SPORTS! SPORTS! 寝てもさめても

16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

年末これだけあるボクシング世界戦  ボクシングに思うこと

2017年12月28日 | ボクシング

12・30≪FUJI BOXING2017≫  ~神奈川・横浜文化体育館~
 ▼WBO世界Sフライ級タイトルマッチ 12回戦
  王者・井上尚弥(大橋) × 同級7位・ヨアン・ボワイヨ(フランス)
 ▼WBC世界Lフライ級タイトルマッチ 12回戦
  王者・拳四朗(BMB) × 同級8位・ヒルベルト・ペドロサ(パナマ)


12・31≪THE WORLD TRIPLE TITLE MATCH≫  ~大田区総合体育館~
 ▼WBA&IBF世界Lフライ級王座統一戦 12回戦
  WBA王者・田口良一(ワタナベ) × IBF王者・ミラン・メリンド(フィリピン)  
 ▼WBO世界フライ級タイトルマッチ 12回戦
  王者・木村翔 (青木) × 同級1位・五十嵐俊幸(帝拳)
 ▼IBF世界ミニマム級タイトルマッチ 12回戦
  王者・京口紘人(ワタナベ) × 同級3位・カルロス・ブイトラゴ(ニカラグア)



ここ数年、
年末にボクシングの世界タイトルマッチが大量に行われるということが、
恒例化してきました。

それはとりもなおさず、
『日本にボクシングの世界チャンピオンがたくさんいること』
を表していると思いますが、
他方コインの裏側には、
『それだけ世界チャンピオンというものが量産されている』
ということも描いてあるかのように感じます。

『世界チャンピオンの価値』
はかつての昭和の時代などと比較すると、
本当に激変してきているといってもいいでしょう。

かつては『ボクシングの世界チャンピオン』と言えば、
本当に世間に顔も名前も知られた人たちで、
相応のリスペクトをされて、経済的にも恵まれていました。
『ジャパニーズドリーム』
を掴んだ人たち・・・・・という位置づけでした。

今の世の中と比較するのは本当に難しいのですが、
野球でMLBのスターになった選手、
あるいは相撲で横綱・大関まで上り詰めた力士。。。。
そんな感じの位置づけですかね。

誰もが世間の『あまりその競技のファンじゃない人たち』にも、
顔と名前、認識してもらえるレベルで”認知されている”人たちでしょ。

白井、ファイティング原田から始まって、
輪島功一や具志堅用高などはまさに、
『国民のアイドル』であり『僕らのヒーロー』そのものでした。


しかし時は経ち、
ボクシングというものが相対的な人気を落としていくにつれて、
”ボクシング”というものと”お茶の間”との乖離が、
目立つようになってきました。

そしてボクシングという競技自体は、
世界の流れの中で『他団体化』と『階級の細分化』が進み、
00年を超えたぐらいからはもう、
何が何やらよ~わからんようになってきてしまっています。

団体は4団体になり、階級は細分化され、
各々の階級には正規のチャンピオンの他に、
暫定チャンピオンやらスーパーチャンピオンやら、
果ては休養チャンピオンまで、
『いったい誰がホンモノのチャンピオンなんじゃ??』
と首をひねる多人数が”世界チャンピオン”を名乗っています。

そして国内を見渡しても、
80年代後半から90年代にかけての、
『挑んでも挑んでも、日本人の世界チャンピオンがなかなか生まれない』
苦難の時期を経て、
今は『なんだか本当に簡単に、世界チャンピオンが生まれちゃうんだな~』と、
半ば薄笑いで感心してしまうほどの状況になっていることは否めないでしょうね。


そうなってボクシングは、
何か『一部のマニアックなファンのもの』のような感じになって、
もう数年が経つような気が……します。

世界チャンピオンと名のつく人たちは、
本当に『数え切れないほど』生まれてきています。

Lフライ級やフライ級など、
4団体のチャンピオンをすべて日本人が占めるかも・・・・
なんて階級すら現れてきて、
『本当に覚えきれんわ』
って感じで語られることも多いですね。

そして世間になかなか認知されづらくなってきている『世界チャンピオン』は、
今や昔のように『世界タイトルマッチを単独でやる』ことはできずに、
ダブル、トリプル世界タイトルマッチ・・・・という興行が当たり前となってきているのが、
現在の日本におけるボクシング状況です。

そしてそんな世界タイトル興行では、
『世界タイトルマッチ』なのにメインイベントではなく、
そしてテレビの中継でもスルーされてしまっている・・・・・という試合も数多くなってきています。

