もう一昨日の晩になりますが小倉唯さんのTikTokライブの二回目がありました。
『小倉唯の〇〇アカデミー~教えてゆい先生!~』というタイトル。
今回の〇〇の中身は「アーティスト」でした。音楽アーティストとしての「ゆい先生」の講義を聴く、ということです。
どんな風に活動しているのかや、そもそも声優アーティストとはどういう仕事かという裏話、秘話、そして彼女の個人的な考えについて。
話の中でちょっと驚いたのは、最初は下手だった歌が、生歌でもあんなにうまく歌えるように…
技術も表現力も別人のように進歩したというのに、専門の先生に付いてボイトレした結果ではない、ということでした。
前回の「〇〇=声優篇」のときも、誰か特定の先生に付いて声優の技術や演技について学んではいないのだと…
すべて現場で仕事をする中で学んだという話があったのですが…
歌唱についてまで、独学の自己流で、あそこまでになったとは。
まあ、歌唱技術の先生についてレッスンを受けることが、必ずしも近道だとは限らないのでしょうけれど…
自己流で歌があそこまで上手くなるなんて、どんな練習を、どれだけ積んだのか。
彼女の場合裏の努力はファンに見せない、というのが一種の美学であるように見えるのですが、それにしてもすごいこと。
ストイックなプロ、孤高の努力家、というのが周りの同業者から見た、小倉唯であるようですが。
それから最初は二人=ゆいかおり、四人=StylipSというユニット活動をしていて…
今から11年前に、ソロデビューしたときのことを語って。
初めてのソロライブは、パシフィコ横浜国立大ホール(いまや彼女のホームグラウンドみたいになっています)だったのですが…
そのステージに立ったのは初めてではなくて、ゆいかおりとして経験してはいたと。
ところがそのテンション感で立ってみたら、ひとりで5千人の観客を相手にする重圧に驚愕して…
MCなど、何を言っているのか自分でもわからないほど、テンパってしまったみたいです。そして最後は舞台上で泣いてしまった。
一緒にステージに立つ人との関係性もあるのだろうけれど、その場を共有してくれる仲間がいるというのはこんなに心強いのか…
そのとき思い知ったそうです。
ちなみに、二人より四人、四人よりもっと大勢…の方が、より楽であると。
そのことを、最近『ウマ娘』のライブで大勢の同僚声優たちとステージに立って、改めて感じたみたいです。
とくに先日の大阪城ホールでのライブでは、足首の靭帯を損傷していて、他のメンバーにずいぶん助けてもらったようですし。
(とくに上坂すみれさんが気遣ってくれていたみたいでした。上坂さんはほんとにいい人)
そうしてみると、たとえば今は、アイドルに関して言えばグループが当たり前ですけれど…
(鈴木愛理さんなど「元アイドル」のシンガーはいますけど、なぜか、一人になると「アイドル」とは呼ばれなくなります)
アイドルを「卒業」して一人で人前に出たときに、集団でパフォーマンスをするありがたさが、皆さん身にしみているのでしょうね。
それから、ファンのチャットコメントに「アーティストとして目指しているものは何かありますか?」とあったのを拾って…
「平和……世界平和ですね。それから愛を人の間にひろめること」
と言っていました。またしても。
これはもうかなり以前から、何回か、彼女がラジオやライブのMCで語っていることです。
このブログでも以前こんな記事を上げました。
目標は一貫して変わらないのですね。
争いごと自体がもともと好きでない様子の唯さん。
以前ネットラジオの中で、もし戦国武将になったら?という質問があったときに…
「戦わずしてひたすら逃げますね。そして別の土地を開拓します。そこも敵に襲われたらまた逃げて、別の土地へ行きます」
「これじゃ戦国時代というものに向いてないですね」と言って笑っていました。
戦争のない世の中なんて、いつになったら実現するのか。いや「男」という性がある限りは、なくならない気もしますが。
アーティストとしては「ライブやイベントに来たお客さんに、愛と笑顔をとどけたい」
