暑い!外出は危険とか言われても、仕事やのっぴきならない用事で出かけなきゃならない人はいるわけで。
私もそうですよ。親たちが人生の終幕を前にして、お金のこととかをいい加減にしていた尻ぬぐいをしなければいけないので。
10年、20年前の暑さと今の暑さは、全くレベルが違うというのは分かっていても…ね。
今日は日本列島の広い範囲で猛暑日になるとか。
私が住んでいる横浜市でもそうなる予報です。
この猛暑は世界的なもので、メッカの巡礼では、気温50℃を超える猛暑のために、熱中症で千人を優に超える死者が出ました。
日本人は世俗的というか信仰心が薄いので、宗教の巡礼のために命を落とすとか、理解できないという人が多いでしょう。
信仰のための旅や外出は「不要不急」のうちだろう、と思う人が多いでしょう。
でも、それは日本の文化の中で育ち、生活し、考えているからそう思うだけであって…
違う文化の中で生きている人にとっては、信仰や巡礼というものは、命に代えてもやり遂げなければならないものだったりするのです。
仕事=金稼ぎ、もしくは所属企業集団への献身のために、毎日満員電車にすし詰めになったり…
猛暑日をものともせず、アスファルトとコンクリートの街を徘徊して外回り営業するなんていうのは…
ムスリムの人たちから見たら、それこそ「狂気の沙汰」なのだと思います。
うちの息子の研究室の同僚のひとりは、ナイジェリア人で、肌の色は全くの黒色なのですが…
この国はキリスト教徒とイスラム教徒が多い地域に分かれていて、彼はイスラム教徒なので…
日本に来ていても一日何回か、階段の屋上に出る踊り場に敷物を敷いて、ひとりで礼拝をしているそうです。
もちろんアルコール類は禁忌なので一切口にしないし、豚肉は食べないし(牛も食べないそうです)…
鶏肉も、研究室の宴会に出たときだけ少し口にしますが(もちろん飲み物はソフトドリンク)…
普段は「ハラル」という、イスラムの厳格なしきたりに沿って屠った鶏の肉だけを食べているとか。
科学者なのに信仰なんてものに振り回されてるのか、なんてことを思うのは、やっぱり信仰と縁の薄い日本人だからです。
そもそも科学と信仰は全く別の範疇に属するものですから。
何教であっても、現代の信仰者は、さすがに宗教の「聖典」を現実の歴史や事物に当てはめるようなことはしないです。
それをやるのは何教であっても、それぞれの「原理主義者」と呼ばれる者だけ。
逆にそれらをごっちゃにして、基本的な科学的思考もできないのに「この科学の時代に」なんていうセリフを吐いてしまう人こそ…
科学から遠い人間だと言えるでしょう。
そして、そういう人でも「神武天皇は実在した」とか「日本国の歴史は2700年近い」なんて言ってしまったりするんですよ。
日本の神話は事実に基づいていて、一方で旧約聖書を歴史書と信じて大洪水やノアの箱舟を歴史的事実と言うのは「バカげている」と?
その区別をする「客観的根拠」はどこにあるのですかね。
まあ、日本は島国で「引きこもり気質」が何千年と培われてきているし、そもそも近代日本は「尊王攘夷」の志士=テロリストたちが作ったもので。
その「気分」が150年以上続いているので、外国人のことを本気で理解する気は、はなからないのかも。
基本がそこにあるから、IT化によって「マジな国際化の時代」になったら、世界から取り残されてしまうのも仕方ないです。
外国人に「郷に入っては郷に従え」と言って日本への同化を強制する人に限って、自分が他国の「郷に入る」想定はしていない。
そういう日本人が、逆に他国に行って「あれも駄目これも駄目」と言われたら、文句も言わずに日本の習慣を捨てて従うのでしょうか?
たぶん文句たらたらで「俺はどこにいたって日本人だ!」で通すんじゃないですか?
