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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

第103回全国高校野球選手権  さあ、いよいよ決戦。 智弁対決だ!

2021年08月29日 | 高校野球

≪第103回全国高校野球選手権大会≫ ~甲子園~

【準決勝】

第1試合 智辯和歌山 5-1 近 江

第2試合 智弁学園  3-1 京都国際


さて、
甲子園は準決勝。

近畿対決となった頂上への最後の決戦は、
智辯和歌山と智弁学園が快勝。
決勝への進出を決め、
頂上決戦で智辯和歌山vs智弁学園の対決が実現しました。

全国の高校野球ファンが、
なんとなくではありますが「こうなればいいなあ」と待ち望んでいた対決。
智弁対決が現実のものとなりました。

奈良と和歌山の対決も史上初。
かつて和歌山と言えば野球王国の名を欲しいままにし、
和歌山中、海草中が各2度ずつ全国制覇。
準優勝も数度あり、
まさに野球王国そのものでした。

一方の奈良県は、
戦前に選手権に出場したのはただ1度だけ。
和歌山や大阪、京都に囲まれて、
ずっと不遇をかこっていた県でした。

戦後になって出場校が増えてくるものの、
まだまだ近畿の中では野球後進県で、
お隣の和歌山に甲子園出場の道を阻まれることも多かったです。

流れが変わってきたのは天理が台頭して、
強豪に進化する70年代初頭ぐらいから。

ワタシが高校野球にのめり込む70年代の初頭、
奈良と和歌山の2県で1代表だった夏の甲子園の代表争いは、
「奈良優勢」で進んでいました。

「紀和大会」最終盤の71年~77年までの7年間、
奈良が代表を射止めること6度、和歌山は73年の1度だけしか代表を射止めることができませんでした。
その時に奈良県で激しく覇権を争っていたのが、
奈良の絶対王者に君臨する天理と、
高嶋監督の就任でぐんぐん力を伸ばしてきた智弁学園でした。

智弁はそれでもなかなか天理の厚き壁を破ることはできませんでしたが、
77年についにその壁を破って全国の舞台へ。

この年はこの紀和大会、
凄いメンツがそろっていました。

奈良は選抜4強進出で、
剛腕山口(元近鉄)を擁してものすごい大型チームだった智弁学園、
鈴木康友(元巨人)を擁して超強力打線で選抜8強の天理、
そして和歌山には技巧はエースの東で選抜を制した箕島と、
「全国優勝を狙える3強」が集まる大会でした。

そのすごい紀和大会を制して、
初めて(通算出場は2回目)夏の甲子園を射止めた高嶋・智弁。

ここから智弁学園の夏の甲子園制覇を目指しての長い長い旅が始まりました。

この高嶋監督の夏初舞台で、
ワタシは全国制覇に届くのではと見ていましたがその夢は途中(3回戦)で敗れます。

高嶋監督の甲子園68勝の軌跡はこの前の選抜より始まっていましたが、
このあたりは高嶋監督について書かれた2019年の『一徹』に詳しいです。


奈良の智弁学園は、
高嶋監督の退任した1980年から何度も夏の甲子園の土を踏み今回で20度目の挑戦になりますが、
過去19回での最高成績はベスト4.
決勝進出、そして全国制覇は学校の悲願となっていました。

その間、
全国制覇をどちらが先に成し遂げるかを競っていたライバルの天理は、
86年、90年と2度の全国制覇を達成。

そして80年に高嶋監督が転任した弟分の智辯和歌山は、
その後ぐんぐん力を伸ばして、
94年の選抜を皮切りに97年には念願の夏の選手権で全国制覇。
その後も圧倒的な強打で00年に2度目の夏の全国制覇、
そして02年にも決勝進出を果たすという一時代を築いたチームとなった。

高嶋監督は甲子園で68勝という金字塔を打ち立て、
現在の『甲子園最多勝監督』となり、
2018年の第100回大会の出場を機に監督を退任した。

一方の智弁学園は、
今年までの間、
選手権20回、選抜14回出場(うち高嶋監督以降は、選手権19回、選抜12回出場)を果たしたが、
通算成績は42勝31敗。

智弁学園は現在の小坂監督が20代の若さで監督に就任して以降、
ぐんぐんと力を伸ばしてきて、
今がまさに「旬」と言えるチームだと思います。

かつて高嶋監督退任以降、
甲子園6連敗という非常に厳しい時期をも経験し、
その後もなかなか甲子園で勝ち切れないチームが続いていましたのが智弁学園。

ワタシのイメージでは、
奈良は天理が出てきたときは上位進出が多いが、
智弁が出場してきたときは8強以上にはいけない・・・・・という感じでしたが、
小坂監督の就任以降、そのイメージは大きく転換していきました。