「それを受け取ったお客さんが、それぞれの家や職場で、その愛と笑顔を周りに伝えてほしい」
「それがどんどん伝わって行って、愛と笑顔の輪が世界中に拡がる、というのが夢です」
と、ライブMCで言っていたことがありました。
よく「世界」ということを口にする彼女。
つらいことや悲しいことがあったり、ストレスが溜まったときにどうやって解消しますか?という質問には…
「世界のいろんな人のことを考えたら、私の悲しみやつらさなんて、ちっぽけで取るに足らないことを思い出します」
とも言っています。
ところで、タレントは政治的な発言をしない方がいいのかどうか、ということについて…
私は個人的に、現在の唯さんの所属事務所の社長、たかみゆきひささんと、SNS上で議論したことがありました。
たかみさんは、タレントは特別な立場にあって、不特定多数の人からの攻撃から身を守らなくてはいけないから…
政治的なことを直接発言するのはやめたほうがいいし、私はタレントを守りたい、とおっしゃっていました。
そのとき私は、タレントといえども人間なのだから、人として自由に発言する権利はあるのでは…
と書きましたけれど、いまは、あのときのたかみさんの意見に賛成しています。
今のネット社会の中では、タレントは何よりもまず自分の精神的な健康を守ることが必要です。
現状では、政治的な発言をすれば、心ない「ネット民」からどんな仕打ちを受けるかわかりません。
なので彼らに関しては、自らの心身を守るために、一般人とは違う特別な配慮が必要だと思います。
発言したいことは、直截的な意見としてではなく、あくまでも「作品」の中に込めるのが良いのでしょう。
小倉唯さんが、本当はいろいろなことを発言したいというか、社会のあれこれに、一家言あることは感じています。
たとえばファンクラブの申込フォームや、ネットラジオ、配信コンテンツへの「おたより」欄に…
性別を書き込むところがあるのですが…
以前は「男性」「女性」のほかに「その他」という選択肢がありました。
今は「無回答」という選択肢に変っています。
あきらかに、性自認の問題に、配慮したものであると感じます。
どちらだか自分でも分からない人、迷っている人、様々な形での「クィア」なセクシャリティを持つ人が、この社会にはいますから。
そこにこだわりを持っているのは、事務所とかではなくて「小倉P」だと、私は思うのです。
ちなみにですが、そしてこれは個人的な想像なのですけれど…
男の「オタク」には、小倉唯だけは認めたくないという層が、いまだに一定数います。いわゆるアンチと、自覚のないアンチ。
彼ら自身も気づいてないのかもしれませんが、実は小倉唯のこういう「ポリコレっぽいにおい」がするところが気に障るのでは、と。
「男性オタク」は、性的な搾取や、性加害的描写、ジェンダー差別と、どうしても親和性が高いので…
そしてフェミニズムも敵視していて、性的マイノリティへの差別意識も強い…層が、一定数いるように見受けられます。
結果、彼らはポリコレ的なものは全部嫌い、みたいですから。
そういう「におい」に、敏感に反応している人が、アンチになるのではないかなと。あくまで推測ですけれど。
ただ「いい年してブリブリしてる」ということなら、女性のアンチがもっと大量にわきそうなものなのに、現実はそうでなくて…
逆に「おしゃれ番長」として、女性ファンは増える一方なのですから。
あとは、彼女自身がサブカル系のオタクでは、ぜんぜんないというのもあるでしょう。
敢えていえば女性アイドルオタクでしょうけど、それではだめなんでしょうね。
それはともかく。
私は、唯さんと「ポスターお渡し会」で会話を交わした際に…
「一度、がっつりメッセージソング、という曲を作詞してほしいです。アルバム曲でいいので」
と伝えました。
唯さんは一瞬、何か言い淀んでから「はい」と答えて、笑顔で親指を立てて「サムアップ」してくれました。
そのうち何かとがったものを、作ってくれる…のかな。
遠い未来にであっても、いつか来る「世界平和」に貢献するために。