パ・リーグのCS争い。
オリックスと楽天にロッテが絡む展開で、
8月まではつばぜり合いを繰り広げていました。
しかしそのレベルは、
勝率5割を割り込んでのもの。
お世辞にも”高いレベル”での争いではありませんでした。
何せ今季のパは、
上位2球団の充実ぶりが際立っていましたからね。
9月に入っても、
無人の荒野を悠々と闊歩するSBの勢いは、
全く止まることはありませんでした。
順調に減らしてきたマジックもいよいよ7まで来ました。
優勝は間違いないでしょう。
さてその9月に入るか入らないかのところで、
一気に状態を挙げて突っ走り始めたのがオリックス。
8月の終わりから突如の大ブレーク。
20勝6敗という恐ろしいペースで、
3位の座をガッチリとキープするとともに、
2位の日本ハムの失速から、
2位の座も狙える位置までやってきました。
そしてその後ろから、
ひたひたと差を詰めてきたのが西武。
8月終わりまでは断トツの最下位。
とにかく目を覆うばかりの戦いぶりで、
ファンの話題もすでに”来季”のことに向いていたところ・・・・・
どうしてなのか9月の声を聞いた途端に負けなくなった。
22試合を戦い、
17勝3敗1分け。
オリックスの驚異的なペースをさらに上回る勢いで、
白星を積み重ねています。
8月末で15あった借金も、
わずか1まで縮まってきました。
なぜ5か月間ダメダメだったチームがここまで変わったのか。
謎ですね。
まずは単純に調子がよくなってきたというのが第1の要因でしょう。
ホームラン王を爆走する中村の調子が再加速し、
栗山、中島の主力の調子も同時に上がってきたことで、
得点力が増したということです。
そしてやはり、
ケガから片岡が復帰したのも大きい。
主力が揃ったところで、
下位に低迷する中で芽を出してきていた若手の力と融合したことが、
打線の力となっています。
そして何と言っても、
投手陣の安定感も際立っています。
今年期待を裏切り続けていた涌井、岸の両投手がようやく”勝ちを計算できる”状況となったことで、
帆足や石井一などとの相乗効果を生み、
そこに岡本、ミンチェ、牧田という【勝利の方程式】を曲がりなりにも確立できたことが、
安定感につながっていると思います。
しかし、しかし。
なんといってもMVP級の活躍は、
ベテラン・西口でしょう。
ここ数年ふがいないピッチングばかりを続け、
『元エース』はその光を失ってばかりでした。
もちろん今季も、
当初はローテーション投手の中に名を連ねることもなく、
連戦が続くときのハザマを埋めるような扱いでした。
しかし今季は往年の球威が蘇ったかと思うほどのキレの良い球を投げ続け、
最下位に沈むチームでその存在感を見せ続けていました。
9月に入りチームの調子が良くなるとその存在感もグングンと大きくなり、
いまやライオンズローテーションの中で完全に【エース】の扱いです。
このベテランが蘇ったことで、
投手陣の層がグッと厚くなってきました。
最後の18試合。
3~4の登板機会がありますが、
出来れば全勝で駆け抜けてほしいと思います。
思えば、
今の投手陣では、
先発の柱が西口。
中継ぎの柱が岡本。
セットアッパーがミンチェ。
このいまを支えている三人は、
3人ともに”地獄を見てきた”選手。
『なんでクビにしないんだよ~』
という怒号を浴びせられながら、
這い上がってきたベテランです。
西口は2007年ぐらいから衰えが見え始め、
ここ3年は勝ち星は一桁で防御率は5点台と、
元エースの見る影もないような成績が続いていました。
岡本は2004年の入団から6年でわずか35試合しか登板がなく通算1勝。
59という背番号からもわかるとおり、
崖っぷちもいいところの選手でした。
ミンチェはかつてはローテーションピッチャーでしたが、
2005年からの5年間でわずかに3勝。
『すでに終わった投手』
との評価が大半でした。
しかし去年の後半ぐらいから3人ともに『華麗なる復活』を遂げ、
西武投手陣の中で存在感を放っち、
今年もまた下位に沈むチームの中で、
淡々と自分の仕事をこなして信頼感を勝ち取ってきました。
失うものがないこの3人が存在感を見せるあたりに、
プロ野球の面白さというか、
奥深さを感じずにはいられません。
こんな選手たちが支える今年の西武。
一方では、
ルーキー大魔神の牧田。
ガッチリと定位置を確保した秋山。
浅村、原らの若手陣。
そしてようやく出てきた菊池など、
若い戦力も芽吹いてきています。
(大石はまだまだ時間がかかりそうですが)
この何とも評価しがたい、
とてつもないエネルギーを秘めたチームが、
何らかのきっかけでブレークし始めました。
残りはわずか18試合ですが、
狙いは2位・日ハムを巻き込んでオリックスと三つ巴にもつれ込むことでしょうか。
現在の順位は以下です。
2. 日本ハム ---
3. オリックス 3.5
4. 西武 3.0
どこまで突っ走るか。
西武、そしてオリックス。
尻に火がついてきた日本ハムは、
大エース・ダルビッシュで逃げ込みを図ります。
さて、
最後の3週間。
セもパも、
目が離せない展開になってきました。
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