息子が3回目の新型コロナワクチン接種をして…
彼は毎度、翌日くらいに熱を出して副反応が割と重いので、どうせ研究室に行けないならと帰省することになりました。
ちょうどそのタイミングで、彼は通っていた塾講師のバイトを辞めたので…
ペッピーノさんで接種会場へ迎えに行って、その足でバイトを辞める手続きに、塾に寄って来ました。
塾のほうからも、先輩講師からも、そして教え子の親御さんからも、さんざん…
「辞めないでほしい」と引き留められたそうです。
塾の方からは「10年にひとりのいい先生だったのに、惜しい……」と言っていただけたようで。
個別指導の塾なので、受け持っていた複数の子の親御さんからは…
勉強が嫌いでぜんぜんしなかった子なのに、先生にご指導いただいてから自分で勉強するようになって…
成績もうんと上がったんです。せっかくやる気になったのに。
と残念がられたとか。
4人の子の親御さんたちから「お礼とお餞別です」ということで、お菓子やらハンカチやら頂いて来ました。
君の教え方が良かったんじゃないか、と本人に言ったのですが。
「教え方じゃなくて、僕はただ細かいところも取り上げて、子どもを褒めてあげただけだよ」
とのこと。
今の子に限らないのかもしれませんが、息子の言うところによると…
勉強ができない、嫌いだという子は、周りから「勉強しなさい」とうるさく強制されたり…
「なんでお前は出来ないんだ」とか叱られて…
そのせいで、たいてい自己評価が低くて…
学習することと、否定的な言葉とが心の中でリンクしちゃっているので、それで嫌になっているのだと。
そして、自分で自分に「僕は、私は、出来ないんだ」と暗示をかけちゃっているんだそうです。
それなので、覚える過程や問題に対する答えの中で、出来たところを取り上げて、上手にタイミングよく褒めてあげる。
ただそれだけのことなんだと。
すると「出来ない」「つまらない」「やりたくない」という呪いが解けて…
あとは子ども自身が持っている力で、どんどんできるようになって行くのだそうです。
「地頭のいい悪いは確かにあるけど…」
「でも大抵の子は、教師や親から伸びる力を削がれちゃっているから、その呪いさえ解いてあげれば…」
「その子なりに、はっきり伸びて行くし、面白いところができれば自主的にやるようになるんだよ」
と息子……
まあ、そうなんでしょうね。
でも、褒め方とか、褒めるツボとかもあるでしょうから、そういうところがやっぱり上手なんでしょう。
彼自身、もともと何でもできる天才肌ではなくて、特に算数・数学が出来ないのでとても苦労して。
(理系志望だったのに)
高校受験で第一志望校に落ちたり、定期試験で下位に沈んだりと、さんざん挫折を経験してきているから…
出来ない子がつまづきやすいポイントとか、出来ない子の気持ちとかをよくわかっている、というのもあるのかなと。
最初からできる人は「こいつ何でこんなこともわからないのかな」と…
口には出さなくても、内心思っちゃったりするでしょうしね。
息子はペーパーテストにおいては凡才だったからこそ、教え上手になったのかも。
そういう才能があるからこそ、本当は、この先アカデミアの方向に進んで…
大学で後進の学生を教え導く立場になったら、すごく良い教師になれるんじゃないかと思うのです。
でも本人は、とにかく新薬を創り出すことに一生をかけたいということで、企業の研究職志向なんですよね。
幸い、ペーパーテストでは失敗しがちな半面、新しいものを創造するアイディアは浮かぶ方みたいなので…
それはそれで、いいのかなと。
人生の道行きの中で、いつか人に教える立場になることも、あるかもしれないですし。
がんばってほしい。
ただ、それもこれも、なにもかも…
世界を巻き込む核戦争が起きて、すべてが台無しになったり…
彼が日本を出る前に、この国と大陸との戦争が始まってしまったり、ということがないという前提です。
それが、あり得ない空想なんかではなく、いまや十分にあり得る情勢だから…
ひたすら平和を願う。それだけです。