07年に初めての甲子園采配で2勝。
11年には3回戦の横浜戦で、
9回に3点のビハインドから大逆襲、
何と8点を奪って大逆転に成功しました。

12年にはエース青山、
14年には主砲・岡本(巨人)とスーパー球児も現れてきて甲子園で白星を積み重ね、
だんだん「大型チーム」という特徴が根付いてきたのですが、
そこで16年の選抜を迎えました。

この選抜ではさほど期待されていなかったものの、
エース村上が神がかり的な好投を毎試合見せて進撃。
なんとなんと、
悲願の初めての甲子園制覇を成し遂げました。

「智弁学園がエースの好投でロースコアゲームをどんどん制して甲子園で優勝するなんて・・・・」
とワタシも驚くと同時に、
智弁学園の進化を目の当たりにしたものでした。

その後もチームは着実な歩みを続けました。

小坂監督は、
今大会を含めて13回の甲子園に出場し、
初戦は何と11回白星で飾っています。
敗れたのはたったの2回だけ。

それだけ甲子園での戦い方というのを積み上げ、
実績を構築してきました。

そして2019年、
Wエースの西村・小畠に主砲・前川、山下らが入学してきたのを機に、
この2021年にかけたチーム作りをしてきました。

その間2019年夏出場、
その時は初戦で敗れましたが、
勝敗を度返しして1年生を起用。

昨年は選抜が決まっていたもののコロナ禍で大会が行われませんでしたが、
夏の交流試合では「世代最強」と言われた剛腕高橋を擁する中京大中京に対し、
互角以上の戦いをしました。

そして「頂を目指す学年」の始まった秋、
県大会ではライバル天理にまさかの敗戦を喫するも、
出場した近畿大会で快進撃。

あの大阪桐蔭をも破り近畿を制覇して選抜に出場。

センバツ初戦ではまさかの大阪桐蔭との再戦を迎えるも、
堂々と力で押し切って勝利。
「今年の智弁は強いぞ!」
というところを見せました。

その選抜では準々決勝で敗れるも、
あくまでも目標は集大成の夏の選手権制覇。

その目標をぶらさずに今大会、
苦しい試合を潜り抜けて、
決勝に到達しました。

いよいよ目の前に、
初めての夏の頂が広がっています。

手を伸ばせば届くところまで、
やってきました。

「若き名将」小坂監督の、
頂点を目指す最後の戦いが始まろうとしています。


一方の智辯和歌山。

90年代中盤から10年代まで、
常に名将・高嶋監督とともに高校野球界の中心に座り続けたこの名門。

高校野球と聞いて真っ先に上がるチームは、
古くは中京、広島商、松山商。。。。。。

80年代はPL学園、
10年代は大阪桐蔭ですが、
90年代終盤~00年代にかけては、
多くの人が「智弁和歌山」とその名前を挙げたと思います。
それほどの『高校野球の代名詞』のチームです。

そのチームカラーは、
とにかく打って打って打ちまくること。

高嶋監督の野球は、
80年代に池田の蔦監督が作り上げた「強打のチーム」を、
さらに進化させたようなチームです。

00年の伝説のチームは、
甲子園での6試合で何と100安打、11本塁打を叩き込みました。
その強打で相手を震え上がらせる、
そんなチームで平成の30年間を疾走してきました。

その智辯和歌山というチームを引き継いだのが、
97年の選手権優勝時に5番キャッチャーとしてチームの中心を担った中谷監督。

その後ドラフトで阪神に入団後、
不幸な事件に巻き込まれて目を負傷し、
プロ野球選手として大成することはありませんでしたが、
野村監督・星野監督という稀代の名将に見込まれてプロの時代に研鑽を積んだその豊富な知識、
チームの掌握力、
そしてリーダーシップなどの有り余る能力が、
高校野球の監督となってからいかんなく発揮され、
就任3年目にして甲子園のファイナリストの座を射止めました。