国際的な競争なんてやめて、おとなしくこの島々の中で、独自に昔ながらの暮らしをするのなら平和なのですが…
なまじ「西欧列強に追いつけ追い越せ」なんてやってしまったから、こじらせてしまったのでしょう。
これだけ第一次産業をないがしろにして、日本一それに従事する人の割合が高い青森県でさえ、1割程度という国柄にしちゃったから…
いまさら「外国との付き合いはしない」なんてことしたら、食べる物さえなくなるし。
付き合わないと食べていけない。でも本当は付き合いたくない。なんていう、にっちもさっちもいかない国になっちゃった。
それどころか「白人」以外は「自分より劣等な民族」なんていう、身勝手な差別意識まで持っているという。
ほんとに鼻持ちならない国民ですよ、世界から見たら。世界=米国というのに等しい世界観しか持てないし。
本当にまずいのは、そういう「こじらせ国家」の自覚が、日本人に、いまだにないことなんですけどね。
話を元に戻せば、息子の同僚のナイジェリア人・〇〇〇君は、敬虔なムスリム=イスラム教徒でありながら、優秀な研究者であり…
同時に、びっくりするぐらい綺麗で純情な心を持った、好青年であるらしいです。
国費を支給されて、初めての海外旅行で来日し成田に着いた瞬間から、息子がずっと生活のすべてから…
行政的な手続き、事務的な手続きも含めて、すべてほとんど一人でサポートして来たので…
すっかり「親友」になりました。
私などは、理屈ばかりで、やっぱり昭和の人間である親たちに育てられ、昭和の社会で大人になったので…
心のどこかに、肌の黒い人たちに対する壁が、本当に突き詰めれば、ないとは言い切れないのですが…
息子には本当に、そういう意識が毛の先ほどもないし、それが〇〇〇君にも伝わったので「親友」になれたのでしょう。
この間の休暇で京都に旅行して、お土産ににきれいな塗り箸を買ってプレゼントしたら…
(器用な男なので、箸の使い方も数分で完璧におぼえたそうです)
目に涙を浮かべて「ナイジェリアに帰った後も、一生大切にするよ」と言われたそうです。
息子もナイジェリアの地理や歴史や文化を学んで、少しでも多く彼を理解しようとしている様子。
いいですね。欧米以外にも「心友」がいるというのは、とても心強いこと。
米国主導、G7主導の世界は、まもなく終焉を迎えるでしょうから。
米大統領選の情けないあり様をみていると、それが実感されます。
そして「BRICS」の全盛時代もそんなに長くは続かず、遠からず「グローバルサウス」の時代になる。
ナイジェリアは「NEXT11」と呼ばれる、次の世代を担う、勢いのある新興国だし。
息子が中年を過ぎるころ、現代文明がまだ存続しているならば、世界のトップランナーのひとつになっていることでしょう。
そういう国から国費で派遣されるほど優秀な人物と「心友」であることは、ほんとに心強い…
と言ったら、息子から「そんな計算があって友達になってないよ」と、少し不快そうに言われてしまいました。
ごめん、父はやっぱり「昭和の人間」なんだよね。
そういうのを乗り越えてくれないと、新しい世界は作れない。
あ…私はイスラム礼賛などをしているわけではないですよ。
イスラムのジェンダー差別や、性的少数者への忌避の傾向は、西欧的な価値観を人格の根底に持ってしまった身には受け入れがたいものがあります。
「ほら見ろ、女は引っ込んでろとか、ホモやレズは病気だというのは、やっぱり正しいんだ!」
と、そこだけ取って我が意を得たり、になった人、そ・れ・が「昭和脳」だと言ってるんですよ。
新世代の彼らは、考え方のすべてにおいて同化はできなくても、違いを認めながら理解し合い…
尊重し合える部分に重心を置いて、絆を深めるという能力があるように思えるのです。
〇〇〇君も、研究室では女性研究者たちの仕事や人格について、本気でリスペクトしているみたいですし。
そういう感覚の部分、ですよね。我々に足りないのは。
自分らの世代には、どう頑張っても、真の「パラダイムシフト」を実現して、新しい世界を創るのは出来ないのでしょう。
老兵は消え去るのみ。
世界中のすべての地域の若いやつら、みんな力を合わせて頑張れよ!
ただこの暑さ、温暖化だけはどうしようもない。
日本でさえこれなんだから「グローバルサウス」の国は、人間が生存できる気温に留まれるのか…?
それこそ「パラダイムシフト」しないと、解決方法はないのでしょうね。
自動車のエネルギー源がどうのこうの、日本のメーカーの戦略がどうのこうのと、全体からみれば小さくて、せせこましいこと言ってる世代は…
ほんとに、まじめに、引っ込んだ方がよさそうです。
全体観のある「メタな思考」で人類を存続させる、次のジェネレーションに期待しましょう。