チェアマンをはじめとした、
『何としても日本のサッカーを変えるんだ』という情熱と行動力を持った人材が、
バスケット界にはいなかったのでしょうね。
そうこうしているうちに時は流れたものの体質は変わらず。
業を煮やした【プロ化推進派】が2005年に動いて『完全な独立採算のプロリーグ』として立ち上げたのが、
現在のbjリーグです。
そのbjリーグ。
ほぼ10年の時を経て、
それなりに成功を収めてきているのではと思っています。
当初新潟と埼玉が音頭を取って始まったこの【プロバスケットリーグ】は、
現在ではチームも21チームに増えてきました。
まだまだ1試合の観客数は1,000人台、2,000人台が多いとは言うものの、
『企業のタダチケットで動員されている』観客ではなく、
『純粋にバスケットを楽しんでいる』観客数ですから、
よく健闘しているのだと思います。
しかしこの流れ、
元々の『おいらたちが元祖』を自認するNBLは面白くない。
日本代表にbjリーグからは選手を呼ばなかったり、
今回のFIBAの勧告を受けて統一を模索しても『bjは出て行った方だから、我々だけで決める』的な態度があからさまに見えて、
そこが一番のネックになって今回の統一が暗礁に乗り上げる主要因を作っているように、
少なくともワタシには見えます。
そして先日、
JBAの会長という方が、
この期に及んで『責任を取る』なんて言い残して退任してしまったからさあ大変。
いったい、
どうなってしまうのでしょうね、日本のバスケ界。
最後はJOC当たりが出てきてまとめに入るのでしょうか?
だって、
このままの状況が続き制裁が解除されなければ、
『東京オリンピックはどうなっちゃうんだよ~』
ということになりかねませんからねえ。
バスケは他の競技に比べて選手の露出も少ないし、
近年ではテレビ中継を目にすることもほとんどなくなりました。
現在の日本のバスケットボール選手の名前を言うことができるスポーツファンって、
いったいどれくらいいるんでしょうかね?
えっ?
ワタシが知っている日本のバスケ選手?
え~っと、
田臥選手でしょ、
それから引退してしまった佐古選手でしょ・・・・・・・・・・
???????
それ以上は出てきません。
バスケ日本代表を強くするには、
まず選手をはじめとして、
世間の認知度を上げて試合を見てもらわないことにゃあ、
話にもならないと思いますけどね。
サッカーのように、
代表各選手のプレーぶりまで酒場で熱く語られるぐらいまで、
認知度を上げなきゃ・・…ね。
内輪もめばかりしてる場合じゃないと思うけどね。
そういう意味では、
FIBAという世界の統括団体にこれ以上ない『喝』を入れられた今回は、
変わるための大チャンスだと思いますがね。
どうでしょう、関係者の皆さん。
バスケって、
世界的には『マイナー競技』ではなく、
『超スーパーメジャー競技』ですよ。
その競技の興奮、
日本人に伝えなくてどうするんですか!!!