一昨年選抜で甲子園初采配を振るいましたが、
初戦から落ち着き払っていて、
まるでベテラン監督のような風情でした。

その19年は春準々決勝で明石商の来田にサヨナラアーチを浴びて敗れ去り、
夏はあの奥川の星稜とがっぷり四つに組んで延長タイブレーク、
14回にまたもサヨナラ3ランを食らって春に続いて悔しい負け方をしました。

しかし春も夏も、
智辯和歌山は『強打のチーム』というよりも、
しっかりと投手を中心とした野球で勝っていくというスタイルに変貌し、
より安定感を増した強豪というチームに生まれ変わったような印象を持ちました。

とはいえ相変わらず選手の振りは鋭く、
強打の方も健在ですが。

色々と苦労の末に名将の後を継ぎ名門の監督に就任した中谷監督。
こちらも智弁学園の小坂監督同様、
若き名将の風情がビンビン伝わってきます。


「智弁対決」

が大きく取りざたされていますが、
この対決、ワタシは「若き名将監督」の対戦だと思っています。
それだけに面白い。


両校が甲子園で対戦したのは2002年の3回戦。
この時は智辯和歌山が黄金時代で、
この大会でも決勝に進出する年です。

それゆえではありませんが、
「智弁対決」と言っても実力に少し差があり、
対戦としてはさほど注目されてなかった気がします。
多くの人も「智辯和歌山が勝つだろうなあ・・・」
と思っていたと思います。

そして案の定、
序盤、中盤で得点を重ね大量リードを奪った智辯和歌山が快勝。
智弁学園は『何もできなかった』という印象の試合でした。
(ちなみにワタシは、この試合スタンド観戦でした。)

しかし今回は違います。

実力だけで言うと、
この夏が始まるまでは「智弁学園の方が一歩リード」と思っていましたが、
この夏の大会を見ていると「智辯和歌山も全く引けを取らない実力」と思っています。

そして両チームのコンディションを比べると、
やはり3回戦から登場して、
まだまだスタミナも十分の智辯和歌山の方が、
多少いいのではないかと思ったりしています。

智辯和歌山は3回戦より準々決勝、そして準決勝と、
どんどん戦い方がよくなってきているように思いますね。

一方の智弁学園は、
倉敷商戦、横浜戦などはまさに盤石な状態でしたが、
日本航空戦から少し打線が狂わされて、
明徳義塾戦、そして昨日の京都国際戦は、
打線が振れていないという感じに見えています。

今日の対戦では、
智弁学園としてはどうしても、
前川・山下の打の2枚看板の爆発が、
勝つためには必要だと思います。

そして昨日の試合では投げなかったエース西村が、
中2日で好投することが必須です。

一方の智辯和歌山は、
どのような投手継投で智弁の打線を抑えていくのかが、
勝利へのポイントになると思います。

先発はやはり、
昨日も完投したエース中西ではないかなと思っていますが、
後に控える層の厚い投手陣が数珠つなぎで出てくると、
いかに智弁の強打線と言えども、
苦戦するのではないかなと思います。

いずれにしても、
ロースコアのゲームになるのではないかという気が、
しないでもありません。


でも本当の希望としては、
両校渾身の打撃戦です。

茜色した両校のユニが、
何度も何度もダイヤモンドを回ってくる姿が、
見たいですね。

ちなみに3年生が入学した2019年4月以降、
両校の公式戦での対決は2度。
いずれも近畿大会での対決です。

2019年春は9-7で智弁学園の勝利。
そしてセンバツをかけたその秋の対決でも、
17-13で、智弁学園が勝利しています。

「本校の意地」が炸裂したってわけです。

しかし勝敗は度返しして、
このスコア、見てください。

2試合とも、
ものすごい打撃戦です。

こんな感じの、
甲子園の歴史をひっくり返すような打撃戦が展開されたら、
どんなにかコーフンすることでしょうか。

打撃戦希望!!!!!!

ということで、
この茜対決、
堪能しようと思います。


両校ともに校訓は「誠実・明朗」。

実にシンプルで、
素晴らしい校訓ですね。

誠実で明朗な、
そんな決勝戦になること必至です。

見逃せるわけ、
ありません!!!!


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