昔を知る人間からすると、
本当に『ありえない』状況なんです。

このまま先細っていくのか。。。。。。。


しかし昔から『家貧しくして孝子顕る』の故事もあるように、
そんな状況の中でも、
『ボクシング界を救う』ような素晴らしいボクサーが、
ここ10年ぐらいたくさん現れるようになってきました。

そしてその彼らが見せるファイトは、
本当に『ホンモノの匂い』にあふれ、
彼らに触発されて多くのボクサーが、
『世界を舞台に暴れまわる』状況が作り出されてきました。

ここ10年ほどの日本ボクシング界、
実は『ボクシング黄金時代』と言ってもいいような、
輝きを放っています。


まずは長谷川穂積が10度の防衛を成功させ、
ボクシング史に燦然と輝く実績を残しました。

それに続いたのが西岡利晃。
彼は何度も世界戦での敗北を糧に、
『選手として下り坂に入るのでは』と言われた30歳を過ぎてからブレーク。
アメリカのリングでタイトル防衛をやってのけ、
最後は世界のビッグネーム、ノニト・ドネアと決死の覚悟で戦い、
華々しく散りましたが「日本男児の心意気」を見せてくれました。


その世代を引き継いだのが、
Sフェザー級の内山高志とバンタム級の山中慎介の二人のスーパーチャンピオン。

2人ともに10度以上の防衛を重ね、
『世界を震え上がらせた』KOパンチャー。

しかしながら、
2人とも『ラスベガスなど世界のリングへ出ていく』大願を抱いていたにもかかわらず、
対戦相手がうまく見つからず(逃げられた)、
内山も山中も海外リングへの進出はならず。
そしてついに、
世界タイトルを手放してしまうことになりました。

内山は昨年2度コラレスに敗れて引退を決意。
山中は今年、まさかのKO負けで王座を陥落して、再起を期しています。

2人の『ど迫力』ボクシングは、
ボクシングという格闘技の面白さを、
本当にお茶の間に伝えてくれました。

その二人が世界王者として君臨している間に、
日本はさらなる「最終兵器」ともいえるようなボクサーを生み出しました。


それが”モンスター”と言われるSフライ級の井上尚弥と、
日本の話題を今年独占した”オリンピック金メダリスト”の村田諒太です。

本当に時代というのは、
『まるでフィクションで作られたように』タイミングよくヒーローを生み出すものですね。

井上尚弥は、
今や「全階級で誰が一番強いのか」の指針となるPFP(パウンド・フォー・パウンド)で7位にランクされる、
『世界で最も注目されている軽量級ボクサー』になりました。

ノニト・ドネア、パッキャオ、そしてロマゴン、
それらの選手の系譜を継ぐ【全世界注目のボクサー】にすでになっています。

今年は9月にアメリカのリングでデビューを果たしましたが、
もうすでにアメリカでもたくさんのファンを持ち、
「イノウエのファイトが見たい」
というボクシングファン、いっぱいいます。

井上尚弥は、
間違いなく【日本ボクシング界が生み出した最強ボクサー】に相違ありません。

野球では大谷翔平の才能がアメリカで話題になっていますが、
間違いなく『それ以上』のインパクトを、
アメリカで与えている選手です。


この井上、
年末の12月30日に、
恒例の『年忘れ世界タイトルマッチ』を行います。

この興行、
かつては『28回世界戦防衛』の生きるレジェンド・ナルバエスをわずか2回でKOに葬り去ったり、
『亀田との死闘を制した苦労人チャンプ』河野をど迫力でKOしたりと、
いろいろな話題を生んできました。

今回井上は、
この12月30日のタイトルマッチを終えて2か月もしないうちに、
アメリカ西海岸にわたって、
他団体のチャンピオンと『統一王座戦』を行うはずでした。。。。。。

が、
相手が井上との対戦をビビって、
試合が決まらない。。。。(ワタシはそう思っています)

ということでこの2月のアメリカでの統一戦、
悔しいけどお流れになってしまいました。


2018年の井上尚弥は、
更に階級を一つ上げて、
バンタム級での勝負を目論んでいます。

そのバンタム級には、
あの山中慎介もいますので、
これからいったいどうなっていくのか・・・・・
本当に楽しみです。


そして日本中の注目を一身に集めたうえ、
ダイレクトリマッチでエンダムをマットに沈めてミドル級のタイトルを奪い取った村田諒太。

世界が彼の動向に注目しています。

ミドル級という『世界最激戦区』では、
さすがの村田も『だれにも負けはしない』なんて言えませんが、
とかく体格では劣ると言われてきた日本人が、
このミドル級の世界チャンピオンの座に就くなんて、
村田が登場する前までは、想像だにしませんでした。

