アルファロメオと小倉唯

母の秘密

3年前に脳梗塞で倒れ、半身が不随になって以降、施設に入所している母。

その施設にいる看護師から先日連絡があり、母の片方の乳房に異変が生じていると。

おそらく乳房内にシリコンを長年入れていたことが原因で、乳房の肉がおかしな増殖の仕方をして2段に分裂し…

さらに手術痕からリンパ液が染み出しているそうです。

施設から大病院に連れて行かれて検査をした結果、悪性腫瘍でないということは分かり、傷口を消毒しながらガーゼを当てる処置を続けることになりました。

もともと最初に倒れたときに、急性期病院で「お母様、両方の胸に乳房再形成、あるいは豊胸手術をしてらっしゃいますね」と言われました。

シリコンが入っていて手術痕があると。

家族には全く寝耳に水のこと。

その時は豊胸、あるいは乳がんになって乳房を切除したことがあるのかもという風に言われました

その後転院したリハビリ病院でも検診の結果同じことを言われ。

それから移った施設でもまた同じことを言われました。

何度医師に言われても、そのとき父はまだ、頭はしっかりしていたのに事実を受け入れませんでした。

「そんなわけない」「俺は聞いてない」「医者なのに何だかよくわかんねえこと言ってたな」

という具合で。

母もまた、その時その時で、身体検査されるのを異様に嫌がって…

「延命治療よ」「いやだ」とろれつの回らない舌で言い続けていました。

今考えると胸にシリコンが入っていることが家族に対しても絶対の秘密で、墓まで持って行きたいことだったのだなと。

がんだったのか美容整形としての豊胸手術だったのかはともかく、結局家族全員が、彼女にとって信用して全てを打ち明けられる存在ではなかったわけで…

母の人生は孤独だったのだなと思います。

そして、妻の体のそんな重大なことをこの歳になるまで全く知らなかった父は、なんとうかつな夫だったのかとも思います。

仮に乳がんだったとしたら、なぜ夫に隠したのか? 夫でいながら、妻のがん手術と乳房再形成に全く気付かない、なんていうことが有り得るのか?

私には、全く理解できません。

(もっともシリコンが「両胸に」あるというのは、がんの後の再形成としては不自然に思えます)

美容整形としての豊胸なのだとしたらそれは、おそらく結婚前にしたものなのでしょう。

今87歳の母が若かったころ、豊胸手術というのがそんなに一般的なものだったのかどうか、私には分かりませんが…

いったい何のために?胸が小さいことへのコンプレックス?

当時の一般の若い女性は、そのぐらいで美容整形や豊胸手術をしていたのでしょうか。

少なくとも宮城の田舎でそれが普通に行われていたとは考えにくいので、おそらく東京に出てきてから行ったものでしょう。

また…

当時豊胸手術の技術レベルがどの程度だったのか分かりませんが、夫でありながら、全く気付かないということがあるのでしょうか。

下世話な話ですが、触って全然気付かないようなものなのでしょうか。

私という人間が結婚後すぐさま出来た子どもだという話は聞いていて。

子どもが出来た後の長い長い結婚生活のほぼ全部が、全くのセックスレスだった様子なのも、察していますけれど。

それはもしかして、母が胸のことを知られたくなかったからというのもあるのでしょうか。

いったいどういう夫婦なのか。

この歳になって我が親たちが、得体の知れない、気味の悪い人たちに思えて来ました。

美容整形や豊胸手術そのものが悪いと言っているのではないです。

そういうことを、60年以上も、親兄弟にも配偶者や我が子にも隠しているということ、そして夫なのに全く気付かないということ。

それが気持ち悪いと思うのです。

子どものころは私も親をそういう観点から見たことがなかったし、その後はなるべく距離をとって付き合って来たのですが…

親たちが老い衰えて、世話をしなくてはならなくなったら、いろいろなことが、二人の素顔が見えて来た。

それは、どうやら子として私が思っていたのとは、全く違う顔だったらしいということ。

両親ともに、普通以上に自己中心的な人たちだったということ…

私に対しても含めて、誰からも隠している秘密があるということ…

(母に関しては、我が子に対しても孫に向かっても、自分の幼少期や青春時代の思い出話を全くしたことがないし。これって普通ですか?)

そして面倒くさいことにはちゃんと向き合わず、全部あと回しの上、最終的には逃げてしまう、いい加減な人たちでもあったということが分かりました。

何だか身体の力が抜けて行くような気が…。

まだまだこれから、知らなかったいろいろな問題が噴出して、息子として後始末に苦労しなければならないような気がします。

親ガチャというのは、やっぱりあるんじゃないでしょうか?