しかしロンドンオリンピックで、
涼しい顔をしたこの日本のハンサムボーイが、
あっという間に『オリンピック金メダル』を獲ってから、
なんだか世界がパ~っと広がったというか、
『日本人でも、重量級で勝負できるんだ!!!』
という希望というか、
そんなものが一気に頭の中を占めたというか。。。。。。

そんな存在です、村田諒太は。

正直、
彼がもう山中とか内山、井上などと同等に、
『ず~っと長くチャンピオンの座に座ってくれる』
なんて思ってはいません。

パッと咲く花火のような存在でもいい、
そんな風に思っていますし、
世界のミドル級の猛者たちを見ると、
なんだかそう思わざるを得ないような気持ちにさせられます。

そんな村田の、
究極の目標は【世界で誰もが知るスーパースター】ゲンジー・ゴロフキンとの対戦です。
彼は今ミドル級の4団体のうち、
3つの団体での世界チャンピオンです。


村田自身は、
今年タイトルを獲るまでは「雲の上の存在」と思っていたようですが、
彼の頭の中では、
今では「照準を絞る」ところまでは来ているようです。

この村田諒太vsゲンジー・ゴロフキン

の対戦が現実となったら、
本当に『日本ボクシング界最大のビッグマッチ』になることは確実です。
来年はこの究極の対戦が実現化するよう、
村田には頑張ってもらいたいですね。


それにしても、
内山も山中も、
井上も村田も、
なんだか本当にスターとしての資質を兼ね備えた『いい男』ばかりですね。

やっぱり今は、
ボクシングの黄金時代なのかもしれませんね。


そんなボクシング界、
今年の年末の世界タイトルマッチは、
5試合になります。

昨年までより、
少し減った感じですが、
それでも注目のカードもあります。


一番注目されるのは、
これまで勝っても勝っても注目されることが少なかったWBA・Lフライ級王者の田口良一が、
IBF王者・メリンドと行う『統一世界戦』ですね。

もともとは日本人王者である田中との統一戦が企画されていましたが、
田中が前戦の世界タイトル防衛戦で目を負傷して実現不可能となり、
急きょメリンドとの対戦となりました。

田中にとっては【世界タイトルマッチが初めて全国ネットで放映される】記念すべき試合ですから、
ぜひとも勝っていい正月を迎えてほしいですね。

WBO世界フライ級タイトルマッチは、
日本人同士の対決です。
上海で『中国の英雄』ゾウ・シミンを大番狂わせで破り戴冠した木村。
その木村に挑むのは、元世界王者の五十嵐です。


木村は世界王者なのに、
ほとんどその顔も名前も世間には知られておらず、
まだ6畳一間のアパートに住んでバイトに明け暮れる日々だそうです。

ここでなんとしても勝って、
顔と名前を世間に売って人生を変えちゃおうという気迫がすごい!!

一方の五十嵐は『負けたら引退』を公言して最後の大勝負に出る覚悟。
面白い対戦です。


前述の井上尚弥は、
『調整試合』だったはずが2月の『本チャン』が飛んでしまって、
モチベーション的には難しい試合になってしまいました。
しかしながら、
彼の目はもう、世界のリングに向いています。
こんなところで立ち止まっているわけにはいかない試合なので、
早い回でのKO決着が必至だと思います。

早めに一発当たれば、
1,2回での決着も予想されるだけに、
まさに『まばたき禁止』の試合になりそうです。

そしてその興行にもう一つの世界戦で登場するのは拳四朗。
かわいい顔して、
えぐいボクサーになりつつあるホープです。
これまでは『サブサブ』の扱いだったので、
世界を獲った試合も、初防衛戦も、
生で中継してもらえませんでしたが、
今回は違います。

こちらも全国で名前と顔を売る、
千載一遇の大チャンスです。

前戦から2か月しか間隔が開いていませんが、
きっと彼ならやってくれるはず。
期待しています。

ミニマム級の京口紘人も初防衛戦を行う予定です。


ということで、
毎年のことですが『百花繚乱』となるボクシングの年末興行。

去年までの4ないし3興行から、
今年は2興行になってしまいましたが、
注目のカードは目白押しです。

年末はコーフンの坩堝に叩き落されるのも、
またいいものですよ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スマイルジャパン いよいよ... | トップ | 2017年スポーツ総決算 『ま... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ボクシング」カテゴリの最新記事