そしてさらに、母の胸のCTスキャンをした際に、肝臓に「何か」があることが発覚したそうです。

悪性腫瘍と断言は出来ないけれど、精密検査のために造影剤を入れての検査をするから…

病院に提出する同意書にサインしてほしいと言われ、施設に行って説明書を読み、サインして来ました。

大事なことなので、父にも報告したのですが、ピンと来なかった様子。

言ったことは、紙に書かないと数分、というか10秒後にすべて忘れてしまう状態なので、もう全く憶えていないと思います。

考えてみると父が認知症になってきたのには、母に関する都合の悪いあれこれを、もう認識したくないという意識も関係しているのかも。

思えば私が深刻ないじめに遭っていたときの対応も含めて、家庭で困ったことがあるとすぐに逃げる人だったので。

逃避としての認知症、というのもあるのかもしれません。

私も、もう精神的にも体力的にも疲れました。

こういう苦労、我が子にはさせたくないですね、絶対に。

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コメント一覧

angeloprotettoretoru
@genjitukar さま。
胸のことについての事実がどこにあるのか、母が何も語らないでいるのですから、詮索するつもりは全くありません。はっきり言えばそんなことはもはやどうでもいいのです。ただ癌になったことはおそらく事実だと思いますので、残った人生のクオリティがなるべく下がらないように、痛みや苦しみが少ないようにしてあげたい、それだけです。
genjitukar
残念ながらこんな異変事などでは、根拠正しい情報は見れないと思います。計画的にやる第三者が絡むから。
このようなコメントも変わりはしないかとひやひやですし、ブログでもそんな失敗ばかりでした。

シリコンが、整形に認可されるまでには、さらに時期は遅かったはずで、厳密にいつ認可されたのかは知りませんが、医療事故が懸念されるような噂を聞いたのも早くても1980年頃よりも後のはず。
もっとも整形手術なんて、スポーツをやってる私らには無縁の話だったので、何かの報道か噂に過ぎません。成功例なんて耳に入ってきませんし。
あと、拝察するに、
胸にメスを入れるような大変なことの有無をご本人が覚えておられないことはありませんし、傷を身内にわざわざ隠したりもしないと思うのです。
本当に何でも起こり得るんです。
たとえば、外傷も無いのに外傷で受けているかのような内側の現象がいくつか報告されていて、親に発生したことを医師から説明を受けたこともあれば、何か大きなことあれば、私には外観変化でもわかりました。
私自身、こちらで初めて明かしますと腎臓がいったん消えた痛さと感触が発生したり、痛みは出ていたのに肺に急にできた古傷映像が翌年には大きく位置が変わったりと、さまざま経験済みです。
人体のみならず、無数、多数の経験から、何でも起こり得ることは明らかなんです。

形跡を示されて もし心当たりとはっきり合ってたら、どんなに隠したいことでも「ああ それは」と、誰だってすぐ認めるか、少なくとも否定しないと思われませんか?
だからというわけではありませんが、私も、残る物に恥じぬ自分の意思決定や根拠は、徹底して自己管理して生きてきてる一人です。

親が衰えたり、親にふりまわされる事って、本当につらいものですね。
そんな時は極力、ご自身を大事になさってくださいね。
angeloprotettoretoru
@genjitukar さま。
コメントありがとうございます。
ご指摘をいただき調べてみましたところ、やはりシリコンバッグによる手術は日本では70年代からはじまったようですね。
ただ今の母の胸の症状をみていますと、やはりシリコンバッグの破損によるものと合致しています。87なのに胸が垂れず盛り上がったままなのも、考えてみたら不自然でした。
ということは私が生まれた後に、もしかするとこの10年以内に、豊胸手術ではなく乳房再建手術を受けた可能性の方が高いですね。ということは、乳がんにかかっていたのでしょうか。妻ががんを切除・乳房再建手術を受けていたのに、夫が気付かないということがあるのでしょうか。それとも父も知っていて隠していたのか…。隠したとすれば、なぜ?本当に両親ともに謎が深い、ちょっと得体の知れない人物に思えて来ました。こんなことすべて、知りたくありませんでした。
genjitukar
いつもお世話になってます。
お母様のこと、たいへん、酷な出来事でございます。
一手に負われるアルファロメオさんのご苦労も。
コメント、大変迷いましたが…
いま 私といたしましては、証拠に見えるものと合わないとき、何事もご本人のことは、ご本人がおっしゃることを信じてあげるのが一番と結論しております。
私のあずかり知らぬ状態で、私の家族関係、人間関係はものすごいことになっていました。
シリコンという物質が出たと話題になったのは、早くても1970年代後半だったと思います。
正直なアルファロメオさんを応援いたしたく、意を決してコメント申しました。
angeloprotettoretoru
@ayame202001 さま。
お返事遅くなり申し訳ありません。
隠し事をしてもたいていは思わぬところから発覚してしまうものです。墓まで持っていくというのはなかなか難しいですね。とくにこんな風に物的な証拠が残ってしまうものはとくに。
隠したいようなことはなるべくしない方がいいし、してしまった場合は言いにくくなる前に告白した方がいいという教訓だと思います。もっとも、4回別の医師や病院で指摘されていても、父はいまだに認めていませんが…。
ayame202001
なるほど豊胸はそうやってバレるのですね。
お母様の年齢を考えるとかなり昔の出来事でしょう…お父様も、そのようなものがあること、ましてやそんなことがあるとか情報の少ない時代だったのかもしれませんね。

歳をとっていく両親を見るというのは、ただ見てるだけで疲れますし、看るとなるともうお手上げになってしまいます。

誰の世話にもならないということは無理ですが、私も子供に迷惑かけたくないなーと思ってます。
またそういう仕事をしてるので日々こんな話を聞いてますが豊胸は初めてでした。
私には墓まで持っていきたい秘密はありますがレントゲンとかでわからないやつでよかったです💦
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